北島康介選手の活躍で、何かと話題の水泳・平泳ぎ。
水泳の中でこの泳法ほど「矛盾」した泳法はないだろう。
しかし、その「矛盾」が日本人でも活躍できる、ひとつの要因かもしれない。
何が「矛盾」なのか?
それは、速く泳ごうとすればするほど、遅くなるということ。
なぜ遅くなるか?
それは、推進力を得るために泳ぐこと自体が、水の抵抗をさらに大きくしてしまうということ。
だから、気負うと遅くなる。
一生懸命泳げば泳ぐほどと、スピードが落ちてしまう。
金メダリストの北島選手もコメントしていたが、ひとかき、ひとかきを確かめながら泳いだ、と。
その大きく、ゆったりした泳ぎ方こそ、最大の推進力を得る。
このことは、あらゆる場面に応用できるのではないでしょうか。
整体をしていて、筋肉をほぐしていく「コツ」は何か?と聞かれれば、答えはひとつ。
「がんばらない」ことです。
一生懸命がんばってほぐすと、まずいい結果は望めません。
理由は2つあります。
1、がんばって押せば押すほど、それは手力(てぢから)になってしまう。
腕力に頼った施術は、クライアントの筋肉に緊張をもたらす。
2、リキめば施術者の感覚が、鈍化する。
施術に必要なのは、クライアントのリアルタイムな反応を知るための感覚。
一瞬一瞬の反応を見逃しているようでは、施術の精度が落ちてしまう。
技術的には、体重を利用したほぐし方が基本。
ただし、体重を利用すれば良いということではなく、体重を利用しないと、その先がないということ。
大きな圧は、自分の重さを利用する。
その先にある、繊細な圧は、やはり指先の動きで調整する。
リセット整体のメインの手技・ズリ圧は、押し伸ばすこと。
「押す」と「伸ばす」は当然ベクトルの方向が違うわけですから、異なる2つの力を利用しなければならない。
「押す」が体重であり、「伸ばす」が指の動きである。
大きな圧で、筋膜全体に負荷をかけ、奥に隠れた“こりぐせ”をピンポイントで伸ばしていく。
この2つの作業が同時に行われることで、体の組織はリセットされるという訳です。
平泳ぎは、しっかり水をかくことと、スッと体を伸ばし、水の抵抗を最小限にすること。
これを繰り返すことで、速く泳ぐことができる。
緩急のバランスが、スピードを左右する泳法です。
一生懸命だけでは、ダメ。
ゆったりしているだけでも、ダメ。
異なる2つのベクトルを、いかにバランスよく用いるか。
これって、生きることの極意に通じるかもしれませんね。