武蔵野三十三観音霊場の第十五番札所は松林寺(しょうりんじ)です。正式には長青山松林寺といい、宗派は曹洞宗、本尊は千手観世音菩薩、所在地は埼玉県所沢市林二丁目の一四七番地です。
十四番の妙善院にしてもこの松林寺にしても、最寄り駅は西武池袋線の狭山ヶ丘駅なのですがちょっと距離があるのでクルマで行ったのです。妙善院参拝の後、門前の細い道を西へ進み、大日堂交差点と三ヶ島中学学校前とを結ぶ通りに出て、右折し、三ヶ島中学の前を通り過ぎて林小学校前の交差点に出ました。そのあたりで案内板があり、それにしたがって左折し、またしばらく進んでから右折。ほんの二百メートルほどでまたクルマ一台通れる程度の道へ右折したら松林寺の駐車場に着きました。
お寺の開創は江戸時代前期、四代将軍の頃らしいです。その頃、付近には大きな川がないため荒れ地や雑木林が多く、江戸初期になってそうやく開墾が進んだようです。そして灌漑が進み、人家が多くなり、お寺も建てられたのでしょう。
境内は庭もお堂もよく整備されているという印象で、特に、本堂前にある幾つかの像が目をひきました。
まずは「一葉観音」という観音像。
ただ像があるだけでは何のことか分かりませんが、ちゃんと解説の看板がありました。その昔、日本の曹洞宗の開祖・道元禅師が宋へ渡り、禅の修業をなされた。そして日本へ帰る時、海が荒れ、禅師の乗った船が難破しそうになった。禅師が観音経を誦したところ、一葉の蓮華に乗った観音様が現れ、嵐がおさまった。そのような伝説があるので一葉観音の像を寺の境内にたてたという。
そして三蔵法師こと玄奘の像。数多くの経典をインドから中国大陸に持ち帰りました。それ以後の東アジアの人々が多くの経典を読めるようになったのは玄奘三蔵のおかげというわけで、その功績を讃えています。
さらに、真新しい石の観音像。一葉観音といい、玄奘三蔵像といい、観音像といい、多くの信徒・檀家衆の目に触れる所に立てるのは、それだけ檀信徒の寄進が集まったということでしょうが、お寺の住職が仏法興隆に力を尽くしていることを示しているのではないでしょうか。