vol.217 さらば ”札沼線&はまなす” 緊急札幌弾丸ツアー(後編)鉄道にみる北海道の光と影 | 旅ブログ Wo’s別荘

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緊急札幌ツアー・後編です^グッド!
前編は僕にとって政令市さいごのフロンティアw、札幌市街の街ブラでしたが・

今作はいよいよ、本ツアー目的の”鉄道編”です。
惜しくも廃止となる、札沼線非電化区間と、日本最後の定期夜行急行『はまなす』の2題でご覧頂きます電車

・前作は、↑すすきの駅入口の写真でおわっていました。
そのススキノで見たものは・星空

ススキノが起終点の、札幌市営の路面電車、渋滞に巻き込まれながら遠慮がちに走っていますあせる

今回ススキノで見たかったのは・
↑仮設のススキノ終点の先に建設中の、新しい電停キラキラ

札幌の市電はススキノと、この北約400mにある西4丁目駅を起終点として、西へ風船を膨らませたような路線でしたが、この400mを結んで”環状”にしようという工事が行われ、昨年12/20に完成しましたクラッカー

ご覧の写真は開業直前の工事中風景ですが、日本で『路面電車の延伸工事』なんてなかなかお目にかかれるものでなく、貴重なものを見させてもらいました^グッド!

ススキノ(従来の終点)から真新しい2本の線路が、左右に分れ北の方向へ曲がっていく形状です。

路面電車って通常、道路中央を走っていますが、でもこの新設区間には”サイドリザベーション”という、道路の端を走行する方式が採用されました。これは線路を左右の端に敷くことにより電停も道路端になるので、乗降客の安全を図れるという主旨ですリサイクル

ここで僕が面白いと思ったのは、去年の"バスブラ"で訪ねた名古屋の基幹バス(15.5.19up vol196)では、バスレーンを中央にしてバス停も中央にシェルター型のを設置し、路面電車を手本としていた点。

逆に札幌ではバスを手本に路面電車を端にして道端の停留所にしていて、互いに「逆のことをやってみる」精神を実践してるという事。上手く表現できませんが、人間の思考ってこういうものなのかなぁと・お月様

↑がその『道路端方式』で新設される狸小路電停足あと

狸小路といえば、札幌一のアーケード商店街ですが、開通後はすごく便利になりそうです^

そして、南1西4の交差点で線路は再び大きく西へ曲がり、従来の終点だった西4丁目駅へ繋がっていました。今頃は開通し、札幌市民長年の夢だった環状運転が行われているはずです。
全国的に、環境や高齢者に優しいとして見直されている路面電車。ここ札幌で、ループ化という夢ある延伸、是非乗客増に繋がってほしいと思います雪

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ここで時間を、半日戻します時計
前作は”札幌緊急街ブラ”をご覧頂きましたが、その日の午前中に"北海道の縮図"といってもいいローカル線を全線走破してきました。
はまなす乗車記の前に、その模様をご覧頂きたいと思います^虹

時系列ゴチャゴチャですがw、青森から”はまなす”で着いた時の、朝の札幌駅です。

これから乗るのが、札幌駅から北東方向へ伸びる札沼(さっしょう)線です。
この線、約70kmとローカル線にしては比較的長めですが、起点の札幌と終点の新十津川ではその様相を大きく異にする事でも有名です。
札幌6:59発の電車で出発します電車

電車はJR北海道型の721系、函館線や千歳線と共通の形式です。西日本や九州の電車と同じく、自分で転換できるクロスシート席です^

札沼線は途中駅の北海道医療大学まで電化されていて、さらには札幌からしばらくの間は複線・高架線にもなっている、都市近郊路線ですビル


車窓を流れる都会の風景、次々現れる途中駅。
ここだけ見ると、特に変哲もない近郊路線ですが、この線の真価は、次に乗換える"非電化区間"にあるんですひらめき電球

札幌から約40分、↑石狩当別駅に着きました。
電車はもう一駅、電化区間終端の医療大学駅までですが、乗換える列車が当別発のため、ここで降りますクローバー

着いた向かい側のホーム左側には・
1両編成のディーゼルカーが待っていましたDASH!

