東北"穴うめ"ツーリング、最終回です
前作は、雨の八幡平アスピーテラインを走った後青森県に入り、八戸市の海沿い・種差海岸や小川原湖等を訪れ、野辺地から下北半島の付け根に足がかかった所まででした
最終回、どこまで行けるか?スタートです
むつ湾をみながら走る↑国道279号、本州最北端・下北半島へ向けて北上していく国道です
写真では出てきませんが、前作野辺地駅で分岐しているJR大湊線とほぼ並行し、共にむつ市へ向かって延びています。
野辺地からむつ市までの道、僕は出発前プランを組む際、地図は事前に見ていたものの、しっかりした距離計算を怠り、なんとなくイメージだけで『八戸からむつまでなら大して時間はかからないだろう』と踏んでいたんです。
ところが・
↑朝八戸を出て、むつ市内へ着くだけでも昼過ぎまでかかりました
ホテルでゆっくり朝食を食べたり、小川原湖で時間をとり過ぎたというのもあるんですが、僕の事前計画不足(※時間読みの甘さ)でした
下北半島中心の街であるむつ市、案外全国チェーンの店も道路沿いにチラホラと見られ、下北の中心地としての貫禄を保ってる印象です^
↑JR大湊駅に到着
長い下北半島の海岸線、はたして今日中に北端の岬まで行って一周してこれるのか・
と、不安に思いつつも、駅があるとつい寄ってしまう習性w
恐竜の頭のような形にも見える下北半島、その”顎の下”あたりに位置するむつ市の中心から少し外れにあるのが、JR大湊線の終着駅、大湊駅です。
駅玄関には、↑”てっぺんの終着駅”と書かれた看板が
大湊線、北海道へ通じている津軽海峡線を別とすれば、本州最北端の鉄道線です。
近年改築かリニューアルしたようで、ローカル盲腸線にしてはかなり立派な駅舎
しかもこの駅、駅員さんもいて、キップ売場やみどりの窓口まであります(※2014年当時)
待合室の片隅に、↑な写真が・
左のJRバスは今でも走っていますが、右の2枚に写る国鉄色DC、今は無き、旧大畑線のものです(※2001年廃止)
旧国鉄大畑線、隣駅の下北駅からさらに分岐し、下北半島の北端、大畑の街まで延びていました。
旧国鉄が廃止としましたが、地元のバス会社・下北交通が同線を引受け、しばらく存続しました。しかし乗客減少に歯止めはかからず、あえなく廃止されました
とはいえ、大湊線は盲腸線としては今時珍しくJR線として残り、駅舎までリニューアルされています。なんとか”下北の鉄路”として頑張ってほしいと思います
↑大湊駅の終端部です
大湊駅前からは、↑恐山が望めます
但し今回、恐山は最初から計画に入れていませんでした。ここを訪ねるとそれだけで1日とってしまうので、又の訪問を期してとっておきます
大湊駅を出て走り始めると、↑むつ湾に軍艦が浮かんでいるのが見えました。かつて旧海軍の軍港だった陸奥湾、現在も海上自衛隊の基地があります
むつ市を出て、↑むつ湾沿いに走る国道338号を、西から右回りに下北半島の淵を走り、最北端の大間崎を目指していきます
ここからが、いわば”下北本番”ともいえる絶景です^
ほとんど通行車(者)もいない海沿いの道、年に何人乗るんだろうとwいう場所にポツンと置かれたバス停
この最果て感、はるばる来て良かったと思う一瞬です
↑見る人もなく、寂しげに咲き競うアジサイ
あちこちに、海岸名を記した木の標柱をみかけます。
果てしなく下北最果てへ、道は続きます
むつ市から走ること数十分、ようやく集落らしき家並と港、そして沖には島影も見えてきました
旧・脇野沢村(※2005年むつ市へ合併)です。
むつ湾に浮かぶ↑沖合いの島、後で調べてみたら『鯛島』という名で、真横から見るとタイが泳いでいるように見えるからとか。たしかに↑写真でもそう見えます^
↑脇野沢の集落を走り抜けます
標識には、これから向かう”天下の絶景”とも言われる仏ヶ浦と、本ツーリング最終目的地の・大間崎が書かれています。いよいよゴールが見えてきました
小さな脇野沢村ですが、↑道の駅がありました。
道の駅わきのさわ、かなり時間オシてるんですが、体調も考えて少し休憩します
