「りんごをナマで食べてはいけない」
ケイシーの食事療法のなかで
これほど世間一般の認識と合わないものもないでしょう。
「1日にりんご1個で医者いらず」と言われるくらい、
身体によい食品の代表とされていますから。
結論を先に。
・加熱したりんご(皮つきのままロースト等)はたいへんよい。
・りんごには鉄分が多く含まれるので貧血の人によい。
・樹上で完熟したもののほうがよい。
・基本的にナマのりんごは食べない。とくに胃腸の弱い人。
・リンゴダイエットのときのみナマで食べてよい。
・ジェネティング種(国光)とジョナサン種(紅玉)がよい。
(次点としてデリシャス系ふじ・ジョナゴールドもありかも)
・胃腸が丈夫な人はナマで食べてもよい。
(上記2種を少量、よく噛んで)
以下の解説は長いので、ご興味ある方はお読みください。
*加熱したりんごとナマのりんご
リンゴは調理したものに限る。 リンゴを皮ごとローストしたもの(焼きリンゴ)として食べる。(2015-8)
りんごは加熱すると栄養価が高くなるので、
現代でも加熱調理して食べるのがすすめられています。
りんごのペクチン(腸内環境を整える食物繊維)は
100℃以上で加熱することで最大9倍に増加するそうです。
だからといってナマのりんごに
有害成分があると言われているわけではありません。
*りんごには鉄分がたくさん含まれる
血液を生成するものを体内に取り入れる。果物、特にリンゴやナシに含まれるもの、その中に含まれる鉄分。(4841-1)
梨やリンゴやブドウなど、鉄分を含む果物が良い。(4368-1)
リーディングでは、鉄分が多いことから
貧血の人にすすめられています。
現代のりんごはとくべつ鉄分が多いわけではないようですが
ビタミンCや有機酸が多いことから
貧血にもよいとされています。
*樹上で完熟したもののほうがよい
熟していれば、生のリンゴを食べさせる。(4281-5)
りんごやバナナについてはとくに、完熟がすすめられています。
フルーツも野菜も、成熟段階によって栄養素が変化します。
りんごの場合、タンニンは成熟にともなって減少していきます。
*ナマのりんごがNGな理由
リーディングから読み解いた仮説です。
1. りんごは身体を酸性化するから
2. りんごは体内で特殊な酸をつくり出すから
*ケイシー的には、りんごは身体を酸性化する
通常りんごはアルカリ食品とされています。
しかし理由はわかりませんがリーディングでは
“ナマの”りんごは酸性食品に分類されるのです。
アルカリ反応を起こすものを多く摂る。つまり、酸や調味料、白パン、ジャガイモ、生のリンゴ、バナナなどはだめだ。
(846-1)
大きな不安やストレスを抱えている時には、生のリンゴやバナナなど、酸を作り出す性質の果物を食べてはならない。
(1724-1)
りんごは白パンやじゃがいもと同列に語られるくらいの
酸性食品らしいのです。
以前PRAL(潜在的腎臓酸負荷)という概念を紹介しましたが
計算式で類推する酸性度よりも
体内ではもっと多様な反応が起きており
把握するのは容易ではないのでしょう。
ケイシーが何度も言うように
そこには“組み合わせ”の関与もあるわけで。
(問)果物と肉汁を摂るように言いましたが、それらは腸を酸性過多にします。どうすれば正すことができますか?
(答)もっと一貫した方法で摂るようにすることだ。量を摂るのではない。 これらを決まった順に摂る。1回の食事で両方を摂ろうとしてはならない。(325-50)
*ケイシー的には、りんごは体内で特殊な酸をつくり出す
(問)なぜりんごは良くないのでしょうか?
(答)りんごは体内に苦味(bitterness)を作り出すような酸を産生するからである。 それは十二指腸での逆流作用によって作り出され、りんごのこの性質のために過剰の負担を強いられた膵臓からの分泌物によって産生される。(325-14)
これがリーディングの答えです。
これ以外あまり理由が見当たりません。(はせがわ調べ)
みんなもっと訊いといてくれればいいのに(-_-)
「苦味をつくり出すような酸」
これはいったい何のことなのでしょうか?
294番はケイシー自身のリーディングですが
これがヒントなのかもしれません。
食事にピクリン酸が多すぎる。
[グラディスのメモ:ケイシーは1日リンゴダイエットをしたのですが、かなり苦しくなって止めなければなりませんでした。そのことだと思います。]
(294-194)
ピクリン酸!
「3つのニトロ基と一つのヒドロキシ基がベンゼンに結合した
芳香族化合物。2,4,6-トリニトロフェノール。
下瀬火薬(日露戦争で使われた火薬)の成分。
ギリシャ語で「苦い」を意味する pikros が語源。」
ピクリン酸は強酸で人体には有害です。
りんごそのものに含まれているわけではありませんが
体内で生成される“苦い酸”はこれのことでは!?
