バイオリニスト、周防亮介さんを聴く | マサミのブログ Road to 42.195km

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金曜日の夜は、ここに↓いました。

 

 

東京オペラシティのコンサートホールです。

 

 

観に行ったのは、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の定期演奏会。でも私のお目当ては、プログラムの2曲目「プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第2番」でバイオリンを独奏する、周防亮介(すほう りょうすけ)さんでした。周防さんは東京シティフィルのメンバーではなく、客演(ゲスト演奏者)としての登場です。

 

この1年ぐらいでしょうか。新聞でクラシックコンサートの広告で名前と写真を見かけることが多くて、そのたびに「?」と印象に残ったんです。名前は「亮介」だから男性っぽいけど、写真を見ると…

 

失礼を承知の上で、ネット上から写真を選んで並べてみました。最近の公式写真は右端のものを使われているようです。

 

 

ネットで検索すると、やはりジェンダーについていろいろ書かれていますが、本人の口からは特にコメントはないみたいです。私は急に周防さんのことが気になりました。だってこの方、いろんな意味で「少数派」であることは間違いないですよね。そしてあることないこと、聴きたくもないことを言われたり書かれたり、していると思うんです。

 

でもそれを跳ね返す演奏者としての実力があり、そんな周防さんを支えたり応援する人たちもたくさんいるから、活躍できているのでしょう。そして何よりも「私は、こういう自分でいたい!」という自分の気持ちを押さえつけず、素直に表現しているんですよね。いろんな軋轢はあるはずなのに、それに負けずに自分を表現している。そう思うと、私は周防さんの弾くバイオリンを一度、生で聴きたいと思うようになったのでした。私自身も「みんながそっちへ行くなら、自分はこっち」というへそ曲がりだし「少数派でいることを恐れない」という信念を大切にしていますので、周防さんを応援したくて。

 

周防さんは1995年、京都の生まれ。今年28歳です。7歳でバイオリンを始め、数々のコンクールで優勝。12歳の時から国内外の数々のオーケストラと共演されているそうです。天才ですね。

 

今回のプログラムは

リャードフ:交響詩「キキーモラ」作品63

プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲 第2番

スクリャーヒン:交響曲第4番 作品54「法悦の詩」

…という3曲。周防さんは2曲目でバイオリンを独奏しました。指揮は秋山和慶さんという方。恥ずかしながらお名前を存じませんでしたが、今年82歳。クラシックの世界ではレジェンド的存在だそうです。

 

 

私の席からの眺めは、こう。さ、最前列ですよ!「プラチナA席」というのがシルバー価格だと3500円なので安いなと思って買ってみたら「3列目」だったんですけど、この日は3列目が最前列だったのでした。ロックのライブやバレエの公演では何度かあったけど、クラシックのコンサートで最前列は初めての経験。「プラチナS席」だと、たぶんもっと真ん中で、指揮者さんに近い席なのかなと思います。

 

 

今回、実際に登場した周防亮介さんは、こんな感じでした(写真はネットから)。衣装は、ひとつ前の写真のものを着用されていたように思います。楽団員の皆さんは椅子に座って演奏するけれど、ソロのバイオリニストは指揮者のすぐ横で、立ったまま演奏するんですね。周防さんは背が高くて、とても見栄えがしました。

 

で、演奏を聴いた感想はというと…

 

プログラムに載っていた3曲は、正直に言いますと、私にはどれも「???」でした。周防さんが登場した2曲目も含め、聴いていて特に音楽的な感動や興奮はなかった。聴いているのが苦痛ではないけど、心の中で何も起こらない感じ。うーむ。まぁ仕方がない。

 

ただ…周防さんが登場した2曲目のプロコフィエフが終わると、指揮者の人と周防さんが引っ込んで、でも団員の皆さんは座ったままの所に周防さんだけ再び登場。「あれ?どうなるの?指揮者さんいないけど?」と思っていたら、いきなり周防さんがソロでバイオリンを弾き始めました。伴奏は無し。

 

