同じお茶の先生に習っていた、いわゆる兄弟子は、お茶をやめてもう10年以上になります。
なので、しばらく会っていませんでした。
この春、本業の功績で叙勲されたことを知ったので、われわれの月イチの勉強会に招いて、お茶を囲んでお祝いをすることになりました。
道具組を練り、六月の勉強会ではその道具を使ってリハーサルも行い、菓子もお祝いのものをとお願いし、当日を迎えました。

寄付には、鶴の画賛。
十年ちょっと前、兄弟子が同い年の弟子仲間二人を誘い、共同で還暦の茶事を行った際に、寄付に使ったものと同様のものです。

本席は、話尽山雲海月情です。
しばらく会えてはいませんでしたが、今も変わらず仲間うちとして、つのる思いを親しく語り合いましょうとの思いを込めて掛けました。
花入は、見立てですり鉢ですが、この時期、水面をたくさん見ることで涼を感じられるかなと思い使いました。
まずは、干菓子で薄茶を一服召し上がっていただきました。
菓子器は、兄弟子が還暦の茶事をした際に、客として参加した私たちが、記念品としていただいた飛騨春慶塗のものを使用しました。
干菓子は、菓子器の故郷飛騨高山の、私の好きな駄菓子を二種。
飛騨のかたりべと、こくせんです。

この菓子器を運んで、兄弟子の前に出したのは、兄弟子と共同で還暦の茶事の亭主を務めた、二人のうちの一人です。
還暦の茶事から十数年たった今、もう一人の方はこの場にはおられませんでした。
数年前に惜しくも亡くなられてしまいました。
その方の持っていた茶道具をご遺族からいただいていたので、棗をこの日は使わせていただきました。
客も亭主側も、万感の思いが込み上げました。
薄茶のあと、時分時なので点心を用意したのですが、なかなか配達までしてくれる店がなく、イタリアンのお弁当となりました。

メインは、お祝いに相応しく鯛でした。

食後、歓談の中で、叙勲のことなど貴重なお話を伺いました。
道具は変わらずですが、食後、主菓子で、薄茶をもう一度一服していただきました。

お祝いということで、紅白の餡を使い、葛で包んだものです。
ツルンとしたのど越しが、この時期好まれます。
銘は、招福の水としました。
餡が薄紅なら、水牡丹だと思いますが、紅白なので、この銘にしました。
水牡丹は、初めて参加した夏期講習の呈茶席でいただいた菓子で、この世にこんな美味い菓子があるのかと感動した思い出の菓子です。

道具類は、先生から引き継いだ道具の他にも、今は引退した先輩弟子の方々からいただいたものを、多用しました。
今、こうしてお茶ができるのは、そういった先輩方のおかげであると道具で語りたかったからです。
最初の席で兄弟子にお茶を差し上げた茶碗は、音符の茶碗です。

兄弟子の方は、奥様の介護の傍ら、ピアノを楽しまれているとのことなので。
還暦過ぎてのピアノだそうですが、いくつになっても新しいことにチャレンジする、心の若さを見習いたいです。

食後の席で兄弟子の方にお出しした茶碗は、高麗写斗々屋茶碗で、銘が松の翠。
竹花入と、茶杓が梅の木を削ったものを使い、松竹梅とさせていただきました。

お茶が結ぶ縁に感謝です。