私の、八月十四日の四国霊場巡りは、四十四番の大宝寺から始めて五十三番の円明寺まで行くという強行軍でした。別格霊場の文殊院にも行ったので、計十一ヶ寺です。普通はそんなにまわりません。大宝寺から始めたのなら石手寺で終わり、といったところでしょう。しかし、私の希望を受け入れてくださった四国八十八ヵ所公認先達の方のご好意で円明寺まで行けるスケジュールを組んでいただきました。本当にありがたいことです。
第五十二番の札所は太山寺といいます。宗派は真言宗智山派で、本尊は十一面観世音菩薩。開基は真野長者。所在地は松山市太山寺町一七三〇番地です。
五十一番の石手寺から、有名な温泉地・道後温泉の街の中を通り、そのまま西に向かいます。松山城の北側を通り、伊予鉄道の線路の北を行き、衣山駅近くで右折。国道一九六号を北へ向かい、伊予和気駅付近で左折して西へ向かって行きます。
瀧雲山という山の中腹にある、規模の大きいお寺です。山のお寺なので、参道は坂道が続きます。今回は先達の方の運転するクルマで行ったのですが、以前に行った時は歩きで、かなり疲れました。とはいえ、進むごとに、鬱蒼と茂る杉林の中を行くので、涼しさを感じることもありました。
参道を歩いて右手に納経所があります。以前に訪れた時、納経所の人の対応が良く、とても親切だったために心も身体も癒されました。
本堂は納経所入り口前よりもさらに奥へと坂道を登った所にあります。
参道の突き当たりから右手に急な石段があり、それを登りきると大きな門があります。豪壮という言葉が似合いそうな立派な門です。
門をくぐったら視界がひらけ、正面に本堂がみえます。この本堂は鎌倉時代に建てられたもので国宝です。単層入母屋作り。さすがに国宝に指定されるだけあって、どっしりとした構えの立派な建物です。
本尊の十一面観世音菩薩像や仁王門は重要文化財に指定されています。
本堂に向かって右手にある鐘も独特なもので、「裃腰」と呼ばれ、この寺の名所の一つでもあります。
さらに右手(東側)には聖徳太子をまつるお堂があります。学業成就に御利益があるとも言われているようです。
本堂に向かって左手の、一段高い位置には大師堂があります。高い位置にあるだけに振り返ってみた境内の景色は見事なものです。
山の中腹にある境内は全体的にも重厚感が漂い、汗をかいて登った境内だけにホッとするものがあり、古寺の格式と共に癒しも感じる札所です。私が特に好きな霊場の一つでもあります。