賭博企業 (特別編) | 川島正仁の南米体験歌

川島正仁の南米体験歌

川島正仁は、東京オリンピックの年(1964)、高校を卒業し、翌年19歳で南米アルゼンチンに移住します。日本を最後の移民船「アルゼンチナ丸」に乗船し、横浜港の大桟橋から出航しました。その時からの苦しい移民生活を、歌とともに綴ります。

大谷選手の違法賭博問題に揺れる3月下旬、テニスの国際ライター協会から「ギャンブルに関する重要なお知らせ」とのメールが届いた。大会取材する者の、賭け関連のメディアへの寄稿を禁ずる内容。当然大谷の件とは無関係で、テニスにおいて賭けは日常というだけだ。テニスとギャンブルの親和性の高さは、圧倒的な試合数の多さに起因するだろう。上はグランスラムから下は一万五千ドルの大会まで、あらゆるグレードの大会が毎週のように開催され、全てが賭けの対象になりうる。そうなると頻発するのが八百長だ。腐敗行為を監視する第三者機関が2008年に設立され、21年からは国際テニスインテグリティ機関(ITIA)として監視体制を強化した。ITIAが今年1~3月末の間に公表した不正行為による処罰は9件に上る。内訳は選手の八百長もあれば、審判員がスコアやスタッツをごまかしたケースも少なくない。また2月には、元世界4位のスター選手で、現在はマイアミ・オープン(OP)のトーナメントディレクターを務めるジェームズ・ブレークが「賭博会社の宣伝とみなされる行為」を取ったかどで5万6250ドルの罰金を科せられた。さらに女子プロツアーを運営するWTAは、ファンタジースポーツやオンラインカジノを運営するFANDUEI社と契約し、同社に試合のスタッツや選手データなどを提供する。今やテニス界において賭博運営企業は重要なビジネスパートナー。賭けの対象になることを運営側が推奨しているのだから、不正が増えるのも当然だろう。不正に加えて問題となっているのが,ソーシャルメディアを介した選手たちへの脅迫。賭けで損失を被った人々からの馬頭雑言に満ちたメッセージを選手たちは日常的に受け取っている。直接的な被害はなくても精神的苦痛は計りしれない。

 

上記の文は4月8日に掲載された朝日新聞の記事である。大のテニスファンである私には実にショックな話である。今までは我が国だけが「博打大国」だと思っていたがこの記事で考えが変わった。トランプなどの人間性の低い人物を大統領にする国民も最悪のレベルだとは思っていたがこうしてみると「人間」の質はどこもたいして変わりはないようだ。「北欧諸国」の人間レベルはいまだに尊敬してはいるが、彼らの教育の素晴らしさのお陰だ。本当にこのような社会の中で生き抜くということは実に困難なことだ。これが「人間道」なのだろう。