井伏鱒二の短編を読みました。
今回は、小学館の「群像日本の作家」シリーズ「井伏鱒二」に掲載されていた短編で、まだ記事に書いていなかった作品を少しだけ。
前回書いたのはこちら↓
作品ごとにリンク貼りました😅
今回書いたのはこちら↓
13. 鯉
14. 白毛
15. かきつばた
13. 鯉
随筆。やっぱり井伏鱒二は律儀な性格である。間違いない
この作品は、井伏が親友から一匹の立派な鯉を譲り受けたエピソードが描かれている。鯉を放す池がないため、親友の愛人宅の池で預かってもらうのだが、病により親友が死去してしまった。
その後の、鯉をめぐって交わされる親友の愛人と井伏の手紙のやりとりが何とも言えない。井伏は大切な親友から譲り受けた鯉のために(それは親友のためでもあるから)大真面目なのだが、その真面目さが愛人には伝わらない。逆に「乱暴」とか言われてるし…読んでいると、なんかおかしい。
鯉をもらっても…ちょっと…どころかかなり困る…。昔は鯉を飼う家も今よりも多かっただろうけれど。
資産価値がある鯉もあるから、現代でも錦鯉かなんかが泳いでいる池を持つ富豪もいるけれど~。
あっ
ちょうどこの前、鯉と遊んだ写真があるので載せておこう
池に近寄った途端、鯉たちは大興奮であり…、
カオスである…。
鯉が鯉の上に乗っかってきちゃって、これこそまさに、こいのぼり🎏…!
‥‥‥
それにしても、アゴ外れないのかな?
危うく、食べられちゃうところだった。
顔を丸呑みされそうだった~。危なかった~
14. 白毛
これも随筆。先ほども書いたけれど、井伏鱒二は律儀である。
律儀であるがゆえ、時にそれが裏目に出て相手に反感を食らう場合もあるようだ。その代償は、ある若者二人に白髪を抜かれることだった。35本の白髪を‥‥‥。35本って‥‥‥。
「おッさん、これに懲りたら、白毛ぞめでもすることだな。とにかく、身だしなみといふことは大切だよ」
井伏さんなりの親切だったが、若者に白髪を抜かれ、余計な説教される井伏さん…。
若者の気持ちも分からなくもない。
15. かきつばた
カキツバタの狂い咲き。
これは、広島が爆撃されて間もない頃の作品で、井伏が戦時に郷里福山で疎開していた時の経験を記述している。時期は8月中旬を過ぎた頃。一方で、カキツバタが咲く時期は5~6月とされている。
なんの関連性もない広島の爆撃とカキツバタの狂い咲きが一つにつながる事実がこの作品の中に描かれている。とても生々しい作品。
カキツバタはちょうどこれからの時期に咲く花。
ーー
短編はひとまずこれでおしまい。
お読みいいただきありがとうございました