vol.51【50作記念シリーズ】韓国旅 ② 京義線で行くDMZ "秘密の南北トンネル"ツアーへ | 旅ブログ Wo’s別荘

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 韓国旅2009、第2回です^グッド!

 

 僕が韓国に行くと毎回行きたくなるのが南北軍事境界線(※DMZ)です注意

今回、当別荘創設後としては初めて行って参りました。

2009現在、観光客が訪問可能な軍事境界線を望める場所は、ソウル近郊では3ヶ所あります。

一つはご存知・板門店、もう一つは、1992年に出来た『オドゥサン統一展望台』。
この2ヵ所は、僕は以前(※別荘開始前)行った事あります。

そこで今回は・

今作でご覧頂くのは、『都羅(トラ)展望台』です目

ここへ、鉄道で訪ねたいと思います電車

 

ソウルから北へ延びる鉄道・京義(キョンイ)線、朝鮮戦争で線路は南北に分断され、その後京義線の終点は長年、民統線より南のムンサン駅まででした。

(※民統線=DMZ手前の、一般人が立入れる最北のライン)

 

金大中大統領時代の"南北融和"ムードの中、2002年に境界線すぐの都羅山駅まで延伸。

さらに線路は、北朝鮮(※開城/平壌方面)側へ、境界線を越えて接続されました電車

2009現在、日数本の列車がここ都羅山駅まで運転され、DMZツアーが行なわれていますが、都羅山駅まで乗りたい場合は、1駅手前の臨津江駅で一旦降り、手続きの上ツアーに参加する必要があります。

少し面倒くさいですがあせる、その手間をかけても行った甲斐がありました。

では、南北軍事境界線を訪ねる日帰り旅、スタートしますグッド!

 

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国鉄ソウル駅から出発しますビル
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京義線は6番乗り場から(※2009当時)
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"京義"とは名の通り、本来ソウル⇔北朝鮮/中国国境にある新義州(シニジュ)駅を結ぶ意味ですが、現在はDMZに分断され、勿論直通列車は走っていませんあせる

日本時代には、ソウル→新義州→さらに満州まで走り通す、特急"あじあ号"が走っていた路線です。

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京義線列車が↑入ってきました!
5両編成のディーゼルカーです電車
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僕はこの線、当別荘開始前に一度乗った事があるんですが、その当時は、機関車が引く客車でしたDASH!
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京義線は1時間に1本、原則普通列車のみの運転です(※2009当時)
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発車しました!

エンジンの轟音を上げながら、ソウルの街を離れてゆきます電車

 

しかし、この後展開される車窓からの光景は、時代の変化を感じるものがありましたひらめき電球

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途中あちこちで複数、新駅の工事を急ピッチで行っていて、さらに電化工事もしているようなんですレンチ
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まさに大改造真っ最中な様相の京義線でした。

これは昨今、韓国鉄道がソウル近郊ですすめている『首都圏電鉄化』工事の一環で、これまであまり通勤に使われていなかった国鉄の閑散区間を、"地下鉄並みの通勤路線"に改造するプロジェクトですベル


次回来た時にはこのディーゼルカーも無くなり、通勤型電車が頻繁に走る京義線となっている事でしょう(※2020追記:実際そうなりました)
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終点に近づくにつれ、田園風景が広がりますクローバー
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終点の2つ手前、↑ムンサン駅着。

前述の通り、南北分断以来同駅が終点で、僕が前回来た時もここまででした。
2001年、ここからさらに北へ延伸され、いよいよ"DMZゾーン"へ突入します注意
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ムンサン駅からさらに北上、数分で↑臨津江(イムジンガン)駅に到着。

新開通区間なので新しげな駅です^キラキラ


ソウルから乗ってきたディーゼルカーは、ここで終点です。

一般客がキップだけで乗ってこれるのは同駅までで、さらに一つ先、終点の都羅山駅へは直接行く事は出来ません

都羅山駅は民統線(※前述)の北側にあり、都羅山へ行くためには、一旦臨津江駅で降り、入域手続きする必要がありますクリップ


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臨津江駅の↑駅名標。"209km"と、平壌までの距離が書いてあります。
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ホームから見える、緑広がる郊外の風景ハチ
アノ将軍様のいる、北の国の首都までわずか200km、南北の軍隊が対峙する境界線/DMZ近くとは信じられない程、のどかな雰囲気ですクローバー
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臨津江駅↑外観です。

繰り返しですが、同駅が許可なしで来れる韓国北限です。
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僕はこれからさらに、都羅山駅を目指すんですが、まず駅前にある↑『DMZ観光案内所』(?)で、パスポート提示の上入域手続きをします。
中国人のおばちゃんが窓口を占領していて、かなり待たされましたwあせる
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↑のDMZ案内所⇔駅の窓口を右往左往して集めたあせる↑の"DMZ入域セット"あせる
①観光ツアーチケット(※09当時・11700ウォン)、②臨津江~都羅山間の往復乗車券、③入域証(左下の紫のID札)、この3点を揃えてようやく、都羅山駅までの乗車が許されます。(※パスポートも必携)

