インドに チャイを飲む文化はなかった | スパイシー丸山「カレーなる365日」Powered by Ameba

インドに チャイを飲む文化はなかった

本日はチャイのお話。


 

インド料理店の定番の飲み物“チャイ”。

 

自分も大好きですが、カレーやインド料理を食べた後にいただく

 

甘いチャイは最高ですよね!!!!

 


実際、インドの街中には

 

エリアを問わずチャイ屋さんがいたる所にあるのが当たり前。

 

チャイはインドの日常になくてはならない存在なのであります。



ですが、

 

チャイ(紅茶)を楽しむ文化は

 

もともとインドに存在していなかったことをご存知でしょうか!!!


 

20世紀初頭という段階でも

 

インド人の大半は紅茶のいれ方を知らなかったようで、

 

それを飲むことにも乗り気でなかったというからビックリなのです!!!

 

 

では、どうして紅茶を飲むようになったのか??

 

紅茶といえばイギリスですが、きっかけはやはりイギリス。

 

植民地支配をしていたイギリスがインドでの紅茶栽培に成功。

 

その紅茶をイギリス向けの輸出品としてだけでなく

 

インド人にも売りつけるとお金儲けができるのではと考え、

 

イギリス人が運営するインド紅茶協会が

 

長期間にわたる紅茶の宣伝キャンペーンを決行。

 

その結果、インドを紅茶好きの国に変えてしまったのでした!!!!

 

 

このブログでもたびたび登場する

 

リジーコリンガム著「インドカレー伝」の情報をメインに

 

知られざるインドのチャイのお話をお届けしたいと思います。

 

 

そもそも、茶を飲む習慣は4世紀に中国で始まったと言われています。


※諸説ありますがここでは「インドカレー伝」の情報で。

 

この習慣は中国から日本へ6世紀から8世紀の間に伝わり

 

そこで重要な社交儀式となりました。

 

茶はインドの北方にあるチベットやヒマラヤ地方にも広がり

 

これらの地域ではバターと混ぜてスープの1種として飲まれることに。

 

インドの東部周辺にあるアッサムや

 

さらに東のビルマ(現ミャンマー)とタイでは山岳民族が

 

蒸して発酵させた茶葉を噛んでいたそうです。

 

茶を飲む(または噛む)国々と接していたにもかかわらず

 

インドは茶の魅力を受けることがなかったというから不思議ですよね。

 

 

ちなみにヨーロッパにお茶がもたらされたのは17世紀。

 

海上貿易が特に盛んだったオランダによって中国から伝えられました。

 

それが18世紀のイギリス貴族社会で次第に人気を高めていったのです。

 

産業革命以降、中産階級を中心に食生活にも大きな変化を生じ、

 

紅茶はイギリスの人々の生活の中に定着しすることに。

 

19世紀に入ってから植民地のインドやスリランカで

 

茶の栽培に成功すると19世紀末までには

 

中国紅茶をすっかり凌駕するようになったのでした。

 

 

イギリス人の意識の中で

 

紅茶はインドと強く結びついていたにもかかわらず、

 

当のインド人はまだ紅茶を飲んではいませんでした。

 

紅茶産業で働くアッサム地方の人々でさえ

 

家で紅茶を飲むことはなかったというのです。

 

※ティーポット、カップとソーサー、砂糖壺、ミルク入れetc.を必要とする紅茶はインド人の大多数にとってあまりにも高価な外国の習慣だったのです。

 

 

1901年(イギリス人が運営する)インド紅茶協会は

 

自分たちの最大のマーケットがすぐ目の前にあることに気付き

 

マーケティング活動を、

 

紅茶の生産地であるインドで行うことを決定します!!!

 

しかし、スムーズに事が運ぶわけもなく

 

様々な策を講じるものの・・、ことごとく不発。。。

 

1901年から1914年までは

 

紅茶協会の人たちを落胆させ続けたたんだそうな。

 


しかし、そんなことではイギリス人はくじけません。


消費拡大を目指す紅茶協会は

 

大がかりなキャンペーンを行うようになり、

 

第一次世界大戦に入ると


そのキャンペーンはついに勢いづきはじめます。

 

工場や炭鉱、綿紡績工場に紅茶の屋台を出店させ、

 

労働者は喉が渇くと

 

そこで買わざるを得ないよう仕向けていったのです!!!

 

※職場で紅茶を飲むことを覚えれば従業員がその習慣を家に持ち帰るので家族や友人も紅茶に慣れるようになるだろうと考えたのです。

 

協会の努力の甲斐があって1919年には

 

紅茶の売店は事業体にとって重要な要素として根付くことに!!!

