登山の遭難者数は増えるに決まっている | 東京・横浜物語

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東京・西麻布に生まれ育ち、現在は横浜に居住する筆者が、
東京の山の手地区の昔話や東京・横浜の生活などについて語って行くブログです。

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「登山の遭難者数は増えるに決まっている」

 

超絶疑問:スマホの使用率は全携帯電話の96%超なのに、

     何故道迷い遭難が増えているのか???

     無料で、電波の届かない場所でも素晴らしい威力を発揮するのに、

     どうして登山専用の地図アプリの推奨をしないのか???

 

《具体的に言わないと全然ダメ》

 

・×体力をつけよう× 具体的にどんな練習をどのくらい?

 

・×地図と磁石を持とう× 今でも必携品ではあるが、

              何故、スマホの地図アプリ(ヤマレコ、YAMAPなど)を教えない?

 

・遭難事例を扱う最新のYouTubeチャンネルも昭和時代の道迷い遭難を解説するものが多い←×

 何でこんな事(古い遭難事例を取り上げる)をするのか理由が全く分からない。

 これだけ登山専用の地図アプリが発達し、

 街で見かけるほぼ全ての人がスマホを使用しているのに、

 何故、登山のベテランの説明は旧態依然のままなのか?

 昭和時代に紙の地図と磁石すら持たないで道迷いをしたなどと言う事例は何の役にも立たない。

 迷って当たり前。

 令和の問題は誰でも使い易い令和の地図アプリを使っても迷ったケースや、

 地図アプリの使い方や、地図アプリの欠点などを挙げるべきであり、

 紙の地図や磁石の説明をするのはどうかしている。

 

後述・詳述しますが、

私は長い長いブランクを経て、

ちょうど2年前に登山を再開した者でして、

登山再開にあたってはその1年前から、

つまりこの3年ほど最新の登山情報収集をしています。

 

現在、登山の遭難者数は1年間に約3000人ほど発生し、

その中の1割、約300人ほどが死亡し、

増加傾向にあると言われています。

 

中でも中高年以上の遭難や死者がかなりの比率を占めています。

 

遭難原因は半分くらいが道迷いで、

道迷いから来る焦りで崖に直面し強行して滑落、

と言うような典型的な遭難パターンを入れると軽く半分以上が道迷いか、

道迷いから端を発していると言われています。

 

逆に考えると道迷いをしなければ遭難を半数以下に抑え込める事になります。

 

また、富士登山がその典型なのですが、

中高年以上の者が極度に疲労してしまい、

身動きが出来なくなって救助要請と言うパターンも多発しています。

 

ちなみに僅か2ヶ月ほどしかない富士登山のシーズンですが、

その僅かな間だけで60~80件ほど遭難が毎年毎年発生しています。

 

つまりほぼ毎日、シーズン中の富士山では遭難が発生している計算になります。

 

富士登山の場合の遭難は道迷いは少なく、

圧倒的に疲労や高山病により身動きが出来なくなるパターンが多いと公式サイトでは発表されています。

 

私はこのような事態は当たり前だなと強く感じています。

 

何故かと言いますと、

前述しましたように私の登山経験はかなり特殊でして、

そもそも若い頃から一応少しはしていましたが、

それほど頻繁ではなく、

ここ15年以上は全くやっていなかったのであります。

 

色々な事があり、今からちょうど2年ほど前に再開した経緯があります。

 

従って再開の1年ほど前から、

つまり3年ほど前から再開に当たって最新の情報を得ていたのでありますが、

随分と登山事情が変わっているのに気付きました。

 

ところが肝心要の登山のベテラン達が、

公的な場で言う事が相変わらずの旧態依然とした役に立たない事ばかりで、

これは酷いと思っていたのであります。

 

先ずは道迷いについてです。

 

多くのベテランはその著書でもテレビでも必ず「地図と磁石は必携品」と言います。

 

これは確かに正しいのですが。

 

逆に私は一般の登山者に聞いてみたいのであります。

 

「貴方は地図と磁石を正式に使えますか?」と。

 

はっきり言います。

 

そんな人はほとんどいないと思っています。

 

何となく自分は学校でも習ったから使えるはずと思い込んでいるだけです。

 

山岳部出身者とか山岳会に入っていて正式に学んだ人以外は、

先ず使えてなどいないと思っています。

 

理由は非常に簡単です。

 

物凄く難しいからです。

 

リアルな登山シーンにおいて、

国土地理院2万5千分の1地図に磁北線を書くのは当たり前です、

などと言う人がいたら逆に凄く珍しいかと。

 

私は登山再開に当たり、登山ナビ系の本を数冊買い込んで読んでみたのですが、

「これは素人には無理だ」と感じました。

 

はっきり言いますと、登山の紙の地図と磁石によるナビは、

ベテランがオレ様は使えるぜと威張るためだけのものに成り下がっているのでは?、

と言う疑念すら抱くレベルです。

 

もっと言いますと、素人が本だけ読んでマスター出来るようなものではありません。

 

遭難が起こる度にテレビでは識者やベテランが地図と磁石をと言いますが、

多分持っていても以下の理由から無駄です。

 

