大阪万博危機 (山本理顕) | 川島正仁の南米体験歌

川島正仁の南米体験歌

川島正仁は、東京オリンピックの年(1964)、高校を卒業し、翌年19歳で南米アルゼンチンに移住します。日本を最後の移民船「アルゼンチナ丸」に乗船し、横浜港の大桟橋から出航しました。その時からの苦しい移民生活を、歌とともに綴ります。

「ずさんなん実態」日本人として5年ぶりの快挙となった山本氏は、受賞後のインタビューで来年4月から開催される「大阪・関西万博」について問われた際、「あれほど醜い計画は、建築家から見たらあり得ない」などと舌鋒鋭く批判した。今回の万博における問題点は「責任者が誰なのか分からない」ということに尽きます。実施主体は国や地方自治体、経済界が手を組んで立ち上げた「2025年日本国際博覧会協会」となっています。ところが万博の話題については、岸田総理を始め担当大臣や国会議員、そして開催地の大阪府と大阪市の首長等、様々な人が話をしておられますが,それぞれどのような立場と責任から発言しているのか。誰が総責任者なのか分かりにくい。国や大阪府・市などの行政のみならず、経団連など民間からもお金を投入し「国家事業」として進めているのですから、責任の所在は隅々まで明確でなければなりません。私が建築家の立場から憂慮する「木造リング」についても実際は誰が考案して設計したのか。会場の設営を進める万博協会が、いつ誰に依頼して承認したのか。常識的に納得できるような公的説明が皆無です。最後に山本氏の憂慮は、大阪府・市が誘致を進めたカジノを含む統合型リゾート(IR)を前提に、万博の計画が進行してきたことにも及ぶ。藤本さんに直接会った際、大阪に住む人々の生活に無関心だなという印象を持ち、不安に感じました。万博の会場は、大阪市民が生活する街から遠く離れた場所、大阪湾のゴミ処分場の跡地です。そこに会場を作ると決めた政策自体に問題があります。大阪の都市計画、未来のビジョンがないまま、短期的な金銭的利益のために万博を利用するのは間違っている。万博用地の後利用として、IRを計画した方が合理的だと考える人もいるかも知れませんが、そこで生まれた利益は、本当に大阪市民に還元されるのでしょうか。ほとんど海外のカジノ業者の利益になるだけでないでしょうか。IR計画は地元経済のカジノ依存を生み、むしろ周辺の産業基盤を歪んだものにします。更に言えば、そうしたギャンブル事業による収入を、大阪府・市の財政に恒常的に組み込むこと自体が問題です。ギャンブルを運営する業者が失敗しないために、その利益を安定させる政策にならざるを得ないからです。万博は現在のみならず未来の住人に対して夢を与えるために開催されます。「夢洲・万博・IR」が地元自治体トップである大阪府の吉村洋文知事らの夢だとしたら、それは大阪の人たちに共有されているのでしょうか。未来の住人であるはずの子供たちに、きちんと伝えられる夢なのだろうか。甚だ疑問です。

私は上記の文章は「建築界のノーベル賞、ブリッカー賞を受賞した建築界の山本理顕氏(79歳)が週刊新潮に書かれたものです。私も全く同じ意見です。思えばかなり昔のことになるが、たまたま元ボクシング世界バンタム級王者、辰吉丈一郎の防衛戦が大阪で開催され、テレビを見ていたら前座に何と元知事松井と橋本両氏がリングに上りマイクを持つと、「皆さん、カジノを作って大阪を盛り上げましょう」こう宣言したのである。彼らは以前から「夢の島」(ごみの島)をクリーンしレジャーランドを設立する構想をアピールしていた。この時、彼らの周りには恐るべき人間関係が構築されている、と思ったものだ。それが残念ながら今度「万博」によって完成するのだ。しかもこの「夢の島」をクリーンする770億円の莫大な経費は政府が持つことが確認されている。彼らが築き上げた「大阪維新の会」がその「担保」になっているのだ。皆さん、これが現実のわが国の姿なのです。私たち国民がもっと「哲学」を学び、努力し、戦う気持ちを持たないと日本は世界中の「笑いもの」になってしまうでしょう。