こぐま星座「天狗」 | 新サスケと短歌と詩

新サスケと短歌と詩

短歌と詩を公開します。

こぐま星座さんの方言詩集「夜を食(お)す国」より、「天狗 てんぐ」を載せる。

同詩集よりの転載は、著者の同意を得てある。今後は1々、この事を書かない。


      「天狗 てんぐ

           こぐま星座


ぼおがまだちゃぁかったときぃ

死んだかあちゃんはぁ

むらのはずれのぉ

このきのしたをとおるたんべぇ

ぼおにゆびさいたなぁ

 ほらあっこにあるやろ えだのとちゅうなかにある

 くろい草がはえてるんてなとこ

 てんぐのこしかけっちゅんや てんぐがすわって

 あしぶらんぶらんさせながらしたみてるの ほらみえるやろ

 ながぁいはなして いっぽんばのげたはいてる

ぼおはぁなんべんもめぇこすってみたなぁ

かあちゃんにみえるもんがなんでぼおにはみえんのやろって


あのころ ここらへんどは

となりのむらへつづくくさみちやったんやけど

いまぁこうちせいりでぼおんとこのたんぼんなってる


あれがやどりぎっちゅうもんやってわかったのは

もくぞうのしょうがっこうのとしょしつやったなぁ


こんなかじぇのきついひにたんぼおこいてると

きついかじぇでごうごうなっているえだんなかにはぁ

てんぐでのうてかぁちゃんがすわっているんてなきやしる

あしをぶらんぶらんさしてぼおのことをみているんてなぁ


かあちゃんはほめてくれるやろうか

ようここまでいきてきたなぁ えれえぞ

ぼおがちゃぁかったとき いつもほうしてくれたように

ガサガサのてのひらで

なぜなぜしてくれるやろうか

ぼおはかあちゃんのほうへむかって

だれにもきかれんようなちえぇこえでよんでみる

かあちゃん ぼおをうんでくれてありがとな

ぼおはかあちゃんのやどりぎやったんやなって