1988年夏、四日市の進学校が舞台。高校に迷い込んだ子犬に「コーシロー」と名付け、生徒たちが面倒をみることになった。
以来12年、昭和から平成と代々コーシロー係は引き継がれて、生徒達の語り、コーシローの語りで物語は紡がれていく。
2021年本屋大賞第3位。
パン屋さんを営む家族から、勉強ができても喜ばれない少女。阪神淡路大震災で被災した祖母を引き取った家族。
四日市から鈴鹿サーキットまで自転車をこいでF1観戦に行く二人の少年。
実家から離れて生まれ変わるために援助交際をする美少女。
死期の近づく祖父のことでいがみ合う家族を見つめる少年。
ただのキラキラ青春ストーリーということでもなく、苦しかったり切なかったりということが当然あるのだけれど、
読み終わったとき「いい本を読んだなぁ」としみじみ思いました。
時代がめぐっていくので、セナ、震災、ノストラダムス、ルーズソックスなど、その時々の流行や話題が懐かしくなります。
最終話では時代はいっきに2019年になり、高校の創立100周年記念式典の祝賀会で再会。コーシローがずっと胸に抱き続けた少女は。。。きゅん!
作者の伊吹さんが四日市高校に在籍していたとき、実際に高校で迷い犬を飼っていたとか。