国鉄の頃から活躍している、北海道を代表するDC、キハ40寒冷地型です^雪の結晶

石狩当別駅はみどりの窓口もあり(2016現在)、札沼線屈指の主要駅。
医療大学駅まではICカードも使えますペンギン

駅前に1軒だけコンビニがあります。札沼線の駅前にある最後のコンビニですコンビニ


いよいよ札沼線のハイライト、非電化区間へ出発します。
国鉄型ボックスシートは程よい空き具合^あせる

ここから終点の新十津川駅まで約35km、懐かしいDCに揺られての小さな旅です。

次の医療大学を出ると架線が途切れ、非電化区間に・
医療大学駅は、札幌方からの電車折返線がありますが、離合線は無いのでDCは全て当別まで行って折返します。

雪の中、淡々と伸びる1本の線路、まさにローカル線の味わいです。

当別までの電化区間の車窓の都市近郊風景から急変、雪の残る北の原野が広がっています。

途中駅の間隔も次第に長くなり(※というか、速度が電車よりゆっくりのため余計そう感じる)、駅の風情も過疎地のものとなってきます。
前作や冒頭に”札沼線は北海道の縮図”と繰り返し書いたのは、この線に乗れば、札幌近郊の過密と、札幌圏以外の北海道の過疎の現実が同時に見られるからです。

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そして列車は、非電化区間でただ1駅の離合設備がある、石狩月形駅に到着しました。
ここで対向列車との待合せがあるとの事で、降りて撮影タイムです^カメラ

雪に覆われた線路
久々に見る光景です^雪

少し時間あるので、駅前にも出てみます。

↑月形駅前通りです。
瓦のない斜めっている屋根が並ぶ、ホント北海道っぽい街並です。

待合室にはストーブ、椅子には座布団、畳敷きの部分もあり、これまた北海道っぽい暖かさを感じますメラメラ

改札口にある↑"改札中"の札。

国鉄時代、特に北海道の各駅では列車ごとに定まった時間に改札を受けるルールがあり、道内各駅の改札口では『今どの列車の改札をしているか』が表示されていました。

JRになってから札幌近郊では本数が増え、逆に地方では無人駅が増え、次第にこのシステムは崩れてきてますが、久々に学生の頃"ワイド周遊券"で北海道を廻った頃を思い出しましたチケット

そうこうするうち、対向列車がやってきましたヒツジ

雪景色の中、キハ40同士の離合!
こんな美しい光景も、近い将来見納めかもです汗

月形での楽しい鉄タイムが終わり、新十津川へむけて再び走り出しますDASH!

↑車窓から常に見えるのは並行して走る国道275号。この道路は医療大学から新十津川まで非電化区間のほぼ全区間をピタッと寄り添っていますが、実はこの"R275"と"キハ40"、これらが札沼線非電化区間の悩ましい点です。

その”札沼線の肝”とも言える点に絡めて書いていきますが、JR北海道はこの”札沼線非電化区間”を廃止したい意向なんです叫び

まず“肝の1点目”、電化区間と非電化区間であまりにも乗客数が違うという事。
電化区間は日平均17000人前後の乗客数があるのに対し、非電化区間では日平均80人という最近のデータもあり、これは国鉄時代北海道一・二の赤字線だった深名線に匹敵する少なさです。
本数も、電化区間では約20分毎のダイヤですが、新十津川終点まで行く便は2016時点で、日3本しかありませんあせる

2点目の"キハ40"、国鉄時代から使い続けて既に40年以上、そろそろ耐用年限が来て廃車も始まっていますが、JR北海道ではそれに代わる新車をつくっていないという事(驚)
ここらあたりにJR北の本音が現れていて、車両の減少に伴い今春からローカル線を中心に減便するダイヤ改正を行い、札沼線の新十津川行は現在の日3本→1本(!)になるかもという噂も流れています(※16.4追記・実際そうなりました)

そして3点目が”並行道路”。R275がほぼ並行している札沼線は、非電化区間は廃止しても代替バスの運行がしやすく、国鉄時代に北海道の赤字線が生き残ってきた根拠の『冬季は道路通行不能が多い』という理由も、温暖化や道路改良により、次第に通行可能日数が増えてきています。

複線電化の札幌近郊と"日3本"の終端部、このあまりにも大きなギャップが、北海道の苦悩を体現していると思います。

途中駅にあった、国鉄時代貨物列車の最後尾に付いてた”車掌車”を改造した待合室家
2007年の北海道シリーズで訪ねた留萌線でも見られましたが、その時乗った留萌~増毛間は、既に廃止が決定したという厳しい現実もあります。

そんな事を考えながら乗るうち、DCは途中最北の主要駅、↑浦臼駅に到着。

”新十津川まで日3本”と前述しましたが、実はこの浦臼までの区間運転がもう3本あり、浦臼までは日6本列車があります。
しかし驚いたのは、浦臼なら当然あると思っていた離合/折返し線が無く、ただ単線の線路があるだけ。まぁ1日6本なら、月形~新十津川間が一つの閉塞区間でも充分間に合うとは思いますが・(寂)

終点に近づき、ますます白一色になってきた車窓。


木のホームだけの、↑いわゆる”朝礼台駅”も霧

そして・


ついに到着しました!
終点・新十津川駅です。
石狩当別から約35kmの距離を2時間弱、非電化区間はかなりゆっくり走るため、超スローですwカメ

そして同駅で、ちょっとしたサプライズが!

