- 2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」/講談社
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米国国家情報会議は、中・長期予測のために作られた機関であり、
この報告は、4年に1度に刷新され、新大統領の就任式の前に渡されるとのことです。
第一印象は、膨大な情報からエッセンスを簡潔にまとめ上げた、コンパクトなレポートです。
超多忙な合衆国大統領に対して、短時間で「中長期の世界のトレンド」の要点を伝えようとすれば、このようなものになる見本ですね。
気になる日本は、このままだと世界一の高齢者大国として経済は縮小の一途をたどる事は確実です。現在、日本の中間所得層の購買力は世界全体の約10％ですが、2050年には3％まで低下してしまうのです。
但し、この現象は日本のみならず、欧州、アメリカにも起こり得る事であり、アジア、中国、インドが相対的に成長を続け、50年間かけてその購買力が逆転します。
さて、構成は次の通り。
第1章 メガトレンド 「2030年の世界」を決める4つの構造変化
メガトレンド1 個人の力の拡大
メガトレンド2 権力の拡散
メガトレンド3 人口構成の変化
メガトレンド4 食料・水・エネルギー問題の連鎖
第2章 ゲーム・チェンジャー 世界の流れを変える6つの要素
ゲーム・チェンジャー1 危機を頻発する世界経済
ゲーム・チェンジャー2 変化に乗り遅れる「国家の統治力」
ゲーム・チェンジャー3 高まる「大国」衝突の可能性
ゲーム・チェンジャー4 広がる地域紛争
ゲーム・チェンジャー5 最新技術の影響力
ゲーム・チェンジャー6 変わる米国の役割
第3章 オールタナティブ・ワールド
2030年のシナリオ1「欧米没落」型
2030年のシナリオ2「米中協調」型
2030年のシナリオ3「格差支配」型
2030年のシナリオ4「非政府主導」型
核戦争の危機、気候変動や環境破壊、人口増加に伴う食料や水の問題など、深刻さを増していく悲観的なシナリオもあれば、一方で最貧困層が半減し、中間所得者層が増えるとの予測や、
エネルギー資源の見通しなど、楽観的なシナリオもあります。
また、先進国と途上国の勢力図の塗り替えのスピードが想像以上に加速します。
かつて19世紀の英国はGDPを2倍にするのに、155年かかりました。
中国やインドのそのスピードは10倍、人口は100倍です。
インターネットの普及により、英語さえできれば情報格差は縮小し、中間層に流通している情報は簡単に入手できることもこの一因です。
今後、ますます、悲観的な要素と、これらを克服しようとする人類の知恵が、激しくせめぎ合っていくであろうとおもわれ、
現実的には、2030年のシナリオは4つのミックスの状態ではないかと思います。
数多くある未来予測の著作の中でも、中長期の世界のトレンドを確認するうえで価値ある一冊としてご一読下さい。
シンガポールへ向かう機内で読みました。
ジョホールバルの”ジャスコ”でミーゴレンを食べました。
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