地元の人が運営する売店やレストラン、素朴な接客になんとも癒されました
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そして、道の駅わきのさわを出た直後から、↑のR338、大変な事になってきます
これまで寄り添ってきた海岸は消え、どんどん山の中へ入っていきます
一昨年の日本海縦断ツーリングでゴールだった竜飛崎への国道も、ここと同じ”ラストに難所”のパターンでした。青森県の2半島、両方ともこんな道だったのか・(汗笑)
どんどん登ってゆく坂道、しかし↑標識には『仏ヶ浦25km、大間61km』、まだまだか・
しかし竜飛の時よりは若干時間が早いのと、天気が良かった(※
竜飛の時は小雨も)のが救いでした
坂の途中に↑展望所があったので、時間押してるけど寄ってみますw
↑の展望所の名、なんと『流汗台』
この時の僕の心境そのままですw
しかし寄って良かったです。↑大絶景でした^
地図で見る以上にその大きさや奥深さを体感した、下北半島でした。
↑土砂崩れで、片側通行になっている区間が所々にありました。
予定していた見学箇所へ来ました。
↑仏ケ浦の入口へ
海岸線に巨大な断崖絶壁・奇岩が並ぶ仏ケ浦、国道脇の駐車場から↑遊歩道を約15分、海岸へ下って行きます
こういう所で長い下り坂があるといつも考える事、“下る”という事は、帰りにこれを“上る”という事です(汗)
戻りはかなりキツそう
遊歩道を下ること約15分、↑木立ちの間からチラッと巨岩と海が。そして~
着きました!
仏ヶ浦の入口です
お~
↑僕の下手な写真では伝わりませんが、物凄い迫力の光景でした。
巨大な屏風のような岩が切り立つ海岸、仏ケ浦です
(※青森県下北郡佐井村、国名勝/天然記念物)
長年の波濤に晒され、様々な形に変化した巨岩の数々
よく”自然が生み出した芸術”等という言葉がありますが、芸術とかを超越した光景です。
↑の岩、緑色凝灰岩が太古より悠久の時を経て、海に侵食されたことにより造り出されたとの事です。この光景を目の当たりにしていると僕の感想は、ただただ理屈抜きに神秘的の一言でした
”東北で神秘的な海岸”といえば、昨年の三陸青森ツーリング(13.7.23up vol.147)で訪ねた岩手の浄土ヶ浜を思い出します。浄土ヶ浜も美しい光景でしたが、この仏ヶ浦はスケールが段違いです
全国的にもなかなか見られない奇勝・仏ケ浦でございました
ここも含め、下北半島ほぼ全域にわたり国定公園に指定されています(※仏ヶ浦は国指定名勝/天然記念物/日本の秘境100選にも指定)
仏ケ浦、戦前までは地元の人や一部の紀行作家・宗教家位にしか知られていなかったそうです。先程歩いてきた遊歩道が整備されたのも戦後になってからとの事ですが、現在では↑観光船も運航されています
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再び国道338を北上、下北最北端・大間崎を目指します。
仏ヶ浦を出てしばらくの間は、↑国道から奇岩が楽しめます
↑下北最北の街、大間町に入ります
16時頃、↑大間町中心部に着きました
これまで走ってきた西岸沿いのR338と、野辺地から大間まで半島中心を貫いているR279がここで合流します
この後大間崎へ行くんですが、その前に北海道へのフェリーターミナルへ寄ってみます
最近建て直されたのか、真新しいターミナル
大間といえば”マグロ”という事で、ロビーに大きなマグロの模型が吊り下がっていました^
大間~函館間のフェリーは日2~3便(※2014当時・季節によって変更あり)、片道1時間半で函館と結んでいます。
青森市~函館間だと約4時間かかるので、半分以下の時間で北海道へ行けるというこの航路は、船が苦手な人や航送料金が高いトラック等に一定の需要があるという事です。しかし船旅が1/3になるといっても、大間まで来るのが大変ですがw
