それでも前へ進む 伊集院静 | まこねえの通勤読書

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活字中毒。はずす本もたくさんあるので全部は書けませんが、最近読んで良かった本、とくに私の好きな人たちにおすすめしたい本を記録します。

星星星

第一部はJR東日本の車内誌「トランヴェール」に連載されていたエッセーをまとめた「車窓にうつる記憶」。第二部は東日本大震災後の日本の風景や家族のこと、孤独や喪失についてつづられた「それでも前へ進む}。第三部には作家さんたちの追悼エッセー。

 

トランヴェールは帰省の新幹線の中でいくつかか読んだ記憶があります。エッセー集としてまとまったこの本は、また列車にゆられながら読みたいと思ってしまいました。

 

夏目雅子さんのことも書かれていました。「最後、もうだめだとなったとき、私にはお金がなく、彼女に一杯のワインも飲ませてやれなかった」という箇所を詠んだとき、涙が出ました。

大学時代には17歳だった弟さんを海の事故で亡くしたということで、どうしようもない喪失、悲しみ、孤独を経験してきたからこその伊集院さんの作品なのだなと思いました。

 

驚いたのは60歳になってから仕事を三倍に増やしたということ。

私は老後に向けて、そろそろこの走り続けるような働き方をスローダウンしたいなぁと思っていたところだったので、喝を入れられた気分。

 

宝物のような言葉にあふれたエッセー集。追悼エッセーも泣けました。魅力的な人だったんだろうなぁ。