ちょっと間が空きましたが、慶應高校野球部・森林監督シリーズの第3回です。
今回、ようやく本丸の「エンジョイベースボールとは?」についてのお話です。ㅤ

 

 


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(第1回:森林監督ってどういう人? )
https://ameblo.jp/masaki-53so6/entry-12817972829.html
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(第2回:「エンジョイNG」の歴史的背景)
https://ameblo.jp/masaki-53so6/entry-12818108841.html
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さて、この夏の甲子園が始まった当初は注目されていたエンジョイベースボール。森林監督も優勝インタビューで
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「うちが優勝することで、高校野球の新たな可能性や多様性とか、何か示せればいいと思って日本一を目指して、常識を覆すという目的に向けて頑張ってきた。」
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と仰っていました。
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ですが、決勝戦の翌日からは「慶應OBによる甲子園ではしゃぎすぎ問題」がメディアを中心に盛り上がりすぎてしまったことで、森林さんが望んでいた「エンジョイベースボールという新たな可能性や多様性」に関する話題が掻き消されてしまったような気もします(^^;
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ということで、あらためて今回
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「慶應高校が実践しているエンジョイベースボールって何なの?」
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ということについて触れていきたいと思います。
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前回の記事では、これまでは「中学・高校・大学の学生野球はエンジョイしちゃダメだ」という価値感がずっと続いてきたということをその歴史的背景も含めてご紹介してきましたが、それゆえ「エンジョイ」という言葉に対してアレルギー反応を持つ学生野球界隈の方は多いのではないかと思います。だからこそ今回この言葉が注目されたわけですが。
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で、「エンジョイベースボール」というと、単に楽しく「うぇーい」って感じでプレーすることを想像する人がいるかもしれませんが、慶應高校が実践しているエンジョイベースボールはそういうことではありません。
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じゃあその答えは何かというと、まさに森林監督のこの本のタイトルが示しています。そう、「Thinking Baseball」です。選手自らが考えてやる野球のことですね。
監督の言われたことを機械のようにただ実行するのではなく、自ら考え、実践すれば、その結果として「野球が楽しくなるよね?」というのが、「エンジョイベースボール」です。

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ちなみに森林さんがそれを身を持って体験したのは高校時代だったとのこと。当時の慶應高校の監督だった上田さんから、「牽制のサインプレーを自分たちだけで考えて決めなさい」と言われたそうです。それでみんなで集まってあーだこーだいいながら考えて決めて、それを実際に試合でやって牽制アウトにできたときは本当に嬉しかったとのことで、これが「エンジョイベースボールなんだ」ということを体感されたそうです。
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ということで、選手自らが「考えて、実践する」ということが推奨されている慶應高校野球部の方針なんですけど、先日面白い記事がありまして、「結果に対しては怒られないけど、意図に対してはおこられることがある」とのことです。
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どういうことかというと、たとえばノーアウト2塁の場面とかだと、常識的には最低でも「右方向へのゴロ」を打ってランナーを進塁させるといった話があるのですが、仮に進塁させられなかったとしても「何やってんだ!」と怒られることはないということです。
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ですがその代わり、「こういうふうに考えて、こうしようと思ったけど、技術力が足りず、それができなかった。だからその技術を磨くためにこれから練習する」といった「選手の意図」は確認されます。そのロジックがしっかりしていれば、失敗から学び、成長していけるのでOKということですね。逆にあまり深く考えず、ふわっとプレーしたのであればエンジョイベースボールとはいえど、怒られます。
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このように選手自らが「仮説⇒実証⇒検証」を繰り返して自ら学んでいく姿勢で取り組む野球がエンジョイベースボールなんですけど、選手をそのように仕向けていくためには、指導者としても高度な「問いかけ力」が求められます。
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「なぜそのようなプレーを選択したの?」「今の場面ではこういう選択肢もあったけど、こっちを選択したのは何故?」「この結果から、今後どうしていけばいいと思う?」といった、そんな問いかけですね。
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森林さんは筑波大学大学院でコーチングを学ばれ、さらに日々最新の理論や事例もインプットされていることから「こういう選択肢もあるけど、どうする?」という問いかけができるのだと思いますが、エンジョイベースボールを実践しようとすれば、そのような指導者側のアップデートも必須ということですね。
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以上、ものすごく単純化していうと、今までの「選手が自ら考えない野球」に対して、「選手が自ら考える野球」のことを(そのほうが結果的に楽しくなるので)「エンジョイベースボール」と表現しているんですけど、野球やその他体育会系の部活動をやっていない人からすると「選手自ら考えないスポーツなんてあるの?」と思いますよね?
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それがあるんですね。というか多くの野球部がおそらく今もそんな感じです(森林監督もそのようなことを本書の中で述べられています)。監督が絶対的な権力者のように君臨していて、一プレー一プレーの指示は全て監督が行い、選手はただそれを実行するマシンのごとく振舞う感じですね。そのスタイルの成れの果てが、以前問題となった日大アメフト部の悪質タックル事件です。
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あた、昭和から平成くらいまでですかね、大企業での就職戦線でも「大学の体育会系が重宝される」といった話がよくありました。それは敢えて申し上げるならば「理不尽なことであろうが、上の命令に対して思考停止で突き進んでくれる、気合と根性がある学生」がもてはやされていたともいえます。近年、大企業の中で不正事件がちょくちょく起きているのも、このような「絶対服従・思考停止マインド」が少なからず影響しているんじゃないかと思いますがどうでしょうか?
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森林監督が「日本の学生スポーツ界のこの辺は変えたい」と思っていた部分は、まさにこういうところなんですよね。そんな「気合の入った思考停止人間」を量産することが部活動の役目ではないだろうと。昭和の時代は高度成長でそういう人材もビジネスシーンで相性がよかったかもしれないけど、今の時代は違うでしょうと。自律型人材が求められているこの時代に、これからの未来を担う若者を「監督の命令に絶対服従の思考停止人間」に育て上げるのはおかしいでしょうと。
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そんな思いがあったからこそ、優勝監督インタビューで
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「うちが優勝することで、高校野球の新たな可能性や多様性とか、何か示せればいいと思って日本一を目指して、常識を覆すという目的に向けて頑張ってきた。」
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ということを仰っていたんですよね。
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ということで、この慶應高校が実践するエンジョイベースボール、この概念が野球部のみならず、日本の多くの学校の部活動に浸透していくことができたら、この先の日本はかなり良い方向に変わっていくんじゃないかと思います。
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だから本書は部活動に関わる大人に対して義務教育レベルの必読書にしてほしいなと思っているのですが、なかには自分の勉強不足を棚に上げて「あれは慶應という頭のいい集団だからできるんであって、うちらには無理」という志が超低い指導者もいるでしょう。だからなかなか進まないかもしれません。
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ですが、この夏の慶應高校の優勝を機に、このThinking Baseballを読み、実践を試みようとする指導者が1人でも増えてくれたらいいなと、私は心から願っています。
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私にも何かできることないかな?



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今日も読んでいただきありがとうございました。





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