言わずと知れた医療ドラマの名作。

2003年の唐沢版を、久々に通しでGW中に見てみた。

 

終盤、控訴審での敗北と同時に倒れた財前のその後は、里見との友情や東教授との不仲解消に焦点が当たりがちだが・・・

 

自身が癌に侵された事によって、患者側の不安、真摯な説明の重要さ、寄り添ってくれる医師の重要さ・・・などを財前が徐々に感じていく様が事細かく描かれているのが、個人的には印象的だった。

 

だからこそ、それを蔑ろにしていた財前は、かつては「誰だそれ」と切り捨てていた佐々木庸平の名前を今際に出していたのだと感じる。

 

大学病院内での派閥闘争や教授婦人会の様相などは大仰な描写が多いのだけれど・・・

それ以外のシリアスな描写では抑えの効いた脚本になっており、今のような説明ゼリフや独り言ゼリフで補完を多用するような事はなく、個々が演技のみで説明をしている事が多い。

 

とりわけ、江口洋介が演じる里見は無口な分だけ言葉ではなく演技に振り幅が大きいのだけれど・・・

驚く・躊躇する・悩む・・・といった感情の演技が素晴らしい。

 

三谷幸喜は、演技の中では「驚く」が最も難しいと述べ、それが上手かった古畑任三郎を演じる田村正和を絶賛していたが・・・

白い巨塔内の里見は、ふいに声をかけられて「ハッ」として振り返るシーンが多いにも関わらず、非常に自然にこなせている。

 

こうした事細かい部分のクオリティが高いと、やや大仰な場面があったとしても、何度観ても飽きない作品になる。

 

凋落の続く今のテレビでは、こういった作品は二度と作れないと思われるので、非常に残念だ。