…と、決着をつけようと思ったのですが…
胃酸や膵液との化学反応式までは不明。お手上げ((-_-))
じつはピクリン酸は梅に微量に含まれており
それが肝臓や腸のはたらきを活発にするとされています。
やっぱり、“苦い酸”は
ピクリン酸のことではないのかもしれません((-_-))
さらにピクリン酸は当時、滅菌スプレー的に使われてたらしく
ピクリン酸の作用は粘膜に有効(363-1)
という記述もありました。
けっきょく“苦い酸”の正体は現時点ではわからずじまいです。
ともかくケイシー流食事療法においては
酸性・アルカリ性、がもっとも重要なようです。
*りんごの皮のタンニンもNG
りんごの皮にはタンニンが含まれます。
タンニンはポリフェノールの一種で、抗酸化物質として有用なはたらきがある反面、鉄の吸収を阻害する作用もあります。
ある種の食べ物がこの障害(炎症、眼の不調、耳鳴り)を悪化させる―タンニン酸などの酸やネバネバするものを作り出すもの。ある種の桃やプラム、リンゴ、チョコレート、コーヒー、紅茶など。(3407-2)
タンニンがあるからりんごがNGという記述はこれだけでした。
赤ワインにも、コーヒーにもタンニンが含まれますが
ケイシー的にこれらはOK。つまり量によるんでしょうね。
でもコーヒー・紅茶にミルクを入れるのがNGという理由には
タンニンが関わっているのではないかと私は考えています。
タンニンが多い柿もリーディングに登場しますが
もっぱら髪にウェーブをつけるための使用法として登場し
そもそもあまり食べられてはいなかったようです。
ところで
りんごNGの食事療法として“低FODMAP食”があります。
消化しにくく発酵しやすい糖類を避ける食事療法。
りんごはフルクトースやソルビトールを多く含む、
という理由でNGになっていますが
ケイシー的な理由とはまったく関係がなさそうです。
*リンゴダイエットについて
消化管を浄化する。(1622-1)
体内浄化の食事療法(2423-1)
肝臓と腎臓と全身の活動が浄化するため(1850-3)
なぜりんごなのか?の理由は不明です。
注意点としては
・(やっているあいだ)馬車馬のように働いてはならい!
(307-14)
・ヒマシ油パックを行っているときは、体内浄化法としてのリンゴダイエットを行ってはならない。(543-27)
・少なくとも毎日5~6個のリンゴを食べなければならない。 (1409-9)
・食事を再開した時には、がつがつ食べてはならない。
あまりこってりしたものや味付けの濃い食べ物は避けること。(1850-3)
意外な活用法
自分でサナダムシの有無を検査したければ
3日間、生のリンゴだけで生活することだ! (567-7)
きっとサナダムシが出てくるんですね♪
*りんごは種類によって違う!
ジョナサン種か、ジェネティング種がよい。(294-182)
ジェネティング種のリンゴであれば加熱調理すれば与えても良いだろう。(142-5)
デリシャスはジョナサン系である。(780-12)
リンゴの中には酸性のものもあるが、そうでないものもある。(4834-1)
品種によって酸性かどうかまで違うとは!
おすすめの2種は酸性ではないというのが理由らしい。
ほかにもリーディングにはこんなに多種類が登場していました。
アーカンソーブラック、オレゴン・レッド、シープノーズ、デリシャス、アーカンサス・ラセット、ベン・デイビス、ワインサップ・・・りんごファミリー多彩すぎる・・・
*ナマで食べたいならこの品種!
生のリンゴは、ジェネティング種以外は、あまり良くない。(820-2)
ジョナサン系のリンゴが手に入るのでない限り、生のリンゴは食べない。(3423-1)
3日間リンゴだけ(できればジョナサン系のものを)食べる。
これにはデリシャスも含まれる。デリシャスはジョナサン系である。(780-12)
ナマはぜったいダメと言われた人もいるいっぽう
緩い制限にとどまる人もいます。
消化力に合わせて、ということなのでしょうね。
*現代日本で食べるなら?
・ジェネット種(jenneting)
さかのぼるとRall's Janetといい、いろんな亜種があるらしい。日本では「国光(こっこう)」
・ジョナサン種(Jonathan)
日本では「紅玉(こうぎょく)」
国光は知っているけど東京のスーパーではあまり見かけません。
紅玉は早い時季に出回り、ジャムやアップルパイ用というイメージ。わりと口当たりが軟らかいです。
デリシャスはジョナサン系(780-12)
という記述があることを考えると、以下2品種もOKかも?
「ふじ」=「国光」×「デリシャス」
「ジョナゴールド」=「ゴールデンデリシャス」×「紅玉」
*もしかしてこんな理由も!?
ケイシーは敬虔なクリスチャンで
あちこちに聖書からの引用があります。
りんごNGにはこんな理由も関係していたりして。
もっとも旧約聖書には、智恵の樹の実がりんごだと
書かれているわけではないようですが・・
バナナ説もあるらしいし。
1日1粒のアーモンドは、リンゴよりもさらに人を医者いらずにする力がある。 なぜなら、リンゴは堕落に導いたが(創世記)、アーモンドはそうではないからだ――なぜなら、あらゆるものが死に絶えた時(ノアの洪水を指すのか?)、アーモンドが花を咲かせたのである。(3180-3)
*余談:「りんごがぼける」ってわかります?
方言って自分じゃ当たり前すぎて
通じないときにビックリしますよね。
「りんごがぼける」「ぼけりんご」
食べ頃を逃してシャクシャク感がなくなり
ボワッとした食感になることを言います。
新潟県上越地方と長野県北信地方でしか
使われない表現のようです。(はせがわ調べ)
りんごのあの状態を表現するのに
これ以上に適した言葉はないと思うのですが。