私はいまだに「漫画」の大ファンである。特にさいとうたかおのゴルゴ、鬼平犯科帳、藤枝梅安、そして弘兼憲史の黄昏流星群などだ。この流星群の今月号に掲載されている204ページの文章には特に驚き、感動した。「おー、ええ感じで苗が出たな」「じゃ、今からこの箱苗を踏んでくれ」「え!せっかく伸びた苗を踏むんですか?」「そうだ、麦踏と同じで踏むと苗が負けまいとして強く根付くんだ」「人間と同じで甘やかして育てたらロクなものは出来ん」「いじめていじめて、そこで立ち上がらせるんや!」
今の社会の問題は「教育」です。社会を支配しているこの「エリート教育」では単に点を取って「試験」に合格し、有名学校に進学すればよい、これでは記憶力の高いものだけが断然有利だ。全国に一万校以上もある「予備校」のビジネスが盛んになる一方だ。そしてここの勝者が官僚、弁護士、医者などの「エリート」となり、国を動かしているのだ。残念ながらこの「予備校教育」では、「人間の心」「哲学」を学ぶことはできない。このような時間があれば「テスト勉強」に向けるほうが賢い。と考えている。ここまで社会環境が大きくなるともう誰も反対できない。この流れに沿って我々「愚か」な国民は生きていくしかないのだ。ゆえにこの社会の「エリート中のエリート政治家」を観察したら良く理解できる。彼らは本当に国を愛し、国民の幸福のために戦っているのか、残念ながらそのような政治家は見渡らない。皆、自分のことばかりを考えている人たちだ。彼らにあるのはとてつもない「野心、名誉欲、金銭欲」だ。
重ねて、私はこの弘兼先生の流星群の作品の大きさに感激する。先生の作品はいずれもわれわっれ人間の中に存在する「欲、醜さ、その中でもやさしさ、おおらかさ」を実に巧みに表現している。
「ところで田植えはまだなの?」「うん、明日かrさ始める。明日は小学生も来るぞ!」「なんで?」「子供たちにコメつくりの楽しさを体験させようと思っているんだ」「わー!」「きゃー!」「冷たいよ!」「ほら、遊ばないで!ちゃんと心を込めて植えなきゃ良いコメは出来んぞ!」「おじさん!このお米食べられるの?」「食べられるけれど、このお米は山田錦といってお酒を造るための米だ!」こうして子供たちに「お米を作る」大切さも教育する。
私には3人の孫がいて2人は隣の家の息子夫婦の子供だ。故にあえてこのような「素敵」な漫画を紹介する。今までの努力が少しは実ったのか。今日も「じじ!」「今日バスケットボールのフリースロー大会で優勝したよ!」と言いながらメダルを見せてくれた。自分たちを明白に表現する知恵と勇気を身に着けているようだ。この一歩一歩の積み重ねが真の教育だと確信する。