(まだ配信では観ることができますので、ネタバレ的な記述は幾分控えめにします)
もちろん、舞台である以上、“フィクション”には違いないのですが、要所要所に時事ネタが組み込まれ、公演期間の真っ只中に東京都知事選挙(7月7日が投票日でしたね…)が行われたというタイミングを考えると、果たして“フィクション”の一言で片付けて良いものかどうか。。
いただいてきた公演パンフレットにもそんな件がありますが、確かにブラックユーモアが…という点では、群を抜いてたくさんあるという感じがいたします。
ということで、少し時間が経ってしまいましたが、
「海の日」だった7月15日は月曜日、筆者はこんな雰囲気の所へ行ってきました。
紋所にある通り、三越デパート。
これは地下鉄三越前駅からすぐのところにある地下の入り口ですが、このように暖簾の存在感が庶民を圧倒するような、日本橋の本店の入り口。
しかし、今回の会場はその中にあるこちら、三越劇場ですので、、、
圧倒されたとしても、入って行かないわけにはいきません。
本体のデパートと同じく、100年前後にわたる歴史が刻まれたこの劇場。ここで執り行われた舞台が、今回観てきたこちらの「逃奔政走(とうほんせいそう)」であります。
演者さんはというと、筆者の若かりし頃に売れっ子だった鈴木保奈美さん…
筆者がまだ小さかった頃に、どちらかというと三枚目的な印象があった佐藤B作さん(バラエティ番組での印象の方が強かったです)…
と、有名どころなひとは確かにいるのですが、
この公演、昨年“ミュージカル版”の「SHINE SHOW!」を手がけたり、
(2023年8月19日マチネ公演@日比谷)
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今年だと、ゴールデンウィークのこちらの公演だったり、、
(2024年4月29日@新宿 「なかなか失われない30年」)
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を手がける、アガリスクエンターテイメントのみなさんが作り出す、わちゃわちゃとしたコメディとして描かれています。
実際、演者さんの大部分は劇団員の皆さまで、この方々が、“定番”とも言えるポジションにちゃんと入り込んでいますので、中身はいつもの?小劇場のテイストが満載であるわけです。もっというと、パンフレットにもある通り、保奈美さんをはじめとする有名どころの演者さんが、小劇場テイストのコメディにごくごく自然に潜り込み、大胆かつさりげない存在感を発揮され、そのさりげなさは、劇団員の皆様によって「以前からそんな感じだったよね」という裏打ちを与えています。
そして、サブタイトルにつけられた「嘘つきは政治家のはじまり」という、“そうかもしれない”けど、とはいえ、ちょっとばかりセンセーショナルな表現が、この時点で期待を抱かせてくれます。
そのストーリーはというと、「クリーンな政治を目指す」と訴えて当選したはずの県知事さん(これを保奈美さんが演じています)が、何かのきっかけで“やばいこと”に足を突っ込み、それをなんとか誤魔化そうとして逆に泥沼にハマっていく。。というもの。何やら現実にもそんなニュースを聞くような聞かないような、、そんな気がしますね。
実際、誤魔化そうとする件が大変にわちゃわちゃとしたコメディにまとめられて?いますので、場内は常に笑いの嵐。知事の側近がいるのはともかく、周りの人物も(知事には都合が悪い)記者さんだったり、果ては工事業者だったりと、一癖どころか二癖も三癖もありそうなひとだらけ。あくまでも鉄壁なまでにこの劇団さんのテイストが貫かれているのもだいじなところ。
最初は知事室内のシャワールーム(これもどこかの自治体で実際に問題になりましたね。。)騒動だったのが、いつしか“昔の疑惑”にまで騒動が遡り、やがて、保身のためには、、
え、こんなことまで(保奈美さんに)やらせるの
…という段階までくると、今度は怒涛の伏線回収。
これも、普段のテイストを貫いていると言えばその通りではあるのですが、これはちょっと(現実には)あんまりなさそうなくらいに鮮やかに疑惑を認めて綺麗に去っていく県知事。。
しかも、それは“きちんと”県議会でのやり取りの中で…
いや、これも最後に“県知事による講話”(客席に向かって)で締められていきますので、そこだけは現実離れした雰囲気でありました。
当然の如く、スタンディングオベーションとダブルカーテンコールでやり取りされる、終演後の客席と舞台上。この規模(500席強)になっても、いや、この規模だからこその大きなコメディと笑いというやり取りの輪が確実に存在していたと感じるのでした。
劇場のワンフロア下は、インテリアのショールーム。
その中にあるカジュアルなカフェでアイスコーヒーを注文して、しばし余韻に浸ります。
多分、筆者が考えている家具よりも、お値段が一桁違うと思われる高級家具に囲まれて。
知事室もこんな感じの家具に囲まれた空間だったような(笑)
(場内は撮影禁止ですが、ロビー内に舞台のミニチュアが展示されておりました)
現実にありそうともなさそうとも言えて、それでちょっとばかり異色で、、
あっという間の2時間余りの華やかな空間でございました。