抱き締める雅紀は、とても暖かくて。
お日様みたいだった。
俺のせいだった。
他の人にどう思われるだろう?とか、
無理、とか、
どうせ無駄、とか、
そんなネガティヴな思考が、先に立っていた。
だから…
俺の心を映す鏡の様な…こと?
でも、今雅紀は俺の腕の中にいて、
それが嬉しくて、幸せで。
この幸せを、ずっと守っていきたい。
そう思った。
誰に笑われても、否定されてもいい。
雅紀を好きでいる事を、心の中にしまっておけばいい。
そう思った時もあった。
それで、
それだけでいいんだ、って。
「翔ちゃん…さとみさんは?」
「あ…だから、雅紀は消えたのか?」
腕の中で、ぶんぶん首を振る。
「違うけど…でも、ヤだったから」
「だよな…バカだな…俺は」
くふふふって笑う。
「雅紀…もう、何処にも行かねぇ?」
「うん、行かない」
「今夜は、帰らない?」
えっ?
と、上げた顔が……
途轍もなく、色っぽい。
やっべ……。
「急なお泊りは、母さんが心配するから」
あれ?
母さん?って…?
雅紀は、たんぽぽじゃねぇの?
「オレは、翔ちゃんと同じ小学校に通っていた一個下の後輩じゃん」
「う、うん…」
あれ?
「でも、今夜は…帰りたく、ないかな?」
◻︎◻︎◻︎
仕事帰りに待ち合わせして、俺のアパートに行く。
「翔ちゃん、今日はね〜」
「うんうん、今日のメニューは?」
「パスタに挑戦でーす!」
おっ!と拍手する俺。
「翔ちゃんの好きな貝、たくさん分けてもらったの」
最近、レストランでバイトを始めた雅紀。
相変わらず、俺の好きな物をたくさん作ってくれる。
仕事終わりに待ち合わせをして、帰る日々。
アパートの前で、藤井に会った。
「あれ?相葉くん、今日も可愛い笑顔だね〜」
「藤井くん、ありがとう!」
「おい、コラ!藤井は、見んじゃねえ」
と、雅紀の腕を掴んで部屋に入る。
油断も隙もありゃしないわ。
いつの間にか、藤井も他のやつの記憶に、
雅紀はちゃんと存在していた。
これも、不思議な事だって…思う。
「そろそろ、引っ越そうかなぁ」
「えー?どうしたの?」
「ここ、会社の寮だし、狭いし…」
夕飯の下ごしらえを始めた雅紀。
口がひし形になって、“ヘェ〜”と言った。
「少し広い部屋で、2人で暮らさないか?」
周りに何と言われようとも、
根拠のない情報に、右往左往されない。
全ては、迷わない我が心だけ。
「ずっと一緒?」
首をかしげる雅紀に、そっとキスをした。
おしまい☆
ゆるりと、のんびり
そんなお話を書いてみたくなって…書きました。
1話目から段々読んでくださる方が減っていく(笑)
否定されてる様に思えてきたけど、このお話が好きと言ってくれる方もいる。
「自分の書きたい事を、自分のペースで書いていいんだよ?」って声をかけてくださって嬉しかったですm(_ _)m
最終話まで読んでくださった貴女へ。
感謝の気持ちで、溢れてます♡
どうもありがとうございました。
マトちゃん☆