(もちろん今でも必携品の中の必携品ですが)

「そもそも紙の地図と磁石は迷ってから出しても手遅れ」だからです。

 

残念ながら迷ってからだと、その段階でもう気休めに過ぎません。

 

これは登山のナビ系の本には普通に書いてあります。

 

理由は、地図読みで一番大切な「正置(整置)」と呼ばれる、

現在地と地図を合わせる作業が迷ってからだとほぼ不可能になるからです。

 

これはベテランでもかなり難しいと言われているそうです。

(迷ってからでは素人はほぼ無理)

 

従って月に1~2回くらいしか登山しない愛好家レベルでは、

紙の地図と磁石の使い方をマスターするのはかなり困難だと思った方がいいかと。

 

しかし相変わらずベテランは真っ先に紙の地図と磁石の携行をと言い立てます。

 

他に手段がなかった昭和時代なら仕方ありません。

 

ところが現在は令和です。

 

その令和の登山シーンでは、

紙の地図と磁石は携行すべきではあるが、基本的にはリュックにしまっておき、

「登山専用の地図アプリ(ヤマレコ、YAMAPなど)をメインに登山せよ」

と言うべきでありましょう。

 

そして故障や電池切れに対して、

予備の充電池や予備の接続コードを必ず用意し、

さらに最終手段として紙の地図と磁石は今でも必携である、

何故ならスマホが故障したら最後だから、と伝えるべきです。

 

ちなみにGoogleマップは登山には対応しておりませんし、

そもそも電波の届かない山ではGoogleマップは使えませんので、

必ず、登山専用の地図アプリを使う必要があります。

 

これを使えれば先ず迷いません。

 

もちろん電波の届かない場所でも見事に使えます。

(スマホ自身がGPS衛星の電波を受信するから)

 

しかもヤマレコならば無料版でも充分に使えます。

 

使用方法は少し慣れが必要ですが、

週に2回くらい1時間程度イジっていれば、

基本操作は1ヶ月もしないうちに習熟するかと。

 

さらにSNS的な交流機能もありますから非常に面白いです。

 

後は実践投入するだけです。

 

「登山専用の地図アプリが使えたらほぼ道迷いとは無縁になる(油断禁物だが)」

 

従って登山初心者は最初にヤマレコやYAMAPをダウンロードして、

その習熟に時間を充てるべきです。

 

多分、紙の地図と磁石を使ったアナログのナビの習熟には、

講習会に参加しても実践訓練も必要なので、

本気でやっても実質上半年はかかるかと。

 

しかも、ここが恐いのですが、

「アナログ手法は間違え易い」です。

 

せっかく習って自分では分かったつもりでも、

現地では非常に間違え易いと思っておかないと危険です。

 

つまり、手間暇かけて覚えたつもりでも、

相変わらず非常に危険なのだ、と。

 

ともかく私はヤマレコの無料版の愛好者ですが、

登山版カーナビを実感しています。

 

予め設定したルートから50mズレたら音声で警告してくれる素晴らしさ。

 

これが無料で使える素晴らしさ。

 

相変わらず紙の地図と磁石の使用を優先させる意見を言うベテランは危険過ぎるかと。

 

まとめ:紙の地図と磁石を使った方法はそもそも初心者が習得するには難し過ぎる。

    さらに習得したつもりでも間違え易い。

    令和の登山シーンにおいてはヤマレコやYAMAPの習熟と使用を最優先せよ。

 

続いて登山体力についてです。

 

どんな登山書を読んでも、

「入門、初級、中級、上級」だとか「星5つでの5段階評価」しか書いてありません。

 

最新の本の一部には「コース定数(ルート定数)」と呼ばれる数値で表すものもあります。

 

しかしながら、例えば富士登山吉田ルート「中級」「コース定数42」と表記されても、

どう解釈していいのか入門者には分かりません。

 

ちなみに山と渓谷社のアルペンガイドの記載では、

富士登山は全てのルートが「上級」となっていますが、

別の登山書では「中級」となっています。

 

上級と言われたら何となくヤバそうだと初心者は思います。

 

しかし中級だったらどうでしょうか???

 

中級と言われた場合、解釈は人によってかなり違って来ます。

 

つまり非常に曖昧な表現がずっと罷り通っています。

 

中級とか星4つと言われた場合、初心者は一般的には、

学校の成績表からこう思ってしまう人が多いでしょう。

 

「頑張れば何とかなる」と。

 

コース定数42に至ると何が何だかでしょう。

 

ちなみに基本的にはこんな感じです。

 

コース定数

10 入門

20 初級

30 中級(健脚向け。日帰り登山の限界)

40以上 上級(健脚向けで1泊2日以上の日程が必要)

 

さすがにコース定数は新しい概念だけあって、

少しは分かり易くなっています。

 

中級と上級の間は数値になってますから妙な思い込みの入る余地はありません。

 

しかし致命的な欠点があります。

 

「どんな練習をどれくらいすればいいの?」には一切答えてません。

 

ちなみに初心者が一番知りたいのは「どんな練習をどれくらい?」です。

 

そこを教えられない限り、意味のない戯言です。

 

富士登山吉田ルートで考えてみます。

 

コース定数が42だと1泊2日にすべしと言うのは分かります。

 

おそらくアルペンガイドだと上級だから相当厳しいのも分かります。

 

しかし登山書の中には富士登山を中級としているものもあります。

 

初心者はここで大混乱する訳です。

 

では具体的に何をどうしたらいいのでしょうか???

