①の続きです。
①の記事はこちらhttp://ameblo.jp/marutomode24/entry-12273712554.html
続いて『ギリシャ神話・ローマ神話』からの人物たち
神話からは4つのモチーフが存在します
「カリアティード」「ネレイスたち」「マイナスたち」「フォーネス」です。
「カリアティード」
出典:古代ローマ建築家ウィトルウィウス『建築について』(紀元前1世紀の文献)
カリアティードとは:古代ギリシャの神殿建築において、梁部を支える柱の役目を果たす女性の立像のことです。
こういうやつの総称
『建築について』によると、ペルシア戦争の際にペロポネソス半島のカリュアイという町がペルシア方に味方したため、戦後その罰としてカリュアイの女たちを奴隷とし、生涯重荷を担ぐ苦役を課し、そのことを後世に伝えるために公共建造物にその像を用いたと伝えています。
(※しかし、実際はペルシア戦争の時代よりはるか以前から用いられているため、その真偽は疑わしいとされますが…)
門の中のカリアティード
左柱の頂に《打ちひしがれたカリアティード(壺を持つカリアティード)》
「ネレイスたち」
出典『ギリシャ神話』
ネレイスとは:ギリシャ神話に登場する海に住む女神たち、またはニュンフェ(下級精霊)たち。別名セイレーン。”海の老人”ネレウスの娘たちで、姉妹の数は50人とも100人とも言われます。エーゲ海の海底にある銀の洞窟で父ネレウスと共に暮らし、イルカなどの海獣に乗って海を移動するとされました。航行する舟人を美しい歌声で魅惑し難破させたと伝えられる存在です。(人魚伝説)
門の中のネレイスたち
左扉中央《ネレイスたち》
(…なぜロダンが地獄の門の中にネレイスたちを置いたのか。今の私には謎なので、これからの課題としておきます)
「マイナスたち」
出典『ギリシャ神話/ローマ神話』
マイナスとは:ギリシャ神話のデュオニソス(ローマ神話でバッコスと同一視される)につき従う熱狂的信者の女たち。デュオニソスは豊穣・ワイン・酩酊の神様。彼には踊り狂う信者や、サテュロス(半神半獣の精霊)たちが付き従っています。彼らはデュオニソスを讃えるため、酩酊・狂乱の宴の祝祭を行います。
門の中のマイナスたち
タンパンの左寄り《オルフェルネスとマイナスたち》のマイナスたち
(※オルフェルネス:ギリシャ神話で最も優れた詩人・音楽家とされる人。デュオニソス祭の狂乱の中、トラキアの女たちによって八つ裂きにされた。)
(…ロダンは彼らの「欲情の塊」を罪の象徴として地獄の門に取り入れたのかしら)
「フォーネス」
出典『ギリシャ神話/ローマ神話』
フォーネスとは:ローマ神話の牧神ファウヌス(羊飼いと羊の群れを監視する神/ギリシャ神話でパーンと同一視される)の女性形です。
ファウヌスの姉妹・妻・娘とも言われ、元々は山野の精で女神でもありました。好色、酒好き。ヤギの角・耳・脚、馬の尾を持つ半神半獣の存在とされます。
門の中のフォーネス
タンパンの右端に《立てるフォーネス》
(…好色・酒好きな性格は先ほどのマイナスたちと似ています。こちらも「欲情」を罪の象徴としてロダンは地獄の門に取り入れたのでしょうか)
以上
以上『地獄の門』に造形される『ギリシャ神話/ローマ神話』出典のモチーフでした
なぜロダンが彼らを地獄の門に置いたのか謎なものが多いので課題にしたいです
次回は最終回になりますが、『詩』出典のモチーフとその他のモチーフについて見ていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございます
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追記
《地獄の門》関連のまるこの記事まとめ
導入(大好きな『地獄の門』の前で思い出すロダンとカミーユとダンテ)
【ロダン作《地獄の門》に造形される人物たちをその出典から紐解く】シリーズ
①《地獄の門》について、ダンテ作『神曲・地獄篇』から出典の人物
②『ギリシャ神話・ローマ神話』から出典の人物
③詩から出典の人物、その他の人物
④番外編
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