「奇妙な果実 怒りと悲しみのバトン」:NHK映像の世紀バタフライエフェクト
最近のテレビは偽善映像番組ばかり垂れ流している。
しかし時折放って来る本物の良質な番組を目の当たりにすると、
失っていた真実の冷酷さに愕然となる。
それがNHKの「奇妙な果実」と言う番組だった。
歌のタイトルなのだが、
私とは世代が全然違うため、
何となくタイトルだけは聞いた事があったなレベルだった。
さて、私達日本人は何だかんだ言って、
未だに「欧米」に弱い。
特に身体が大きく金髪青目の白人に対して劣等感を持ったり、
その社会基盤に理想を求めたり、
媚びたり、逆に強がってみたりと、
この対応は老若男女、富める者も貧しい者も持ち合わせているから厄介極まりない。
そして中には欧米に理想を見ている者は数多い。
インテリ層にもいて、テレビや新聞マスコミで主張しまくるから悪質だ。
この番組は黒人ジャズシンガー、ビリー・ホリディが1939年に発表した、
「奇妙な果実(Strange Fruit)」と言う歌の内容についてだった。
その歌詞の意味は極めて陰惨であり、
当時は発売を引き受ける会社がなかなか無かったと言う。
バブルを体験した後、不況の長引く令和に生きる私達日本人は、
現在やたらと欧米人を取材して「日本凄い」と言わせて悦に入る番組が幅を利かせている。
日本のアニメや日本食はアチラでも大人気なんだと言う。
1980年代くらいだと、
欧米人に「寿司」=「生の魚を食べる」と言った途端に野蛮人扱いされていた。
今のようにヘルシーフードの最たる物とは考えられていなかった。
気持ち悪い物の代名詞だったのである。
また日本人についても昔はエコノミックアニマルと呼ばれたり、
これまた面白くない人間の集合体扱いされていた。
そんな事情を海外に渡った日本人は私こそ違うとか、
私こそ海外の伝道者みたいな威張り方をし、
それは今でも立派に生きている伝統になっている。(苦笑)
さて、現地において日本との違いを非常に強く感じる場面とは何だろうか?と考えると、
あくまでも私的な意見ではあるが、
良く言えば「積極性」、悪く言えば「攻撃性」になると思っている。
ここは悪く言っておく。
非常に攻撃的なのだ。
それは大航海時代からの歴史を見ても明らかなように、
キリスト教を布教させて、経済と軍事力を見せつけて一気に植民地にする手法からしてよく分かる。
こちらが嫌だと言っても向こうからやって来て、
断固として戦わない限り、向こうは諦めないのである。
そして戦って負ければもちろん植民地化される。
さらに奴隷貿易なるものまで生まれ、
アフリカの黒人だけでなく、戦国時代には日本人までが奴隷として売られて行き、
それが豊臣秀吉の怒りと伴天連追放令に繋がって行く。
さらに徳川時代には鎖国になった訳だ。
その頃のアメリカでは、比較にならないくらいの人種差別が行なわれていた。
いや、差別ですらない。
もちろん黒人は奴隷でもあるが、
改めて番組の映像を見るとかなり酷い。
人間とは全く扱われていない。
1つの事件が紹介されていた。
ある14歳の黒人少年が親戚の家に行くために旅をして某州にやって来た。
雑貨屋か何かの店に入った時、
白人女性がいたので口笛を吹いたと言う。
すると近くにいた女性の夫や友人達が、
その黒人少年が気に入らないと言ってリンチをした挙げ句殺してしまったのである。
その死体は顔面が陥没して、見て失神する人も多いほどだったと言う。
問題はさらに続く。
これはさすがに裁判になる。
だが陪審員は全員白人で、何と無罪になってしまう。
私達日本人は何となく「人種差別」と言うと、
レストランで注文を取りに来ないとか、
侮蔑的な言葉を吐かれるくらいのイメージでいると思う。
だが、番組で掲載されていた写真は、
リンチされた挙げ句に木に吊るされた黒人達の姿であり、
その周囲では楽しそうに群がる白人達が写っていたのである。
これは差別ではなく娯楽になっていたとしか言えない。
ヤらせ映像なのであろうか???とすら思う。
現在のアメリカの人種差別反対デモを見ると、
何となく嘘臭さすら感じてしまう面もあったが、
改めて映像としての人種差別ならぬ虐殺を見ると。
日本人の想像を遥かに超えていると思う。
これは酷いな。
相当、酷い。
https://youtu.be/-DGY9HvChXk?si=YxhM2xJ_LiToQIKV