↑待合室には、北海道新幹線函館開業までの日付カウントダウンも掲示されていました。はたして新幹線開業によってフェリーに打撃となるのか?それとも観光客の動きが活発化して下北にも波及効果が出るのか?それはフタを開けてみないとわかりません
↑『本州最北端』の標識も
↑岬の駐車場に着いたんですが、その片隅に、小さな売店が・
バイクを置いて岬へ行こうとすると・
そのお店の中から、「ちょっと寄ってげ!」との声がw
お店の中では、オジサン2人がお酒を酌み交わしていました(笑)
↑左が店のご主人、なんと本業は大間のマグロ漁師さんとの事で、本来の店主は奥さんらしいんですが、今日は漁が無いので店番(というかお酒の番?)をしているとの事で、僕も話し相手に引き込まれてしまいましたw
このご主人、なかなか男前で菅原文太さんのような感じ、某健康食品のCMにも出演したとの事。僕はバイクだったので勿論お酒の相伴には預かれませんでしたが、マグロ漁のお話等、色々聞かせて頂きました
ご主人曰く、"出漁前はいろいろ心配で憂鬱だ"との事。どんな業種でも出勤前って憂鬱なのは同じなんだなぁと納得しました^
僕のこれまでの経験からハッキリ言えるんですが、東北へツーリングで数日いると、必ず1度はこういう現地の人との出会いがあります。寡黙なイメージもある東北の人ですが実は逆で、人懐っこい人が多いのが東北の魅力といえます^
という事で、ますます時間はオシて(笑汗)、岬へ行けたのは日没寸前^
大間崎、大間町街地の一角にあたり、開けた感じの岬です。
岬の周りには土産店や名物マグロを食べさせる食堂も多く、北海道・宗谷岬と似た雰囲気です。絶壁の高台にある対岸・津軽半島の竜飛崎とは対照的な雰囲気です
↑本州最北端、下北半島・大間崎です
↑最北の碑の上で、カモメが休憩しています
岬の対岸は北海道、残念ながらこの日は見えませんでした。見通しの良い日は見えるそうです
↑沖合すぐに、島が見えます。この島は~
↑の島、弁天島といい、大間崎灯台は岬でなくこの島にあります。
なので、”本当の本州最北端”は弁天島という事になります
本来の予定は、ここ大間から、下北半島もう一つの岬、太平洋に突き出した尻屋崎まで行く予定でしたが、残念ながら時間切れとなり、ここで日没を迎えました。尻屋崎は恐山とセットにして、又の機会にとっておこうと思います^
津軽海峡に沈んでゆく夕陽を堪能し、大間崎をあとにしました
岬近くの大間漁港、↑ネコが夕陽を見ながらマグロ漁船の帰り(?)を待っていました
帰りはR279で半島中央を走り、むつ経由で八戸へ戻りました。
翌日帰京の途へ、東北穴うめツーリング、ゴールです
東日本大震災以来、当別荘ではツーリングの行先に極力東北を選び、東北の魅力を微力ながらおおくりしてきました
日本海縦断シリーズ・三陸縦断シリーズ等、数々の年度跨ぎ企画を行い、“東北復興シリーズ”として不定期にupしましたが、本シリーズをもって、大まかですが東北6県の"穴"をほぼ一巡したような気もしますので、“東北復興シリーズ”としては今回で一応の区切りとしたいと思います。
勿論、東北へは来年以降も、より”細かい穴”を求めて、単発作で訪ねていきます。お楽しみに^
東北復興シリーズ アーカイブ
①2011.10.22up vol.99 岩手・宮沢賢治を訪ねる
②2011.12.10up vol.103 2011ツーリング納め 宮城・奥松島&牡鹿半島
③2012.5.5~13up vol.113~114 2012ツーリング始め 男鹿半島&八郎潟(2作シリーズ)
④2012.10.13up vol.123 白神の海辺~竜飛崎
⑤2013.7.13~8.24up vol.146~150 三陸縦断~青森大ツーリング(5作シリーズ)
⑥2014.8.23~9.12up vol.175~177 東北穴うめツーリング(3作シリーズ/今作です)
(※③と④は、震災前に新潟から出発した『日本海縦断シリーズ』を兼ねています)
(※2023.1 2024.6 文一部修正)