精神科医療について2 | 元気な障害者

元気な障害者

2004年発症。当初はうつ病の診断。転院を繰り返し、発症から10年目で初めて双極性障害という言葉を知りました。休職、復職後、2016年3月に定年退職。2017年7月から障害者枠のパート勤務。
病気のことだけでなく、日々感じたことを書いています。

先日、日本の精神科医療に関するドキュメンタリー番組を見ました。

とても衝撃的な内容でした。

それによると、世界中の精神科病床の2割が日本にあるそうです。

面積比でも、人口比でもほんの小さなこの国が全世界の2割を占めているのです。

人口については、インドや中国のような医療について先進国とはいえない「大国」があるとはいえ、日本の人口は世界全体のわずか2%程度です。

 

そして、入院期間が群を抜いて長い。

ある統計によると日本の精神科の平均入院日数は285日だそうです。

2位の韓国が124日で、3位以下は50日以内です。

このようになっている原因には、病院の収益確保といった、理由として信じがたいもの、精神障害者は危険という考えに基づく国の「隔離収容政策」、医療制度の変遷など様々なものがあるようです。

 

最近摘発を受けたある精神科病院。

過去10年間の患者の78%が「死亡退院」という驚くべき調査結果もあります。

退院の理由が「死亡」ということです。

これは極端な例ですが、しかし、この病院がこのようになってしまったのは、行政にも原因があり、単にこの病院が悪質というだけの問題ではないようです。

 

私は入院を考えたことはありますが、したことはありません。

そのような私の、今の見解ですが、自殺企図や他人への暴力のように一時的に監視や隔離が必要な場合を除いて、精神病の治療に入院が効果的とは思えないのです。

入院治療をなさっている方々には申し訳ありません。

私も入院を考えたときには世間の喧騒から離れて静かにしていたいと思いました。

しかし、今、思うのは、危険がないのであれば、自分ができる範囲で社会と繋がりを持っていた方が良いのではないかということです。

 

さて、その番組に話を戻すと、そこで紹介された66歳の男性は39年間入院していました。

しかも、退院したのは、原発事故で病院が閉鎖になったためでした。

それだけ長いこと社会と離れていたので就職もかなわず、月に8万円の障害者年金で一人で生活しています。

 

もう一人、56歳の女性。

この方も30年入院しており、ようやく地域のグループホームへの入所が決まりました。

入所の日。

高齢の両親とともにホームの相談員と面談。

 

女性「実家に帰ったほうがいい」

父「実家はダメだよ。重荷だよ。」

 

相談員「(実家に帰ることは)お話ししながらやってゆきたいと思います。」

父「お返ししますと言われても迷惑だ。そのときは人生やめてもらう。」

 

この父親の年齢を差し引いたとしても、言葉にできない気持ちでいっぱいです。

しかし、この父親が特別なわけではないと思います。

これが精神障害を取り巻く環境であることは事実なのです。

 

精神科医療そのもの、医療だけではない様々な制度、そして、家族はもちろんとした社会の理解が進まない限り、2割や285日という数字が小さくなることはないでしょう。