「マラソンの世界」
偶然「ランスマ倶楽部」の特別編があるのを知り見る事が出来た。
この番組はランナーのためのもので、
マラソン世界のトレーナーとして有名な金哲彦さんを中心としたものだ。
特別編は60歳になった金さんがフルマラソンでサブ3を目指すと言うもの。
サブ3とは42.195kmを3時間切りの2時間台で走り抜くこと。
市民ランナーとアスリートの境界線とも言われているそうだ。
かつてはトップランナーだった金さんも様々な病気やケガ、
そして何よりも加齢により、
もうサブ3では走れなくなっていた。
サブ3の達成率は3〜4%と言われているそうだが、
この確率はあくまでも大会参加者をベースにしたものであり、
全てのランニング愛好者を計算に入れたら、
そもそも42.195kmを走り切ることすら非常に難しい。
多分、普通にそこらを走っている愛好家を含めた場合、
そんな統計は存在していないと思うが、
どう考えても1%もいないし、
大会に出る、などと言う人すら稀だ。
ちなみに大会参加者の中で、
60歳でサブ3を達成する確率は0.02%だと番組では言っていたが、
前述したように、大会参加者をベースにした数値でもここまで低いのである。
一般の60歳以上の大会非参加者ランナーがサブ3で走るのはほぼ不可能と考えた方がいい。
冗談抜きにこの確率を無視してサブ3に挑むのは、
元アスリートならともかくも、
一般ランナーが目指した場合、死の危険があるかと。
さすがに金さんは物凄い努力をして再びサブ3が目指せるレベルになりつつあったのだが。
残念ながら本番では途中で両方のハムストリングをヤッてしまい、
激痛に襲われながらのランとなってしまった。
驚いたのはそれでも途中までは1kmあたり4分15秒以下のサブ3ペースをキープ出来ていた点にある。
途中では先行するハリー杉山さんを視程に捉え、
追い付けるぞ、と言うところまでの素晴らしい走りを魅せてくれていた。
残念ながら激しい痛み以降はペースダウンするも、
それでも5分台を維持しながら3時間16分ほどでゴールしていたのは驚異的だった。
ちなみに私の場合、後先を全く考えないで、
1kmのみの全力疾走をしても6分30秒が限界だ。
それ以降のランニングは不可能になるくらいヘバりにヘバる。
これはもう努力でどうこう出来るレベルではなく、
死の可能性すら本当にある。
ちなみに走らない、あるいは鍛えていない中高年者の場合、
40歳でも間違いなく全力疾走が出来なくなっているはずだ。
かつての私はまだまだ若いつもりでいたのだが、
犬が逃げ出して全力疾走した時、足がもつれてしまい酷いショックを受けたのである。
はっきり言ってしまうと、
鍛えていない中高年者は1kmは絶対に走れないし、
全力疾走も出来る訳はない。
やったら最後、心肺をヤッてあの世行きになる可能性は充分に高い。
それほど「走る」と言う行為は過酷だ。
さらに「サブ3」とはどれだけ凄い事なのかが、
番組を見ていたら嫌と言うほど思い知らされた。
金さんは病気やケガ、最愛の奥様を亡くされたりと、
様々な艱難辛苦を抱えながらの挑戦だったが、
それでも達成出来なかったサブ3。
号泣されていたが、
何と言うか、良い番組だったと思う。
ちなみに今の私は何とか2回ほどフルマラソンを走り切った経験はあるも、
もちろん大会なんかに出られるレベルではない。
その2回とも、純粋ラン時間だけでもサブ7がいいところ。
とても大会に出て云々言えるレベルにはない。
むしろそれはウォーキングだろ?と言われるほど遅い。
そうまでして何故走る?と思う方も多いかと。
だが、遅くても42.195kmを走り切れた場合の無敵感は何物にも代えがたい。
そしてその無敵感は夢とか空想の類ではなく、
体力勝負だけの場所であるならば、
リアルに行けてしまえる事実。
これは本当に素晴らしい。
マラソンの世界はとんでもない威力を持っている。