 

インド人の生活の中に紅茶はようやく入り込んでいくのでした。

 

 

鉄道もまた重要な役割を果たすことになります。

 

紅茶協会は少数の契約者にヤカン、カップ、紅茶の包を持たせ

 

パンジャーブと北西部の国境地域、

 

ベンガルの主だった鉄道の連絡駅で

 

チャイ屋さんとして働かせることにしたのですが

 

これが大当たりすることに!!!!

 


ヒンドゥー教徒は低位カーストの人から食べ物だけでなく

水すらも受け取ることができなかったのですが、

 

外国の食材である紅茶は

 

浄・不浄の概念の分類外なので中立的な立場。

 

低位カーストの人からでも気にせず受け取ることができたので

 

鉄道移動の際に大いに紅茶を飲むようになったのでした。

 

 

紅茶の人気は上昇していきますが思わぬ誤算も生じます。

 

紅茶協会の指導員は

 

正しい紅茶の入れ方を教えようと頑張るのですが、

 

紅茶の販売人はこうした助言を無視し

 

自己流で牛乳と砂糖をたっぷり入れて紅茶を作ることに。

 

牛乳たっぷりで強烈に甘いこの飲み物は

 

バターミルクとラッシーが好きな北インド人に評判が良く、

 

別のエリアではスパイスで味付けされるように!!!

 

こうして今日のチャイに繋がる

 

インド流の紅茶(チャイ)が誕生し各地へ広がっていったのでした。

 

 

キャンペーンの別部隊の活動によって

 

インドの大都市と港にはティーショップも開かれるようになります。

 

ティーショップが順調に販売をはじめると

 

以前は紅茶を売っていなかった近くの店も紅茶の販売を始め

 

ティーショップがある界隈は紅茶の行商人だらけになることに。

 

紅茶はさらに盛り上がっていきます。

 

 

さらにキャンペーンは続いていきます。

 

ティーショップは特定の顧客層にしか浸透しなかったので、

 

家庭にいる女性たちに紅茶の魅力を知ってもらうべく

 

斬新な手法でアピールすることに!!

 

紅茶キャンペーン運動員が


選ばれた地域へ毎日同じ時間に訪ね歩き

 

家の中で紅茶を入れる実演をして、

 

4ヶ月間、紅茶を味わってもらったというから驚きます!!!!

 

 

都会の多くの家庭で、毎日同じ時間に紅茶を入れる習慣を作ったあと、

 

デモンストレーターは地方の小さな町へ移動し

 

同様に自宅での実演を行うキャンペーンを展開。

 

ローカルな村に広めるためには


紅茶の配布と同時に映画を上映するなど

 

様々な策を講じることで、

 

デモンストレーターたちは年間2600万杯は

 

試飲させられるようになったという記録も残っているのでした。

 

 

第二次世界大戦中は宣伝キャンペーンが一時中断され

 

紅茶協会は軍隊への働きかけに専念することに。

 

紅茶専用のバン(大型車)が用意されて、

 

それぞれの部隊に紅茶が配給されていたのですが、

 

ヨーロッパの戦場で戦うインド人部隊とともに

 

海外に送られた紅茶配給のバンもあったんだとか!!!

 

バンにはラジオとインドの曲の蓄音機レコードが備え付けられ

 

手紙代筆屋も同乗。

 

兵士たちは紅茶を飲む習慣を身につけると同時に

 

故郷の家族との連絡も取り続けることができたのでした。

 

 

1945年にもなると


コルカタの路上生活者ですら紅茶を飲むようになり、

 

牛乳屋は配達の途中で立ち止まり

 

彼らの紅茶に牛乳を一滴たらしてあげたんだそうな。

 

 

紅茶のデモンストレーター、ティーショップ、鉄道の売店、

 

軍の紅茶バンなどの執拗なキャンペーンにより、

 

インド人の飲用習慣は大幅に変わることになり、

 

紅茶協会のインドに紅茶を広める試みは大成功!!!!

 

1900年には紅茶をほとんど飲んでいなかったインドの国民も

 

20世紀末には年間71万5000トンという膨大な生産高の紅茶の

 

70パーセント近くを自分たちで飲むまでになったのでした。

 


さて、チャイの知られざるお話をお届けしてみましたが


意外すぎるルーツにビックリしちゃいますよね!!


イギリス人のしつこいプロモーションに乗っからざるを得なくなり

 

結局インドの人たちは紅茶を飲むようになるのですが

 

紅茶を受け入れながらも、

 

ミルクと砂糖たっぷりの激甘スタイルにしたり、

 

スパイス入りのマサラチャイという不思議な飲み物にしちゃうところが

 

一筋縄ではいかないインドらしいところではないかと。



一杯のチャイにはインドの歴史と伝統がつまっているわけではなく


実はイギリス人のプロモーションの賜物だった!!


食文化は紐をとくと意外な事実が見えてくるから面白いです。



スパイシ~~♪♪♪




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