武蔵野三十三観音霊場の第十八番札所は蓮華院です。正式には世音山蓮華院といい、宗派は真言宗智山派、本尊は千手観世音菩薩、所在地は埼玉県入間市春日町二丁目の九の一番地です。
十七番札所の徳林寺からは直線距離で二キロちょっと。最寄り駅は西武池袋線の入間市駅です。徳林寺の最寄り駅が西武新宿線狭山市駅なので相当な距離があるように思えますが所沢駅から狭山市駅の辺りまではほとんど平行に走っているのでそれほど離れてはいないのです。所沢駅から北西に向かっていた西武新宿線が狭山市駅から方向を北東に変え、本川越駅を目指し、同じく所沢駅から北西に向かっていた西武池袋線が稲荷山公園駅やその次の入間市駅で進む方向を西に変えて飯能方面に向かいます。ですから、歩き通しの巡礼やクルマでの巡礼の場合ならともかく、電車やバスなどの公共交通機関を利用しての巡礼の場合、注意が必要であり、十五番から十六番・十七番へ行く場合や十七番から十八番へ行く場合は、ずっと歩くか、遠回りだが所沢経由で電車を活用するか迷うところでもあります。
私は、武蔵野三十三観音霊場巡りを始めた第一日目には電車と歩きで一番→二番→三番と巡り、二日目にはまた電車と歩きで四番→五番→六番と巡り、三日目にはまたまた電車と歩きで七番→八番→十三番→九番→十番→十六番→十八番と巡りました。そして四日目(二日間連続とか四日間連続ではなく間に何日も置いてですが)にクルマで十一番→十二番→十四番→十五番→十八番→十九番→二十番→二十一番→二十二番…というふうに巡りました。
十七番の徳林寺からクルマで行く場合は、門前の細道を西へ進み、国道十六号線に出て南西方向、入間市駅方面へ向かい、入間市駅の西で右折します。十五番の松林寺から十八番の蓮華院へ向かった私はというと、松林寺から北へ進み、県道八号の川越入間線に出っところで左折し、しばらく西へ向かってから宮寺交差点で国道十六号線に出て北へ向かいました。
問題は蓮華院付近の道の狭さと、迷路のような袋小路でした。クルマでの巡礼の場合、主要道路のすぐ脇にお寺があるのではなく、主要道路から脇道に入ってさらに左折・右折を繰り返してクルマ一台通るのがやっと、という道を進み、ということがよくあるのですが、この蓮華院への道のりも分かりにくいものでした。
入間市駅のすぐ西の「河原町」という交差点で国道十六号線から国道二九九号線に入り、霞川にかかる橋を渡り、北へちょっとだけ進み、右折して細い道に入ります。この河原町交差点あたりもけっこう複雑で周囲に信号が幾つもあるうえに主要道路が重なっているために渋滞するのですが、二九九号線から右折して細い道に入ると迷路のようになっています。実際、地元の人にとってはなんでもない道かもしれませんが、初めてクルマで入る者にとっては訳の分からない迷路のようです。
まっすぐ東へ行くと霞川の淵に出て、目指す方向とは違いまた霞川を渡ることになったり一方通行だったり。それで引き返して(道が狭いので楽に引き返すことも出来ず)、細い道を北へ行ってから右折して、また道が二手に分かれて迷ったり…。道路地図をよく見てじっくり行けば良かったのでしょうが、道は狭いわ目印はないわ、案内板はないわ、後ろから自転車やクルマが来てのんびり地図とにらめっこ出来ない状況だわ、で、かなり焦りました。で、適当にグルグルまわっているうちに蓮華院らしき寺院の前に出ました。
しかし、門前に駐車場がありません。道が狭いので、道端に停車するわけにもいきません。そのため、クルマで境内に入りました。そうしたら境内に、それなりに広い駐車場があったのでした。
このあたりは霞川と入間川が合流する地点の少し手前で、道も狭いためにお寺の境内も狭いのかと思ったら、予想外に境内が広かったのでした。
国道から少し外れたということもありますが、境内が木々に覆われているために街の喧騒から離れた静寂さがあり、観音堂のまわりは特に静かさを感じました。
納経所のすぐ前は古都の古寺名刹を思わせる見事な庭園があります。
納経所の建物は、旧家が戦前か戦後間もない頃に建てた屋敷を連想させるようなもので、なんとなく懐かしい感じでした。
蓮華院の歴史は古く、養老年間、行基菩薩が刻んだ観音像を安置したことに始まるという。しかし戦国時代の永禄十一年(西暦一五六八年)の火災ですべて消失し、今では、行基作とは別の観音像(定朝作という)が安置されているということです。