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臨津江駅の待合室には、線路の南北連結を歓迎し、統一を願う韓国国民の思いが、絵や寄せ書き等の形で掲示されていました。
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ソウルから乗ってきた↑ディーゼルカーが、ムンサン駅へ折り返していった後~
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代ってホームに入ってきたのが、↑都羅山駅に向かう専用列車です。セマウル号に使われるのと同じ特急用車両です(驚)

警戒の憲兵が登場、それまでのんびりムードだったホームに緊張感が走ります。

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憲兵による荷物検査とボディチェックを受け、専用列車に乗り込みます
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列車は走り出してすぐ、ゆっくりとした速度で臨津江を渡ります波
この川に沿って、先程来前述の『民統線』が引かれていて、ここから北が一般人立入禁止区域です。


↑臨津江には、朝鮮戦争で破壊された京義線の橋脚がそのまま残っています。かつて日本のフォークソングでも唄われた、南北分断を象徴する地点の一つ、イムジンガンです。
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川の北側には、鉄条網が張られています。

緊張感高まる中、列車は渡河します。
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臨津江駅から約5分で、終点の都羅山駅に到着しました。

たった5分がこれほど長く感じられた列車は初めてです。



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↑都羅山駅舎です。ちょっとした地方空港のような大きな駅でした。

臨津江~都羅山間は、2002年に開通しました。
民家も全くない民統線の北側、一般客乗降の無い駅がなぜこんなに立派かというと、将来の統一/往来自由化に備えて、南北出入境の管理施設を備えた造りになっているからです。

 

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駅内のあちこちに、将来"南北直通列車"が走ることを見越した、越境用の検査施設がつくられています。空港の国際線設備並みです飛行機


僕はこの施設を見て、下記のような事を思いました。

まずもって、完全な"統一"を目指すのなら、このような"国境検査の施設"は本来必要ないものです。

しかし韓国がこういう施設を既に造っているという事は、韓国自身も"いきなりの完全統一"は有り得ず、当初は"中国⇔香港"のような関係から段階的に統一をすすめていく、というふうに考えていると推測されます。戦後半世紀、南北はあまりにも違う歩みをしており、現在の状態で自由往来を開始しても大混乱に陥るのは誰が考えてもわかります。

 

というか、現実としてこの施設が近いうちに使われる可能性がほとんど無い事を考えると、これはもう、"韓国の人々の統一への願いを形に表したモニュメント的なもの"だというのが実体かとも思います(※やや語弊ある表現かもしれませんが)

いずれにしても、この出入境検査場が実際に使われる日が一日も早く来る事を祈ります虹


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改札口では、↑憲兵が立って警戒しています。
↑の電光案内に『平壌行、まもなく発車します』と表示される日がはたして来るんでしょうか・

 

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都羅山駅前から、↑DMZツアーのバスに乗り込みますバス
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駅を出てまもなく、検問所を通過。

ますます北朝鮮との境界へ近づいてゆきますヒミツ

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鉄条網をいくつもくぐり抜けて、↑展示館らしき建物に到着。
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ここは韓国軍が設置している『DMZ南進第3トンネル資料館』と、そのトンネルを実際に見学する入口ですモグラ

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南北対峙する緊張の現場を人形で表現。
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DMZの厳しい現実を紹介する資料館見学の後・
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↑ヘルメットを配られ、さらに奥へとかげ
(※このヘルメット、このあとすぐ『絶対必要なものだ』という事がわかります)
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そして次は、↑遊園地のコースターのような乗り物が登場!
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全員乗車完了と共にいきなり発車、トンネルの中へロケット

日本のように「ご注意下さい」なんてアナウンスはありませんあせる
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おぉ~、急坂降下!あせる

その上メッチャ狭いトンネルです!!
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端に乗っていると、うっかりすれば肩がトンネルの壁に擦れる位の狭さ、下手なジェットコースターより余程迫力があります叫び
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そして中間あたりから、壁を照らしていたLED照明も無くなって、↑真っ暗闇を滑り降ります右下矢印
凄いところへ来てしまいましたw
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そして、スリル満点なコースターは、暗闇の中の終点に到着星空
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ここからは、洞窟のような軍事トンネルの中を、徒歩で探検です。
これが又、非常~に歩きにくかったです叫び


この"南侵第3トンネル"、北朝鮮が韓国侵略の秘密作戦のために掘ったものとされています。2009現在は4本が確認され、そのうち↑の"第3"が公開されています。

このトンネル内を歩く時、先程入口でもらったヘルメットが大活躍というか、必須なんですモグラ
トンネル空頭高が低いため中腰で歩かなければならず、相当注意していても、頭がトンネルの天井にぶつかりますガーン
そのため皆、ヘルメットを岩にぶつけながら進み、"コポン、コポン"とヘルメットが岩に当たる音をさせながら歩きます走る人
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トンネルを歩く事約15分位、ついに行き止まり地点に着きましたフラッグ
分厚い↑コンクリート壁の向こうは、わずか200m程で北朝鮮だとの事です。
このコンクリート壁、この奥にもう1ヵ所同じ厚さの壁があり、北との間を厳重に遮断しているという事です。