これが凄い!バイオリン1本(1丁って言うんですか?)であんなに大きな音が出るのか!と驚くほどの音量です。しかも一度にたくさんの音が出る。バイオリンて、複数の弦を同時に鳴らすことが出来るんですね。そしてこれは私の当てずっぽうですけど、高い音を弓で弾きながら、低い音の弦は開放弦にして振動させて音が出てるのかな?と思いました(違ってたら恥ずかしい。ギターでは、やるんです)。

 

私は聴いていて、ウッドストックでのジミ・ヘンドリクスの歴史的な名演「星条旗よ永遠なれ」を思い出してしまいました。いやぁ、凄い凄い凄い!プログラムの3曲は残念ながら私に心には響かなかったけれど、ほんの数分間とは言え、あの1曲を聴けただけで幸せでした。本当に背中がゾクゾクしてきちゃった。

 

周防さんのこの演奏で前半は終わり、休憩を挟んでもう1曲やって(周防さんは出番なし)コンサートは終了。でもクラシック初心者の私としては、「周防さんのあれは何だったんだろう?サービス的なやつ?アンコールだったのかな?」という疑問が残ったので、終わったら関係者らしい人を捕まえて確かめてみようと思いながら席を立ちました。

 

ロビーに出ると、楽団員さんの何人かが、担当の楽器と自分の名前を書いた札を首から下げて、お客さんが自由に会話してるんです。あれはいいですね!なので私も、さっきの疑問について尋ねてみようと思いましたが、その前にあたりを見回していると…ありました! ロビーの目立つところに張り出してあった。

 

「本日のソリストアンコール シュニトケ作曲 ア・パガニーニ より抜粋」だそうです。やっぱりアンコールだったんだ!なるほどね~。プログラム全体の途中でも、ソリストの出番が終わるとソリストだけのアンコールをやることがあるんですね。勉強になりました。確か「パガニーニ」って超難曲なんですよね?

 

そう言えばパガニーニを弾き終わると、周防さんが使っていた「弓」がボロボロに?なってしまっているのが良く見えました。よほど強く激しく弾いていたのでしょう。私はレッド・ツェッペリンのトリビュートバンドを率いるジミー桜井さんのライブを何度も観ていますが、「幻惑されて」という曲で、ギターを弓で弾くんです。その時もやっぱり、曲が終わると弓がボロボロになってしまうのを見ていたので、やっぱりそうなんだなぁと思いました。

 

(これは↑エレキギターを弓弾きするジミー・ペイジさん。ツェッペリン本家のほうです)

 

 

 

バイオリンの弓ってどのくらいもつものなんでしょうね?1曲で1本使い切ったりするのかな? それはともかく、周防亮介さんの演奏を聴けて良かったです。次回は独奏のコンサートに行きたくなりました。周防さんには、これからもどんどん「常識の壁」を破って行ってほしいものです。

 

そうそう。コンサートから帰宅する電車の中で、このブログに書いたような感想を思い切り圧縮してTwitterに投稿したんですよ。そうしたらすぐに「いいね」が付いて、誰からかと思ったら周防亮介さん本人からで驚きました!なんか嬉しいけど恥ずかしい~スター フォローはしてもらえませんでしたけど、こちらからはフォローしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<おまけ>

周防さんが使っているバイオリンは、イエローエンジェルというNPOから貸与されている「1678年製ニコロ・アマティ」だそうです。1678年て17世紀。「生類憐みの令」の徳川綱吉や、「奥の細道」の松尾芭蕉がいた時代のバイオリンじゃないですか! 調べたらニコロ・アマティって、ストラディバリウスの師匠だったとかで…もうそれだけでビックリですね。

 

さらに私の脳内には「アマティ」って聞いたことあるな…?という思いが湧いて来て…「確か、女性のF1ドライバーでアマティっていたよね?」という気になって調べたら、いました! F1が空前のブームだった1990年代の前半にちょっとだけF1で走ったことがある「ジョバンナ・アマティ」というイタリア人の女性ドライバー。まったく活躍できずに消えましたけど、いま思うとバイオリン作りのアマティ家と繋がりがあったんですかね? チームにお金を持ち込む替わりにF1に乗ったという噂がありましたし。

 

(ジョバンナ・アマティさん。あまりにも遅くて予選を一度もクリアできませんでした)

 

 

そんなわけで思いっきり話がブレましたね。お許しのほど!ウインク