今話題の慶應義塾高校野球部・森林監督シリーズ、第2回です。
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前回は第1回目ということで「そもそも森林監督ってどういう人?」というテーマで、森林さんの経歴や、今の価値感を育むこととなった原体験、「高校の野球部の指導者になりたい」と思うようになった経緯などについてお話しました。
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(前回のブログ)
https://ameblo.jp/masaki-53so6/entry-12817972829.html
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で、今回のテーマは何かというと、メディアでもよく取り上げられている
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✅エンジョイベースボールとは何か?
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です。
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この話の本質に入っていく前に、その周辺から話をしていきたいと思うのですが、まず
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「なぜエンジョイベースボールと言う言葉が話題になったのか?」
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ということなんですけれども、それは暗黙の了解として「野球はエンジョイしてはいけないもの」という思い込みがそこそこ浸透しているからですよね。そうでなければこの言葉が話題にあがることはないはずですので。この「エンジョイベースボール」という言葉が話題になるということは、そういう暗黙の了解が社会の根底にある、ということが言えると思います。
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で、この「野球は楽しんじゃいけない」という思い込みはいつできあがったのかというと、それを考えるには野球が日本に輸入された時期まで歴史を遡る必要があります。

 

 

 


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野球が日本に伝わったのは、明治維新後、開国して富国強兵に勤しんでいた明治時代なわけですが、当時日本には「スポーツ」という概念がなかったんですね。
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スポーツは本来「運動+ゲーム(対戦相手がいて勝ち負けがあるもの)」であり、だからこそ「楽しいからやるもの」「楽しんでやるもの」であり、そして「自主的にやるもの」なんですね。本来強制されてやるものではないんです。僕らも子供の頃は自発的に放課後公園に行って野球をやっていましたが、あれはまさに「楽しいからやる」「だから自発的にやる」というスポーツの本質的行為だったわけですね。
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ですが、開国したばかりの当時の日本には「スポーツ」という概念がなく、どういう位置づけで輸入するかを考え、その結果「教育の1つ」である「体育」として輸入したんですね。だからつい最近、2~3年前まで、祝日の「スポーツの日」って「体育の日」でしたよね?この出来事もつい最近までずーっと、スポーツのことを「体育」と捉えてきたことの証左です。だからこのたび「スポーツの日」に変わったことは、個人的には隔世の感があります。
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ということでおそらくですね、まずここから、「明治時代にスポーツが体育として輸入されたタイミング」から、野球に限らずスポーツ全般について「楽しんではいけないもの」という捉え方がスタートしたんじゃないかと思います。
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話は逸れますが、この「物事がいつ輸入されるか」という時期の問題ってすごく大きかったりするんですよね。たしか「美術」も輸入されたタイミングの影響で日本の小学校での美術教育が今のようになったと、たしか書籍「ビジネスの限界はアートで超えろ」に書かれていたような気がします。
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話を戻して「まず、明治時代にスポーツを体育として輸入したことから、スポーツは楽しんではいけないものという空気が作られたのではないか?」ということなんですけれども、野球に関してはさらにここからブーストがかかる出来事が起こります。
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それは大正時代に黄金期を迎える早稲田大学野球部の影響なんですけど、このときの監督である飛田穂洲(とびたすいしゅう)という人が伝説の人でして。この人は後に「学生野球の父」と呼ばれ、「学生野球とはこうあるべき」という「学生野球憲章」を定めた人なんですけれども、この人がやった野球というのが「スーパースパルタ野球」だったんですね。
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どれくらいスパルタ精神だったかというと、この飛田穂洲さんの著書「学生野球とは何か」より一部抜粋してご紹介します。
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練習の目的は保健長生体位向上にあらず、魂の精錬にある。強い魂は難行苦行のうちよりのみ生ずる。(中略)
学生野球は単なる娯楽にあらず。すなわち学生野球の本分は試合場にあらず、練習場にのみある。さらに学生野球の目的は、練習場で自ら難行苦行の修行に臨み、球禅一致の真理を掴むことにある。その鍛錬は苦痛であり、虐待でもあるが、絶えざる血涙と汗水が純粋なる魂を生み、真理への到達を可能ならしめるのである。
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どうですか?
ヤバくないですか?
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こういう「ゴリゴリのスパルタ野球」を提唱したのが大正時代の飛田穂洲さんなんですけど、今となっては不幸なことに、当時この飛田さんがスパルタ野球によってめっちゃ結果を出しちゃったんですね。
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東京六大学リーグで優勝し、さらに以前ボロ負けしたアメリカのシカゴ大学にも勝ち、早稲田大学野球部の黄金期を築いてしまいます。
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そんな「結果が出た」ことによって、「スパルタ方式が最善の方式」という感じになっちゃったんでしょうね。さらには時代背景としても富国強兵で軍国主義に向かう中、こういう「軍隊的厳しさ」は社会とも相性が良かったんじゃないかなと思います。
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ちなみに「丸刈り」や「掛け声をかけて足並みそろえるジョギング」、「足並みを揃えた開会式の入場行進」などは、あれは全部、おそらく軍隊由来ではないかと思います。
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それに気づいたのは中学生のときなんですけど、当時「フルメタルジャケット」というアメリカ軍の今でいう「ブートキャンプ」の映画を見たんですね。その映画は開始早々、軍に入隊した若者たちがバリカンで頭を剃られ、その後三列の隊列で掛け声をかけながら足並みを揃えて走るという映像がありまして、「これって、俺が野球部でやってるやつやん!」と気づきまして(^^;
ちなみに私はその後アメリカでの高校野球も経験するのですが、アメリカの高校野球ではそんな「軍由来の行動様式」は一切ありませんでした。
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ということで、話を「学生野球の父、飛田穂洲さん」に戻しますと、この飛田さんの影響が日本のその後の野球部、ひいては体育会の部活動全般にそれなりに影響を与えてしまったんじゃないか?と思えてきます。
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そう考えるとですね、今回慶應義塾高校が「このような旧来的な野球部の思想を変える」という意気込みで頑張って優勝してくれたわけですけれども、その旧来的な野球を作り上げることに大きく影響したのが私の母校である早稲田大学であったという歴史的背景に、なんか「ごめんなさい」という気持ちが芽生えてくるわけであります(^^;
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以上ですね、今日は「エンジョイベースボールとは何か」に進む前に、
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✅エンジョイベースボールが注目されているということは、高校野球はエンジョイしちゃいけないという思い込みがあるってことですよね?
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✅じゃあそもそもなぜ、高校野球は楽しんじゃいけないってことになってるんでしたっけ?

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という歴史的背景について、ざっくりと書いてみました。
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次回からですね、「エンジョイベースボールとは何か」のその中身に触れていきたいと思います。

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今日も読んでいただきありがとうございました。





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