四国霊場・円明寺(過去のブログ記事より) | 石川鏡介の旅ブログ

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四国霊場会公認先達(権中先達)&秩父観音札所連合会公認先達です。四国霊場を中心に、古寺名刹、神社、城跡、名所旧跡。さまざまな旅の思い出を綴ります。

 

 太山寺参詣後、第五十三番札所の円明寺へ向かいました。時刻は午後四時を過ぎていましたが、その日最後の参詣なので時間的にもちょうど良かったです。

 円明寺は、太山寺とは対照的に平地の町の中のお寺です。宗派は太山寺と同じく真言宗智山派で、本尊は阿弥陀如来です。開基は行基菩薩。所在地は松山市和気町一丁目一八二番地で、地元の人々からは「和気の円明さん」と呼ばれて親しまれているとのことです。

 今回はクルマで行ったのですが、初めて参詣した時は電車を利用しました。JR予讃線の伊予和気駅から近く、公共交通機関を利用する遍路にとっては便利な場所にある札所です。

 三門前に駐車場があります。三門は太山寺のものに比べるとたいへん簡素なものですがそれだけに町中の札所にふさわしいものだともいえます。

 三門をくぐり、本堂に向かいますが、三門と本堂の中間地点に楼門があります。本堂に向かって左手には大師堂があります。他にも観音堂があり。境内はそう広くはありませんが主要な建物がまとまりよく配置されています。

 このお寺を有名にしたのはアメリカ人のスタンダール博士で、大正十三年に四国遍路をして調査をし、慶長三年の銅板の納め札を見つけ、すばらしい価値があると紀行文に書いた。それで円明寺は銅板の納め札のお寺として知られるようになり、スタンダール博士も「お札博士」と呼ばれるようになったのだとか。

 このお寺の見どころは、大師堂の天井に描かれた絵です。天井絵は三十七番札所の岩本寺のものが有名ですが、この円明寺のものは岩本寺のもの程ではないにしても綺麗で心和むものです。

 また、境内には「キリシタン石塔」と呼ばれる墓標があることでも知られています。江戸時代にマリア像を刻んで隠れキリシタンが拝んだと言われています。実際、このあたりにはキリシタン禁制となっていた時代にも隠れ信徒が多かったということですから、こっそりとマリア像を刻んで拝んでいたのかも知れません。「マリア観音」などという言葉もありますからこの像を「観音さまだ」と言い張って、住職も知りつつ黙認していたのかも知れません。または、キリシタンとは関係なくただの石塔だったのかもしれません。

 歴史は謎として、いろいろ想像を巡らしてみるのも、それはそれでまた面白いものです。

 

(2011年9月15日の「石川鏡介のブログ」より転載)

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