↑駅舎に、出迎えてくれている人がいます。
聞けば近所の保育園の保母さんと、園児の代表^が交代で、毎日午前の列車を出迎えにきているそうです合格
これはうれしいサプライズ^

ちょうどクリスマス前だったので、↑園児さんはかわいいサンタ服^クリスマスツリー
降りてくる乗客一人一人に歓迎の声をかけ、「ようこそ新十津川へ」と書かれた手書きのカードを頂きましたグッド!

一昨年upした広島・三江線でも、乗換駅で地元観光協会のかたが迎えてくれましたが、こういう心温まる歓迎をうけるとホント来て良かったと感じますキラキラ
ローカル線の存続にかける地元のかたの情熱、三江線同様に胸揺さぶられるものがありました。


原野の中にポツンと建っているようにみえる↑新十津川駅ですが、カメラを反対側に向けると・

↑駅前通りには案外家並があり、写真割愛しますがすぐ近くに大きな病院もあります。
地図を見れば、札沼線は函館本線の北西側を並行するように走っており、ここから約3km程に滝川駅があります。同駅まで徒歩で行く人もいます。

・当別荘お約束の、↑終端部です目
同線、かつては”札沼線”の名の通り、新十津川から更に、留萌線の石狩沼田駅まで伸びていました(※1972年廃止)
この「終点」が更に縮むことが無いよう、祈るばかりです・あせる

しかし正直言って、実際乗ってみて非電化区間の存続はかなり厳しいという実感を持たざるを得ませんでした。
僕が今言える事は、1日でも長く、日1本でもいいから走りつづけてほしい、そう思うだけです。


あっという間の折待ち時間が過ぎ、新十津川駅とわかれの時がきました汗
↑園児さんと保母さんも見送ってくれています。
さらば新十津川駅汗

なお、"新十津川"の駅名(町名)ですが、同町は奈良県の十津川村から開拓で来た人たちがつくった町で、当地の人は現在でも奈良の十津川村を『母村(ぼそん)』と呼ぶそうです。

北海道の光と影をまさに凝縮したような、札沼線でした。
思い出深い線となりました虹

(※2022.9追記)
本作の札沼線非電化区間(北海道医療大学~新十津川間)は、2020年5月で廃止されました。↑の光景はもう見る事が出来ません。本作は、貴重な記録となりました。


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後半です。
札幌駅から、夜行急行"はまなす"に乗車する時間が近づきました星空

夜の札幌駅、↑JRタワーの灯りが輝いています星空


はまなすが発車する↑4番線、既に22:00発・はまなすの表示が出ています目

入ってきました!
青函トンネルをくぐり、青森まで走破する夜行急行『はまなす』です流れ星

はまなすには座席車と寝台車の両方がありますが、寝台車の指定券は大人気で取れず、座席車に乗りました。
↑は14系客車、国鉄当時に臨時特急用としてつくられたんですが車歴既に40年余、外壁の凄い傷み具合に驚きました。廃止直前とはいえ、痛々しい姿でしたガーン

↑"はまなす"&"カシオペア"の乗車位置を案内するホーム札。この両列車とも、今春の北海道新幹線開通に伴い廃止になります流れ星

はまなす号が、カシオペアや白鳥とともに青函トンネル在来線最後の列車という事以上に希少価値といえる理由が、『JR最後の定期急行、そして夜行急行』だという事。

国鉄時代には全国隅々まで走っていた急行列車ですが、JR発足前後から次々に特急に格上げ、或いは快速に格下げ、はたまた廃止を重ね、気が付けば全国でこの”はまなす”だけになっていましたクリップ


↑はまなすの特長だった"カーペットカー"
区分上は座席車扱いなんですが席はなく、名の通りカーペット敷で、そこにゴロンと横になって乗ります(※但し雑魚寝ではなく、一人づつの区切がしてあり指定席扱い)
青函連絡船の、桟敷席の流れをくむともいわれます。

↑それにしてもこの外壁の傷み方、JR北海道の現状を現してるような気がして、なんともいえない気持ちになります。

しかし、乗込むと内部は傷み少なく、割ときれいな車内。

ちなみにはまなすの編成、普段は寝台車2両+座席車5両だそうですが、この日は廃止前の乗客増を見越し大増結されてて、寝台車3両+座席車9両の堂々たる12両編成!これは北海道にしてはかなりの長大編成です^ヒツジ

