「嘘ではないが、ちょっと言いすぎじゃない?」
そう思える本が、結構ありますよね。
先日、書店で見つけた本には、
「足ツボマッサージで、がんが治った!」といった内容が書かれてありました。
ざっくり内容を説明すると、「著者ががんになり、病院ではなく、足ツボマッサージで治した」とのこと。
「だから、がんは治るんです!」みたいな言い方をしていました。
これって、論理的に破綻していますよね。
だって、事実と仮説が混在していますから。
事実は、「がんが治った」ということ。
仮説は、「足ツボマッサージが、がんの治療に効果があった」であり、「私のがんが治ったのだから、他の人のがんも治る」ということ。
まず、あまり知られていない事実として、「がんは(治療しなくても)自然に治る」ということがあります。
というよりも、「多くのがんは勝手に治っている」といったほうが正確でしょう。
もともと、がんという病気は、そういうものです。
まるたけのクライアントさんの家族にも、がん手術の直前の検査で、切り取るはずのがんが消えていた、なんてこともあったそうです。
つまり、この本の著者も、勝手に治っていたかもしれないということ。
何もしなくても治っていたのに、たまたま足ツボマッサージを受けたことで、「そのおかげで治った!」と勘違いしている可能性もある、ということです。
お守りを買っても買わなくても、受験には合格していたのに、「お守りのおかげで、合格できた!」と勘違いしてしまうのと同じ心理ですね。
また、もし仮に、著者のがんには足ツボの効果があったとします。
でも、だからといって、他の人にも効くなんて、なぜ言い切れるのでしょう?
これは考えるまでもなく、非論理的です。
身も蓋もない事実ですが、がんであれ何であれ、治るときは治るし、治らないときは治らない。
確率論として、効果が期待できる治療法はあるにせよ、「絶対に治る!」なんてものは、嘘っぱちだと思っています。
ただ、個人的には足裏マッサージが好きですね。
たとえ、がんは治らなくても。