「 Room 237 "シャイニング"を巡る9の考察 」 | 0・・映画toほげほげ

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  " Room 237 Being an inquiry into THE SHINING in 9 parts "


監督 ロドニー・アッシャー
出演 キューブリック好きな人たち
   シャイニング好きな人たち
   深読み好きな人たち
   トム・クルーズ


シャイニング
1980年公開
監督、スタンリー・キューブリック
原作、スティーヴン・キング

ポスターに書かれた宣伝文句
全米を席巻した恐怖の波

それは
多くの先住民を斧で惨殺し資源を奪った白人たち
斧
 ***

ハロランの後ろの棚
"カルメット"のふくらし粉の
正面を向いた1つの缶
カルメット

カルメットとは先住民の長パイプ
意味は"平和"

その缶が2度目に登場するのは
ジャックの後ろ
向きがバラバラの5つの缶

和平は破綻した
先住民は虐殺される

カルメット

 *
作品の底に潜んでいるのはホロコースト

登場するタイプライターはドイツ製の"アドラー"
アドラー

アドラーはドイツ語で鷲、ナチのシンボル
鷲はアメリカのシンボルでもあり
本作ではパワーのシンボルとなっている

タイプライターはジャックの変化により
途中で色が変わる
アドラー

ダニーが着る服に42の数字
駐車場には車が42台
237号室、2×3×7 は42

1942年は
ナチがユダヤ人根絶を決めた年

42

 *
映画の中には不可解な映像がいくつもある

ダニーの見るテレビに電源コードがない
テレビ

ジャックたちの荷物はあまりに多すぎる

ジャックがウェンディと話すシーン
途中で後ろの椅子が消える
椅子椅子

ダニーの部屋のシールが一つ消える
シールシール

ハロランがウェンディに倉庫を見せるシーン
出てくるドアが入ったドアの
廊下を挟んで反対側
 ( 後にウェンディはジャックをこの倉庫に閉じ込める )
出入り口
  *
 煮詰める

シャイニングには
サブリミナルを応用した映像やシーンが多い

場面切り替えのオーバーラップにも
細かい計算がされている


シャイニングは
過去についての映画
"過去であること"の映画

過去の過ちを煮詰めて
普遍的人間のパターンとして見せる
映画と言う夢として見せる

ティンブクトゥから
メーン州ポーランド、オレゴン州まで

過去が夢として現れるように
過去は現在に幽霊として現れる

いかにして歴史の悪夢から目覚めるか

ゴールド・ルーム

  *
 迷路の進み方

双子の後ろの壁に貼られたポスター
左側はミノタウロス
反対側は荒馬に乗る牛飼い

ホールの壁には
牛の頭飾りを付けた先住民の絵

ミノタウロスは迷宮の中に住んでいる

ジャックはミノタウロスとして
ホテルと言う迷宮に閉じ込められる


ダニーが三輪車で走るシーンは3回
1回目は1階

2回目は2階
237号室の前で止まる

3回目は
1階から走り出し
突然2階になる

2階は夢との接点
ダニーは両親の頭の中を探検中

237号室は父親の妄想の部屋
双子は母親を表す妄想

三輪車

  *
 原作に迷路はない

キューブリックは原作にも手を加える
断固とした決意で

原作ではジャックの車は
赤のフォルクスワーゲン

映画では
黄色いフォルクスワーゲン

赤のフォルクスワーゲンは
途中、事故車としてちらっと登場する

これは
原作を葬るのメッセージ
原作はキングのものだが
映画は監督のものである、と


キューブリックは
断るに断れず
アポロの月面着陸の映像捏造に加担

死ぬまで秘密を守る契約が
彼を苦しめた

彼はこっそり暴露したかった
暗示と言う形でも


廊下のカーペットの模様は
ケネディの発射台39Aに酷似
発射台39A

カーペットの模様パターンが途中で逆になる
カーペット
立ち上がるダニーのセーターに
アポロ11の絵

地球から月までの距離は
237,000マイル

ダニーは237号室へ向かって歩く
 ( 原作は217号室だった )

ドアに刺さった鍵には
ROOM N.237
これはMoonのアナグラム?

アポロ11

  *
 墓場へのエレベーター

血の激流は本作で最も重要な幻影

ホテルは1909年に先住民の墓地に建てられた
エレベーターのシャフトは墓地を貫く

流血の上にアメリカがあることを
本作は語っている

エレベーターの扉は閉じたまま
これは認めたくないものを抑圧することの表現
だが、いかに抑えつけようとも
悪事は露見する
あの世から血が湧き出して我々を飲み込む

血のエレベーター

  *
 不可解なビル・ワトソン

ジャックの面接の時登場するビル
アルマンの助手

面接全体が現実ではないと
指摘する人もいる

ビルのズボンの柄が途中で変わる

ジャックがアルマンと会う事務室
奥に大きな窓と強い日差し
ジャックが歩いてきた動線から
その部屋が外と面しているはずがない

カツラでケネディに似せられたアルマンは
アメリカ政府を暗示するが

目立たず服従的な態度ではあるビル
やや褐色の彼こそホテルの影のそして真の支配人

ビル・ワトソン

  *
 本の中の絵

キューブリックは
大量虐殺を自分のものとして
皆に体験してほしかった

ダニーが最初から感じた恐怖は
大量虐殺の犠牲となった人々の恐怖

トニーやハロランは それを
"本の中の絵 本当じゃない"と言った

歴史を見通す人は分かっている
過去は存在していないと
存在するのは現在の心の中だけ

この作品が描くのは
どんな過去も人を蝕むということ
そして それをどう克服するか

双子

  *
 シャイニングはどう見るべきだったか

この作品は逆再生でも観るべき

逆回転

  *
 237号室

カーペットの模様は
基本的に丸い幾何学模様で
性交を表している

廊下のカーペット模様は六角形
人間の歴史を表す

237号室は物語のその後を変える

カーペット

  *
 シャイニングの後

謎や発見はまだ他にも



   Room 237



   映画"シャイニング"に関する考察

   過去の映画の映像に
   ナレーションをかぶせたドキュメンタリー


   "シャイニング"を見たことがあり
   面白いと思った人限定の映画



   このDVDを借りるなら
   "シャイニング"を見たことがある人でも
   すぐに"シャイニング"が見られるように
   準備しておくこと

   "Room 237" 見終わると
   "シャイニング"をもう一度見たくなる


 迷路


2012年 アメリカ映画 102分