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トンネル見学を終え、コースターで上昇して↑地上へ戻ってきました。

いやぁ、凄い所でしたあせる

 

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つづいてバスは急坂を登り、次の場所へ案内してくれます右上矢印
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『都羅展望台』に着きました。

ここも軍の管理です。
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北朝鮮の山並、さらに家並までが望遠鏡を使って望めますサーチ
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この展望台の中間あたりに、↑黄色い線が引かれています。
これは、『この線より外側では撮影禁止』の線です(※立入そのものは端っこの双眼鏡のところまで出来る)
僕は当初知らずに望遠鏡のすぐ脇でカメラを構えていて、憲兵に注意されましたカメラ
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黄色い線から望遠機能をギリギリ使っても、↑程度の写真しか撮れませんでしたが、肉眼では、北の山並や村落、そしてニュースでよく見る"巨大な国旗掲揚塔"も見えました目

数々の迫力や貴重な体験もしつつ、軍事境界線の緊張感、そして分断国家の悲しさを感じた、DMZツアーでした。

 

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都羅山駅へ戻ってきました。
駅ホームで見つけた、↑金大中大統領&米ブッシュ大統領(※当時)の写真(※駅名標の左側)
開通式で使われたと思われる記念の枕木が、写真の前に置かれています。


この駅が出来、南北の鉄路が連結されてからこの時点で10年近く経ちましたが、客車が北へ走ったのは式典時のわずか1回だけで、それ以降の南北鉄道事業は何も進展していません。

それどころか、近年ますます悪化している南北関係、鉄馬がDMZを駆け抜けるまでには、まだ長い歳月がかかりそうです汗
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ホームにあった、↑統一へのスローガン。
『この駅は南からの終着駅では無い、北への出発点なんだ』というような意が書かれています。まさに南北の悲願である、南北鉄道の接続点・都羅山駅へ託されている遠い夢です虹

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ツアー行動解散後、再び臨津江駅に戻り、ここからは"自主ツアー"開始ですwグッド!
臨津江駅から近い、臨津閣を訪ねます走る人
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臨津閣入口に、↑古い客車を改造した食堂がありましたナイフとフォーク
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その朽ちかけた車体の側面の↑サボは、『新義州⇔釜山』となってます。まさに"京義線"の端から端まで、日本時代には朝鮮半島を貫通していた全区間です。
統一の願いがこもっています。

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臨津閣には、↑かつて日本統治時代に活躍したSLの名機『ミカ3型』が、比較的良好な状態で保存されていましたキラキラ
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SLの先頭部には、↑国鉄が建てた記念碑。
"鉄路分断点"の碑。そこには、『鉄馬はもっと走りたい』と書かれています。

詩の盛んな韓国なので、SLを"鉄の馬"になぞらえています。

 

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つづいて、臨津閣のビジターセンターへコーヒー
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この臨津閣は、臨津江の南側、つまり民統線より外の"一般区域"にあり、韓国の一般の人が手続きなしで訪れる事が出来る最北端として知られています。

北に故郷を持つ韓国の人にとっては、"望郷の地"となっています。


この臨津閣の建物、近年建替えられたようで大変きれいでした。

コンビニやレストラン、土産物店もあり、大変便利です^プレゼント
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上のモニュメントは、『望拝壇』
墓参かなわない北に故郷がある人々が、先祖への祈りを捧げる場です。
秋夕等、節目の際には、沢山の人が遥拝に訪れます。
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先程渡ってきた↑都羅山駅への鉄橋、そして戦争で破壊された旧鉄橋の橋脚が、この屋上から見えます目
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臨津閣のトイレ、↑"お洗手い"・惜しい!wあせる
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DMZ探訪の一日が終わりました。

再び京義線ディーゼルカーに揺られ、平和なソウルの街へ戻ります夜の街

 

今作の『都羅山DMZツアー』ですが、冒頭書いたソウルから行く3ヵ所の南北境界線のうち、板門店は場所が場所だけに事前に厳重な手続きが必要で、ツアー定員も少なく、訪問出来なくはないですが難易度高め。一方オドゥサン展望台は手続き不要で訪問出来ますが、緊張感はそれほどでもという感じです。

今作で訪ねた都羅山は、そのちょうど中間という体感でした。なお上記3ヵ所とも、南北情勢により突然閉鎖される時もあるので、行かれる際は要注意です注意

 

 

今作ここまでです!


次作は場面ガラッと変わり、ソウル東郊の春川市を訪れます。アノ"冬のソナタ"のロケ地でもある春川、当地名物のグルメも味わいます。お楽しみに^グッド!

 

 

 

 

 

(※2020.4 2024.2 文一部修正)