読んだふりをしていたが読んだことがない小説シリーズ
「戦争と平和」(1867年 トルストイ)
岩波文庫で全六巻。
なかなかの長編です。
19世紀初頭のナポレオン戦争を背景に、ロシアの伯爵家、公爵家の若者たちを中心に描いた歴史群像劇です。
ナポレオン軍がロシアに侵攻し、モスクワを占領し、退却するという抗いようもない濁流の中で、狂気かつ残酷にまみれた戦争の描写は迫力があるし、男女の恋愛模様も純愛とエゴと波乱に富んでいるので、長さを感じさせないドラマチックな名作と言えるでしょう。
ただこの小説、トルストイの歴史観ががっつり語られていて、これを面白いと思えるかが読むときのポイントですね。
なにしろエピローグが200ページあって、その半分がトルストイの歴史教室です。しかも本編にも何度も長文の歴史教室が入ってきます。
私はトルストイの歴史観をさほど理解しているわけではないですが、特定の権力者の英断や判断ミスで歴史が変わるという考え方には否定的なようです。(今風に言えばナラティブ化批判ですかね。)
私もどちらかと言うとそう思います。
でも、ナポレオン戦争は勿論、三国志、日本の戦国時代など、歴史はナラティブにまみれてますから全てを否定するのも大人げない気もします。
まあ、こういう長編大作は、そんな隅々まで丁寧に読まなくて良いですけどね。