武蔵野三十三観音霊場の第二十番札所は龍円寺です。正式には竜岳山龍圓寺といい、「新久観音」とも呼ばれています。宗派は真言宗智山派で、札所本尊は千手観世音菩薩。所在地は埼玉県入間市新久七一七番地です。
十九番の東光寺からの道のりは、東光寺の門前の道(東西にはしる)のさらに南の道(これも東西に走る道)を西へ向かい、東光寺から三百メートルも行かないうちに武蔵工業団地と仏子駅前とを結ぶ道路(南北にはしる)にぶつかりますが、そこで左折するのです。するとすぐに龍円寺の門前に出ます。
ここもまた、東光寺と同じく高台にあるお寺です。東光寺と違うのは、東光寺の本堂が南に面していたのに対して、龍円寺の本堂は東に面している、ということです。お寺や神社は高台に建てられていることが多いですが、それは昔から、麓の里の人々が仏(あるいは神)を仰ぎ見る形が信仰の形として相応しく、また仏(あるいは神)が高所から里を見下ろして里の人々に恵をもたらすという、大きな意味も持っていたのでしょう。
参道を上ると正面に本堂があり、向かって右手が納経所のある庫裏で、左手が観音堂です。
観音堂に安置されている千手観世音菩薩像は、十センチほどの金の像で、行基菩薩の作と伝えられているそうですが、小名田谷という所の井戸にあったといいます。お寺の歴史は、建仁年間、この地に草庵を結んだ寂蓮という僧が(草庵に)千手観世音菩薩像を安置したことに始まる、とガイドブック(平幡良雄著『武蔵野観音巡礼』満願寺教化部発行)に書いてあります。
現在の観音堂は平成二十年に現在の住職が再建したものだそうです。
私が訪れた時にも境内の一部では工事が行なわれており、今後も整備拡張されていくようです。