「FALL/フォール」 | 定年後の風景

定年後の風景

定年後や病気のこといろいろ書いてます

 

2022年米国作をアマプラ424作目となります。地上600mの廃棄電波塔に登って、ユーチューブ配信しようとする映画です。最近配信されたのか、ネットでもちょくちょく見かけます。まあ27インチのテレビで見てても、眩暈してふらつく映像が、これでもかと展開されます。

 

物凄い、これまで見たことない高所感と言って過言は無いと思います。見事なもので、どうやって撮影してるのか興味津々となりますが、まあやってることは、いつものユーチューバーの話で、単にお馬鹿な危険やってるだけなので、緊迫感と感情移入に欠けるのが難点でしょうか。

 

冒頭は、もっと凄いロッククライミングを若夫婦と、女性友達がやってるのを映して、これまた目が眩みますが、これはまあよくあると言うか、断崖絶壁を楽しむのはよくある映像で、鉄塔1本の天辺に行くと言うのと訳が違います。

 

クライミング愛好家には申し訳ないですが、馬鹿さ加減が違います。そしてまあ結局この絶壁で、旦那が隙間から飛び出した鳥か何かに驚いて転落死してしまいます。映画見てるだけだと、この男性はてっきり主役女性の彼氏と思ってましたが、旦那さんて言ってたかなあ。

 

しかしまあこの辺で、三角関係になってるのが後で出て来ます。旦那を亡くした女性は、打ちひしがれて、父親にはあんな男を選んだお前が悪い、などと責められます。きっと旦那の影響で絶壁登りの趣味に入ったと、父親は怒ってるでしょうか。そのことに娘も怒ってます。

 

さあこれから、予告にあるあの鉄塔に登るまで時間かかるやろなあとの思いで、実は本作をすぐは見なかったのです。するとあにはからんや、彼女が打ちひしがれてる最中に、一緒に登ってた登山仲間の女性が、いきなり訪ねて来て、気晴らしと彼氏の弔いに、鉄塔に登ろうと訪ねて来て、話は早かったです。

 

二人で鉄塔に登って、配信したろやないけ、とそう言う動機です。ここで友人彼女は、自分の彼氏の写真の顔を見せず、既にここで亡くなった彼氏の存在が怪しくなります。動機はよく分りません。

 

(以下ネタバレします)装備を車に積んで、現地に着くと、鉄塔は廃棄されて閉鎖されてて、二人は装備持って2キロほど歩いて鉄塔へ行きます。鉄塔は錆びて朽ちてて、あたこちガタが来てそうでした。

 

あの細い1本が自立してるのは難しかろうと思ってると、当然長いワイヤーで、3方から引っ張って固定してました。それなら可能でしょう。これからまあ錆びたガタガタのタラップ昇って、最上部手前の、白い小型パラボラアンテナ2基がある部分に辿り着きます。

 

そこから更に別のタラップに移り、さらに最上部のデッキに辿り着くと、登頂は成功となります。しかしこのどれを見ても、これからも、装備不足、準備負不足の彼女らには、到底無理だろうの感覚が湧き、それが最後まで続いたでしょうか。

 

まあ、ハラハラドキドキはしますが、なんでわざわざ感も同時に湧いて来て、即ち感情移入感は極度に減って来て、盛り上がりには欠けてくるのが、皮肉でしょうか。見てると高所感の連続に疲れてくるのもあります。シンプルで良いのですが、場面転換は少しは要った気もしました。

 

そして、最上部のデッキに辿り着き、やおら小型ドローンを取り出して、スマホで操縦して、鉄塔の上の自分らを撮影して成功となります。若い人にには凄いことかも知れませんが、年寄りにはそれがどうした程度にしか思えず、すんまへん。

 

それでまあ、目的は達したので、やおら降りようとすると、アンテナ部から最上部のデッキに上がるタラップが老朽化と腐食で外れて落ちます。さあこれで大変。二人は最上部の僅かな面積の鉄骨デッキに取り残されます。

 

スマホの電波は高過ぎて繋がりません。なので、配信撮影は録画して後で配信だったです。なのでスマホを発信状態にして、靴に靴下と入れて、地面に落としたり、さらに上部に鉄棒を登って、航空灯の電球外して、ドローンに充電して飛ばしたりします。

 

パラボナに落ちたリュックをとりに行って、水などをとりに行ったり、見つけた双眼鏡で、人を見つけて発煙弾撃ったりしましたが、全て上手く行かず、嵐が来たり、ハゲワシが襲って来たりして、結局絶望してると、実は友人彼女は、既に死んでて、亡霊が彼女を助けてたと分ったり、この辺は面白かったです。

 

そして、もう一人になった彼女は、やおらもうあかんと朦朧としてると、そこに糜爛しかけてる太ももの傷の臭いに、ハゲワシが食い付きに来た所を、逆に首しめて殺して、その生肉食って元気を出します。

 

そしてまたパラボナの所へ降りて、友人死体の腹の傷口の中に、靴に入れたスマホをねじ込んで、遺体ごと地面に落として、これによってついに助けが伝わります。これで救助隊が駆け付け、ヘリが来て、彼女は救われ、父親が駆け付けて映画は終わります。

 

終幕が若干呆気なかったでしょうか。それでもって、これに何の意味があるのかと年寄りはふと思うだけなのでした。友達一人死んで、随分人に迷惑かけて、違法行為一杯して、賠償金も随分あるやろなあと、ふと思うのでした。

 

特撮は鉄塔と人間を入れ替えて、巧妙にデジタル撮影してると思いましたよ。また実際に鉄塔の実撮影したり、セット作って大掛かりな実写撮影も随分してると思いました。この鉄塔は回りが平原で、もっと風が強くて揺れてると思いましたよ。

 

まあ高所映画と言うと、WTCの屋上を綱渡りで渡った映画の方が、ドラマティックだったと思いました。あれは芸の追究に命賭けてました。これで製作費3億円で、興収17億円で、やはり多分は若者層には人気あったと思われました。まあトントンで利益出たでしょうか。

 

危険個所に入って、動画撮影に兆戦することは、若者には大事な目的であることが分ります。まあ昔の人も随分無茶な挑戦して来ましたけどね。