虫や蛇に会う | マサミのブログ Road to 42.195km

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朝日新聞の文化欄の「語る」のコーナーで、平野レミさんがとても素敵なことをおっしゃっていました。子育てに関することです。

 

 

「人生はゴールめがけて高速道路をバーッと走るのもありだし、下の道を、畑に落ちたり虫や蛇に出会ったりしながら、ゆっくり進むのもありだと思うの」

 

うんうん。私はここを読んで、激しくうなずきました。「畑に落ちたり虫や蛇に出会ったりしながら」というあたりが、いかにもレミさんらしい言葉づかいですよね。なんかちょっと、読んでてジーンと来てしまった。

 

いいなと思うのは、「成長の過程で、ちょっとぐらい危ない目や嫌な目にあってもいい」という意味のことをおっしゃっている点です。これ、父親はなんとなく理解できても、母親という立場ではなかなか難しいと思うんですよね。母親としては「とにかく子供には、危険な場所には一切、絶対に、近づいてほしくない!」と考えるのが一般的でしょう。そういう、子供を守る・保護することが「母性」の本質だと思うし、批判するつもりはありません。でも、レミさんはその辺が少し違っていたんですね。

 

皆さんご存知でしようけれど、平野レミさんのご主人はイラストレーターの和田誠さん。2019年に亡くなりました。

 

和田誠さんは、こういう↑タッチの絵を描く方でした。実に、上手いですよねぇ。私なんかには、映画の中の名セリフを集めた『お楽しみはこれからだ』という本の挿絵のイメージが強烈です。

 

和田誠さんと平野レミさんのご長男が、トライセラトップスというバンドをやっている和田唱さん。奥様が上野樹里さんです。和田唱さんは、お父さんの和田誠さんが亡くなった時、次のようなコメントを発表していました。

 

「親父はスポーツが苦手で、キャンプなんかにも行かないインドア派だったので、自分もインドア派だし、スポーツのルールはほとんど知らない。でも親父は映画やジャズの素晴らしさを教えてくれたし、好きなものにのめり込むことを肯定してくれた」

 

なるほど。こういうご両親に育てられたお子さんたちは、幸せだっただろうなぁと思います。(・・・と思うんですけど、幸せだったかどうか、私が決めることではないですね)

 

 

―――

 

 

結婚もしなかったし、子育ての経験もない私には言う資格はないかもしれませんが、あえて書きますと、私は、子育てで、親が絶対に言ってはいけない言葉が3つ、あると思うんです。

「ふつう」「人並み」「みんなと同じ」

これね。親としては子供の幸せを願うからこそ、こう思うんでしょうけど、実はこういう言葉がどれだけ子供をがんじがらめに縛るか。同感して頂ける人は少数かもしれませんが、少数派だからこそ、切実だと思います。「みんなと同じでなくていいのよ」と言えるお母さん、素敵ですよね。