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あまり日常で考えることはないかもしれませんが、アメリカのような出生地主義を採用している国では、その国で生まれた者は、親の国籍に関係なく、その国の国籍を取得します。一方、日本のように「血統主義」を掲げる国では、親の国籍で子供の国籍が決まります。そんな血統主義の日本で生まれ、出生地主義のアメリカで暮らす私が、子供の人生に一生影響を与えてしまうような間違えをしてしまいそうになったことがあります。この状況に当てはまる人は多くはないかもしれませんが、知っておいて悪くないことだと思いますし、友人などに該当する人がでてくるかもしれません。ということで、この経験をシェアすることにしました。

 

私には、アメリカ国籍の女性との間に子供がいます。何ら珍しいことには思えないかもしれませんが、実は思った以上に複雑なんです。父親が日本人で、アメリカで生まれる訳ですから、子供は自動的に日本の国籍(血統主義)とアメリカの国籍(出生地主義)を獲得するものだと思っていました。しかし、出産の予定日の5日ほど前に、予想をもしていなかった事実を知ることになったんです。

 

問題の根源にあったのが、日本人の私が父親であることと、子供の母親と結婚していなかったということです。子供は母親から生まれるわけで、アメリカ国籍の母親から生まれただけでは、いくらDNAの半分が日本人の父親から来ていても自動的に日本の国籍が与えられないとのことでした。アメリカ人の母親との間に婚姻関係があれば、話は別だったのですが。出産寸前に日本領事館に問い合わせたところ、胎児の認知を宣誓する必要があるとのことでした。つまり、アメリカ人の母親のお腹の中にいる子供が自分の子供だということを宣誓しないといけないというのです。ここで重要なのが、「胎児」を認知するという点です。つまり、生まれてしまってからでは遅いわけです

 

法律の専門家ではない私には、どのように胎児認知をするか見当もつきませんでしたし、出産は迫っていました。急いで書類を作成して、片道2時間かけて領事館に車を走らせました。書類に不備があるとのことで受理はされませんでした。手直しをして、また翌日、領事館に出向きました。なんと、まだ不備があるとのこと。2月の終わりに雪が降ることはめったにないのですが、その日は雪。2回も受理されなかった上、その日は雪。めげてしまいそうでしたが、雪道を2時間かけて3回目の挑戦です。3度目でようやく受理してもらえました!領事館から帰るとすぐ、子供の母親を病院に連れて行きました。子供は、その翌朝、生まれました。時間ギリギリとはこのことではないでしょうか。

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