母親とともにケイシーのところに相談に訪れた男子学生。
いまで言うならADHDのカテゴリーに入るのかもしれません。
18歳から20歳までの4回のリーディングからご紹介します。
(リーディング番号830-1~4)
※ ADHD(attention deficit / hyperactivity disorder)
注意欠如・多動症 : 不注意・多動・衝動性を特徴とする発達特性
「落ち着いて座って勉強することができない」
と本人も母親も言います。
そのためか学業も不振。
そのほかケイシーが指摘する彼の特徴は
・夢想家で人から理解されにくい
・努力はしているが集中力がない
・活力のあるときと明らかに低調なときがある
・気持ちが安定せず、思いがあちこちに飛ぶ
・環境にうまく適応できず混乱する
・受動的な状態でいることができず、活動せざるを得ない
・内面の想像力、正義感、自尊心、誠実さを表現しようとしても短絡的(short-circuit)になってしまう
ケイシーのアドバイスは次のようなものです。
① 母親のかかわり方
② まず身体の調整をする
③ 勉強と瞑想にもっと時間をかける
④ 1日の終わりに経験したことを記録する
⑤ 職業選択について
以下、解説していきます。
① 母親のかかわり方
ケイシーの回答がここから始まっているのは興味深いです。
心配し過ぎるのをやめて本人の理想・目的を尊重するよう、
長々と諭されています。
「母親が息子の助けになりたいと願うのは自然なことだが、個人の人生は、その人自身のものである。そのような思いが過剰になると、時に相手にとって躓きの石となる。彼の目的、理想を尊重するのが望ましい」
「自身で選択することをせず、他人の欲求に従って、あるいは導かれるままに生きるなら、それは本人の為にならずむしろ害になる」
「心配することは、息子の経験に混乱をもたらすだけでなく、母親自身も落ち着かない気持ちになるだろう」
「母親と息子の双方に必要なのは、確固とした決意、利己的でない態度である。 そうあることで互いの関係性が建設的で心地良いものとなる」
「心配するのではなく、相談相手になることである。 怒ったり、争ったり、不安に苛まれたりして心にバリアーを築くことにならないように。(中略)各々が神との関係性を適正に保つことができれば、各々の経験を通して愛のある建設的な関係性を育むことができる」
② まず身体の調整をする
「身体的な不調のために集中力が欠けていたのである。努力が足りないわけではなく、集中することができなかったのだ。身体の不調や周囲の環境がかえって混乱を招いていたからだ」
…とケイシーは言います。
ADHDについて世の中の理解が進んできているとはいえ
いまも往々にして努力不足という誤解を招く場面が
あるかもしれません。
「この身体は、普通に見るならほぼ正常だが、精神的能力に物質としての身体機能が協調していない」
これは、思いと行動を同期させるのが難しい、と
言いかえてもよさそうです。
当事者の実感に近いものがあるのではないでしょうか。
身体機能だけ見ても
ADHDでは協調運動障害を併発することがよくあります。
走る、ボール遊び、などの手と足を協調させた動きが
困難になることです。
現代西洋医学では、まず脳に焦点を当てて
セロトニンやノルアドレナリンなどの
脳内物質を調整することを目指しますが
ケイシーは脊髄神経の通り道である脊柱の調整から
始めるようにアドバイスします。
いつもケイシーは“協調”を重視しており
脳脊髄神経系と交感神経系(=自律神経系)の協調、
表層循環と深部循環の協調についてよく指摘されています。
具体的な調整方法としては
・第4腰椎と尾骨の異常(インピンジメント)をオステオパシーで矯正
…この異常が副腎と松果体の活動を妨げ、軟骨量が不足して身長が伸びなかった、と指摘されています。
・波動治療(電気的振動の正弦波反応による波動)
…現在可能なケイシー療法のなかでは、ウェットセル治療ということになるのかもしれません。詳細も、実際におこなわれたかどうかも不明です。
・屋外での運動
…「朝は横隔膜より上の運動、夜は下肢の運動をそれぞれ2~3分」と指示されています。
・通常の食欲と活動を維持する
…このケースではとくべつ食事内容は指示されませんでした。