 

現在出版されている登山についての体力の本は、

色々と練習方法が述べられていますが、

初心者は読めば読むほど混乱するだけです。

 

いくつもの筋トレのやり方が書いてあった場合、

それを全部する必要があるのでしょうか???

 

うんざりするだけです。

 

歩くのがいい?一駅手前で電車を降りて歩け?

 

ランニングがいい?ではどのくらい?

 

ランジスクワットがいい?ではどのくらい?

 

書いてある本もあるにはあります。

 

登山をする以上はこのランジスクワットを1日に〇回せよ、とか。

 

しかし特定の山、あるいは特定のコース定数に対しての、

「具体的な体力基準の説明は皆無」です。

 

つまり初心者が一番知りたい、

どんな練習を週に何回くらいして、

どのくらいのレベルになったら合格なのか?と言う一番簡単な事に、

驚くべき事に現在の登山界では一切答えてくれません。

 

ただ、疲労遭難が起こった時だけ専門家が出て来てテレビで、

「山をナメてはいけない」とか「もっと体力を」などともっともらしく言い立てますが、

具体的な事は一切言わないのであります。

 

雨具だとか登山靴だとか装備については言いますが、

もっとも大切な、そもそもその山を登るだけの体力があったのか無かったのか。

 

ここが一番大切なのであります。

 

私が登山再開に当たって一番困った事でもあります。

 

「一体どんな練習をどのくらいすれば富士山に登れるのか?」

 

いい加減で抽象的な表現のオンパレードに酷く困惑してしまい、

これでは埒が明かないと結論付けまして、

後に大当たりだったマラソン基準で取り敢えずこうしたのであります。

 

「横浜市都筑区の遊歩道全ルート約25kmを走り切れたら富士山に登る」

 

これを目標に体力作りに励んだのであります。

 

結果的に最新の情報を得て組み立てて行くと、

富士登山における体力指標が分かって来ました。

 

「人間の体力は(取り敢えず)ランニング能力でしか分かり得ない」

 

つまりスクワットが100回出来れば富士山に登れるのか?と言いますと、

それは違います。

 

2駅手前で降りて毎日歩いていれば登れるのか?と言いますと、

それも違います。

 

富士登山の公式サイトにさり気なく名回答が載っています。

 

フルマラソン42.195kmの消費カロリーは2500~3500kcal。

 

富士登山の消費カロリーは3000~4000kcal。

 

何故、弾丸登山(夜通し登って頂上で御来光を見て泊まらずに戻るスタイル)をしてはならないのか?

 

識者も県の看板も危険だから、としか言いません。

 

弾丸登山=フルマラソンを走り切るよりも少し大きい体力が必要

 

つまり弾丸登山をするにはフルマラソンを走り切れる体力が無いと無理、となります。

 

だからこそ1泊2日にしないと出来ない訳です。

 

こうして考えると、

富士登山に必要なのはハーフマラソンを走り切れる体力となるのが分かって来ます。

 

富士登山(1泊2日)= ハーフマラソン級の体力

 

これ、当たっていると強く実感しています。

 

ハーフマラソン級の最低でも21kmを、出来たら25km以上を走り切れるだけの、

脚力と心肺能力が無いとかなり難しいかと。

 

さらに具体的に言いますと、1回走った事がある、では全然ダメです。

 

週に2~3回の日常ランでは10kmを楽に走り切れること。

 

最長ランニング距離は最低21kmで、出来たら25km以上欲しいです。

 

また、富士登山の前に低山を数回は登っておき登山特有の動きに慣れておくこと。

 

これが現時点で到達している富士登山における私の具体的な体力基準です。

 

ここを超えておかないと非常に厳しいと思います。

 

もちろん本番では体力以外に「高山病リスク」「天候リスク」が入って来ますから、

登頂確率は良く言われているように50%くらいになると言うのも当たっていると思っております。

 

上級 = コース定数42 = 1泊2日以上 = ハーフマラソン級体力

 

これを中心に考えると、一気に登山書の活用が極めて正確に出来るようになると強く感じています。

 

もちろんランニング能力以外にもっと分かり易い体力基準があればいいのですが、

残念ながら今のところ存在していません。

 

初心者を混乱させるだけの指標なら要りません。

 

この2点(登山専用地図アプリの無視、体力基準の無視)が、

今の私が非常に厄介に思っている登山の世界の現状です。

 

ちなみに山岳会に所属し、

北アルプスなどをガンガン行く愛好家にこの疑問をぶつけてみたところ、

う~ん、としばらく考え込んでしまい、

「確かにそうかも」と言っておりました。

 

登山の盲点だと思っております。

 

終わり