聖天院の本堂と高麗王廟《過去のブログ記事より》 | 石川鏡介の旅ブログ

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四国霊場会公認先達(権中先達)&秩父観音札所連合会公認先達です。四国霊場を中心に、古寺名刹、神社、城跡、名所旧跡。さまざまな旅の思い出を綴ります。

 

 聖天院の阿弥陀堂から石段を上り、金剛力士像のあるところより上に行くと、鐘楼があります。その右が聖天院本堂で、これは七年の歳月を費やしたという総ケヤキ造りの大建築物です。

 本堂のさらに右側(北)には雪山といわれる石灰岩の露出した大岩があり、その岩の中に不動明王の姿が見えると説明書きがありました。よく見ると、なるほど、と思えるのですが、写真に撮るとよく分かりません。

 鐘楼、本堂、雪山はともに高台の上に在るので眺望がすばらしいです。雪山のほうに「見はらし台」というものがあるのですが、そこへ行かなくとも、本堂の前でも見晴らしが良いです。まだまだ都市化の波が及んでいないため山里の風景がそのまま残されているという感じで、のどかな景色に心が落ち着きます。

 聖天院の本堂の前から高麗神社や高麗川沿岸のほうを眺めながら、遠い昔に思いを馳せました。高麗王若光や高句麗の遺臣、その他、高句麗滅亡から日本へ遁れた人々はこの武蔵西部の地に集まり、何を思ったのか。ただひたすら故郷の高句麗を思い悲しみにくれたのか、この地を新天地として、故郷を思いつつ新たな希望を抱いたのか。私のように何百年も前の先祖から関東で暮らしている日本人にはなかなか分からない心情だったかも知れない、などと思いながら、やはりこの聖天院の建つ土地が高句麗遺臣にとって心のよりどころだったのでは、と思うのでした。

 なんにせよ、この地に立って昔に思いを馳せるということは、日本の歴史ばかりか昔の東アジアの攻防史に思いを馳せるということでもあります。

 庫裏のほうまで降りて納経を済ませてから、雷門の北側に在る高麗王家の廟にも行きました。高麗神社とならんで、見学の価値のある場所といえるでしょう。

(2011年10月19日の「石川鏡介のブログ」より転載)

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