「富士山の急登について」
2年前に登山に復帰してからは、
最大のものとしては富士登山を2回しています。
一昨年に吉田ルートから、昨年は富士宮ルートからです。
この2年、準備期間を含めると3年ちょっとの間、
意外にも私の周囲には登山をやっている人がいるのが分かり、
何人かと話す機会がありました。
非常に興味深い反応をしたのは、
北アルプスにガンガン行く本格派で富士登山の経験の無い2人でした。
何となく富士登山を敬遠している感があり、
ド素人の私が登ったと言うと興味津々で聞いて来ました。
日本アルプスに凝る人達は「いわゆる山岳好き」であり、
急登だけでなく登山技術も好んでいるように見えました。
そして北アルプスの素晴らしさを滔々と語ってくれました。(笑)
お陰でこちらも行く気満々になってますが。(笑)
それはともかく、富士登山について言うと、
どうやらテクニカルな面においては、
アルプスほどは無いのが分かって来ております。
いわゆる「鎖場」はありませんでした。
一見すると鎖はありますが、
それは登山道との境界線を表す物であり、
掴んで登るための物ではなかった記憶があります。
まあ、3000mを超えた地点でそんなのが出て来ると、
思わず掴んでましたが。(笑)
では富士山がイージーだったのか?と言いますと、さにあらず。
死ぬほど大変でした。
中でも、これは吉田ルートと富士宮ルートで共通していますが、
七合目から八合目へかけての急登がヤバかったです。
一昨年、初めて富士登山を吉田ルートから登頂した時、
当時のランニング能力は35kmでして、
ビリーズブートキャンプなどのトレーニングもバッチリでしたから、
心の奥底ではそれなりに自信がありまして、
事実、七合目まではほぼ楽勝で行けたのであります。
しかし記憶に間違いが無ければ、
七合目の最後の山小屋の前を通過し、
八合目への急登が突如姿を現した時、
本気で回れ右をして帰ろうかと思ったのであります。
ド素人が見たソレは崖に見えたからです。
こんなの登れる訳ないだろうがっ!!が正直な感想でした。
事前登山として超久しぶりに丹沢表尾根縦走をやって、
鎖場を経験していなければ、本当に回れ右をしていたと思います。
この場所は去年の富士登山特集番組でも取り上げられておりまして、
(写真参照)
暴風豪雨の吹き荒れる富士山を3人の若い女性が登って行く姿を取材していました。
彼女たちは八合目の山小屋に予約を入れていたので、
今更変更やキャンセルはダメだと思い込んでいて登山を強行していたのでありました。
私はそのシーンを見ていて、
あれれ、この悪天候の中、まさか八合目へのあの急登に突入するのか???
本当に死ぬぞっ!!とハラハラして見ておりましたら。
番組スタッフが強行して崖登りを始めた彼女たちに向かって怒鳴り始めました。
「戻れっ!!戻れっ!!本当に恐い!!」と。
こうして彼女達は登山を中止し、
七合目の山小屋に空きがあったので、
急遽変更して泊まった経緯があります。
ちなみに富士山の山小屋は悪天候が理由の場合、
(高山病や疲労も含む)
山小屋のキャンセル料は発生しません。
迂闊に強行すると本当に死ぬので危険極まりません。
さて、その七合目から八合目への急登。
私が初めて吉田の八合目の山小屋に泊まった時、
山小屋の人に聞いたのですが、
「ここまで来れたら登れますよ。
これと似た急登は九合目にも出現しますが、
距離は短いです。
絶対に行けますから安心して下さい。」
と言われました。
確かに当たっていると思います。
少なくとも富士登山を完遂出来る体力的水準は確実にクリアしていると思っていいかと。
ただし高山病リスクと天候リスクがありますので、
それさえクリア出来ればと言う前提条件は付きますが。
吉田・富士宮両ルートのこの八合目までの急登は、
傾斜がキツいだけでなく延々感が凄いのであります。
もしかして八合目は存在していない?と思わせられるほど続きます。
しかも双方共岩場です。
ゴツゴツした溶岩みたいな道のような崖のようなのがずっと続くヤバさ。
初めての吉田ルートの時のランニング能力は前述したように35kmでしたが、
翌年の富士宮ルートの時は42.195kmのフルマラソンを走り切れるようになっていました。
正直、楽勝で行けるとさり気なく思っていました。
しかし元祖七合目の山小屋の前でまさかの足が攣りかける事態に。
幸い即座に芍薬甘草湯を飲んでかわせましたが。
そうして七合目から八合目の急登に突入したのでありますが。
今でも思い出します。
ここで毎日人が死んでますと言われても、
「でしょうね」
と普通に思うほどのヤバさを。(笑)