「じっとしているように強制してはならない! それは本人の意思を押さえつけ、反抗心をそそることになりかねない。 人は誰でも自身の行いを選択する権利があり、自身の理想に従って生きる権利を持つ。それがいわゆる習性、無意識的な行動となって表現されるのである」
「他人の意思に従わせることは、個人の魂が経験を通して成長するための大きな力を破壊することに等しい。 本人の魂、身体、精神が何を欲しているかを考慮しなさい」
「身体的な抑圧が解消され、正常な流れが回復すれば、この人は健全に発育する。集中力も高まり、献身への能力と願望はより明確になり、身体機能も周囲の状況に対する反応も、より完全に果たすことができるようになる」
③ 勉強と瞑想にもっと時間をかける
詳細な指示はありませんが
ここには“ゆっくり”という意味も込められている気がします。
ADHDの特性から
何かを遂行することに時間がかかるものと
認識する必要があるのかもしれません。
「勉強と瞑想にもっと時間をかけなさい。無理矢理ではなく、自分の周りで起きることを観察できるように、自己を開くのである」
④ 1日の終わりに経験したことを記録する
“自己を開く”ためにケイシーは
「diaryではなくrésumé」つまり
「単なる日記ではなく、要点を整理してまとめた概要」
を作るように言っています。
これには詳細な指示があります。
・その日一日で経験したことを毎晩、心で思うだけでなく寝る前に紙に書くのをルールとする。
・人に見せるものではなく、自分自身のために書く。
・他者を非難しない。自分を非難しない。
・自分の考え、願望、希望、経験、自分がおこなった親切なこと、他者から受けた親切について書く。
・書いたものを少なくとも30日間は読み返さない。あとで読み返すと、自分のなかの変化に気がつくことができる。
不特定多数に見せるSNSとはまったく違うもので、
ADHD治療ですすめられる“スケジュール管理”とも
異なるものです。
客観的な視点を持つためと考えられますが
「1か月間は読み返さない」という指示も興味深いです。
私の年代では『愛少女ポリアンナ物語』の
“よかった探し”を思い浮かべてしまうのですが…
わかる人いるかしら?
「汝自身を知れ。誰を信ずるかを知れ。この世的なものでも物質的なものでもなく、精神的・霊的なものについて“なぜそうなのか”その理由を知りなさい!そして自分自身についての記録をつけることによって、肉体的にも精神的にも反応をもたらし、それぞれの魂が物質世界に現れる目的にかなうものとなるだろう」
⑤ 職業選択について
職業についての相談には
厳しいとも思える回答をしています。
「願望を達成することは困難だろう。 建築士や技師になるには決まり事や条件が必要であり、この人には耐え難い経験となるのは明らかだ。結果として“努力するに値しない”という結論を下すことになる。ただ流されるままに身を処すようになるかもしれない」
「実際にその活動に関わってみて、その仕事が自身に適しているかどうかを判断すべきだ。自身の選択に任せなさい。無理強いをしてはいけない。 神は、各々の魂が、その活動を通して地上において神の御力を顕現すべく意図されたのであるから」
「(大学よりも働く方がよいか?)この人自身の選択に委ねられるべきだ。数か月後には身体の修正がなされるので、その間に再び社会との関わりや労働、人脈を通じて自己表現の機会が訪れるかもしれない。そうした表現を通して、仕事や活動にはもっと完璧な適合性が必要であると認識することとなる――あるいはすでに始まっている方向性へと進むべきであることに気づくだろう」
・・・いかがでしょうか。
けっきょくこの男子学生は大学を辞め、
機械関係の専門学校を経て
飛行機会社で働くことになりました。
工場長になり、結婚して子どもももうけたとのことです。
「汝自身を知り、そして汝の理想が何であるかを知れ!」
「各々の魂は、創造的諸力たる神の御心に従って、自身の理想を実現すべくこの世に生まれて来るのである」
「自身が出来ることを行いなさい。後のことは、造り主である“主”がなさるであろう」
・・・自分の理想のためにできることをする。
けっきょくのところ、この世で生きていく私たちには
それがすべてと言えるかもしれません。
ADHDのような特性は
現世的には不利益があるかもしれませんが
個人のたましいが神と向き合うということにおいては
すべての人はみな同じなのだと思います。
長文お読みくださりありがとうございました。