22:00、定刻に札幌駅を離れました。

発車後すぐ、懐しの“国鉄客車チャイム”が鳴り、アナウンスが流れたんですが、車掌さんが長々と案内していたのが「○○駅では×号車から×号車までのドアは開きません」とう注意。
聞いていると殆どの駅がホーム長が足りず、12両入らないようで、全車のドアを開けられるのは起終点の札幌と青森、それと函館くらいでした(汗)

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朝からフル活動の上、前夜もはまなすで札幌入りしたため僕はは電池切れ(笑)、千歳の手前でもう夢の中w、↑気が付けば午前3時の函館駅満月

函館駅は終端なので海峡線へスイッチバック、機関車付替及び時間調整もあり、約1時間停車かたつむり

勿論この長停車を鉄ちゃんが無駄に過ごすわけがありませんw
皆ホームに出て、客車や駅のアチコチ、機関車の付替えにレンズを向けます^カメラ

函館駅で青函間用電機、ED79に牽引機交代です星

函館駅に貼ってあった、↑青函連絡船の写真船

僕もウン十年前、初めて北海道へ渡った時はこの連絡船でした。1988年青函トンネル開通により役目を終え、そして今春の北海道新幹線開業により、在来線もその役目を終え、まさに時代は容赦なくすすんでゆきます虹

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午前4時半頃、はまなすは青函トンネルに入りました地下鉄
↑の写真、窓の外に線路が3本あります。新幹線開業後も貨物列車は運行されるので、線路幅が違う在来/新幹線の両方に対応する"3線軌道"です。
架線電圧は新幹線のほうに合せ昇圧され、新型の貨物用複電圧機が就航するとの事です。

そして6:19、まだ暁明やらぬ青森駅に定時到着。
惜別の夜行列車旅がおわりました汗

今春、はまなすとカシオペアが廃止になると、我が国の夜行列車はとうとう『サンライズ瀬戸・出雲』だけになります。将来、日本の鉄道旅行といえば新幹線しか選択肢が無くなるんでしょうか?そんな味気ない事にしないでほしいと言いたいです。

今回の廃止理由にしても、その一番目が「青函が新幹線や貨物列車との共用のためダイヤ煩雑」との事ですが、1日13本しか走らない北海道新幹線のどこが煩雑なんでしょう?
ダイヤ間合いに、JR貨物の機関車に牽引してもらい、貨物の少ない土日のみでも運行可能ではと僕は思います。

もう一つ提言を書かせてもらうと、札幌~新函館北斗間に、現在同区間を結ぶ特急「北斗」のDCを使って札幌開業までの暫定として夜行座席特急を運行させ、各々を新函館北斗発着の最終便・始発便に接続させれば、新幹線~札幌間の連絡利便性がアップして新幹線の利用促進にもなり、共存が図れるのではないでしょうか?
国民の財産である鉄道を、JR経営上の理由で列車をバサバサと切っていいのか、国も国民もよく考えていく必要があると思います。


さらば"最後の急行"、そして"最後の青函夜行"はまなす号流れ星

さらにもう一言お許し頂ければ、昨今多発して問題になっている"高速バスの事故"、これにしても僕から言わせれば、全国のJRが次々とはまなすのような座席夜行を廃止していったため、安く気軽に中~長距離移動する交通手段がバスしか無く、特に若者は高速バスを選ぶしかないというのも、高速バス過当競争の遠因ではないでしょうか?

「格安航空があるじゃないか」という指摘もありますが、格安航空が本当に格安になるのはかなり事前にネット予約した場合に限られ(しかも席数限定)、また荷物の大きさが少しでも制限を超えるとすぐ追加料金を請求され、登山やスキー用品がある人は利用しにくい。しかも航空便は予約が取れてないと絶対乗せてくれません。
自由席があり、10分前に駅で切符買っても乗れる鉄道の利便性や柔軟性には、遠く及ばないと思います。

新宿駅東口側改札内のコンコースには今でも”アルプス広場”という名前が付いています。国鉄時代、同駅から多数信州方面へ出ていた”急行アルプス号”をはじめ、夜行列車自由席の行列場所になっていた場所です(※時間になると、駅員が引率してホームへ案内してくれた)
登山やスキーへ行く若者が行列していたかつての面影は現在もう無いですが、国鉄急行全盛期を辛うじて偲ばせます。

はまなす号も、アルプス号と同じく、時代の流れとともに、思い出の世界へ旅立ってゆきます・星



(※2022.9 文リニューアル)