秩父三十四観音霊場の第三十一番、観音院は、秩父札所中屈指の、交通の便が悪い所にあります。観音院に限らず三十二番・三十三番・三十四番も不便なところにあるのですが、地図を開いてみれば分かるように、一番西にあるのです。三十番の法雲寺までは秩父鉄道沿いにあったり、どちらかというと街に近い場所にあったりするのですが、観音院は山の中の秩父盆地の中でも「最果ての地」というべき(?)場所にあります。
三十番の法雲寺から三十一番の観音院までの距離は秩父札所中最長で、歩きだと五時間以上かかるといいます。西武秩父駅前からバスを使うと「栗尾」というバス停で降りて行くことになりますが、そこから先がまた長いのです。
では、クルマなら疲れを感じないかと言うと、実際、秩父札所中最長の距離なのですからそれはそれで疲れるわけです。ずっと乗りっぱなしですから。
そうやってたどり着いた観音院ですが、仁王門から先がまた長いのです。山の斜面の中腹に本堂があるのですが、仁王門からは長い石段を上って行きます。急斜面をまっすぐ一気に上るわけではないのですが、山の斜面に沿ってくねくね曲がりながら延々と続く石段のあまりの長さに、参ってしまいます。「参道」は御参りの道ですが、「参ってしまう道」でもあります。
とはいえ、空気が澄んでいて、近くの谷川の清らな名水、太い樹木、険しい岩山などを見ていると大自然に気ともいうべきものを感じて、深呼吸すると身体全体に力がみなぎるようにも感じます。ようは心のもちようで、「いやー、まいったまいった、まだまださきがあるのかよ、もうダメだ行けないよー」などと弱音を吐きながら行けば疲れるだけで、周囲の景色や自然の息吹を楽しみ深呼吸しながら行けば身体に力がみなぎるのを感じることが出来るわけです。
石段の脇には花のほかにも石仏があったり、句碑があったりして、いろいろ見どころがあり、楽しめます。
石段を
上りきって本堂に行くちょっと手前に、左折して西の奥の院へ行く小道があって、初めて観音院を訪れた時(平成十一年)にはそこから奥の院へ行けたのですが、今は崖崩落・落石の危険があるということで、行けなくなっています。西奥の院への道は閉ざされて草ぼうぼうでした。
(2011年8月19日の「石川鏡介のブログ」より転載)
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