『ペニシリンはクシャミが生んだ大発見』 | 日々ぶらぶぶら

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『ペニシリンはクシャミが生んだ大発見 医学おもしろ物語25話』
2010/2/  百島祐貴
 
 
 
お医者さんと言われて、思い浮かべる“聴診器"や“注射器”……他にも、ワクチン接種やMRI等々……現代の医学には切っても切り離せないモノたちがどうやって誕生したのか?今では当たり前になるくらい普及させたのか?そいいった話をわかりやすくおもしろく紹介している本となります。
 
 
○体温測定
短くして“はかる男”と書くと小説やドラマのタイトルのよう。
今じゃ当たり前に病院等に行けば測る体温……コロナで爆発的に売れた体温計、施設に入るためには測らなきゃいけないかった体温……今となっては懐かしい。
いつから当たり前に病気観測の時に測るようになったのかが……少しだけわかる話。
 
いまだに水銀でどうして体温が測れるかは知らんけど(調べろ)、ニコンの前身の話も出てきてニヤリとする。
 
 
○顕微鏡
微生物を初めて見た人。自分の高性能顕微鏡は決して誰にも見せず、制作法、観察方法とか全く誰にも教えず記録にも残さなかったかからいまだに謎……という下りで、気持ちはわかる!わかるけどさ……人類にとっての損失だよ!となんとも言えない気持ちになってしまう。
レオナルド・ダ・ヴィンチみたくちょっとした暗号で書いてもいいから記録残しておいてくれよ。
しょせんは金持ちボンボンの道楽か……となるからさ……
 
 
○ツベルクリン反応
コッホさん……この手の本でよく目にする。ゴッホに名前が似ているとか……咳みたいな名前だから妙に記憶に残るよね。医学界では権威ある人有名人だったのかー――などと思っていたら、コナン・ドイルが出てきて驚く。いや確かにお医者さんだし……うわー凄いな医者としても優秀だったのかー先生。
 
 
○エックス線
レントゲンって人名だったのか!?
᙭線登場時、᙭線によって家の中はおろか人の思考まで透けて見える……なんて噂が飛び交ったらしく、ドラえもんのひみつどうぐかよ!と突っ込みたくなる。
᙭線メガネなんてものも出たらしく『医学探偵の事件簿』のラジウムの話を思い出すよなww。
それと同時に、福島原発事故をも思い出される。あのときは不確定情報やらデマや不安を煽るような情報が多くて……ヨウ素が効くからと……薬局からうがい薬が消えるし、なんか銀色のアルミみたいなコートを着て歩いている人が居たとかあったな……
いや、今も変わらんか……コロナの時も人の不安を煽るような不確定情報やら出回って色んなモノが消えたり……果ては目が合っただけでコロナが伝染るなんて話もみたなー………
情報を正しく理解して、正しく怖がろう。
 
 
○色覚検査
健康診断でやったことがある人も多いと思うけど、おそらく皆が想像する(数字が書いてある)検査表は日本人が作ったとのこと……ってどっかで聞いたことあったような?……というのを詳しく知れてスッキリしました。
5%と書くと、少ないな……と思うけど、20人に1人と書くと結構多い……と感じてしまう不思議。
え?2003年にその検査って学校でやらなくなったの?マジで……
 
 
○胃カメラ
内視鏡をなぜ胃カメラと呼ぶかがわかる話。私は胃カメラ派。
今では当たり前だけど、最初の頃は聞くも恐ろしい話だったのね……
素人に大道芸やらせるなよ。
 
 
○CT
タイトルの「ビートルズが支えた……」と言うのは、CTを開発していた会社のメインはレコード会社であり、ビートルズ専属だったから。つまり、失敗や改良が当たり前の最新の技術の装置を作るのに莫大な金がかかるのを、ビートルズのめちゃくちゃな売上のおかげでなんとかなっていた……言い方が悪いかもしれ無いけど金を湯水の様に使えてた。
金食い虫だったかもしれないけど、おかげで今の医学に重要な功績を残せたと思うと……本当にビートルズ様々な話。
 
よく聞く、手塚治虫の虫プロ……アニメの方は赤字だったけど、漫画の方で補填していた……という話を思い出すな。
 
 
●輸血
昔は羊の血を人間に使ったりミルクを使ったりして実験していた……今ではマジですかい?と疑いたくなるようなことを当時の天才達が真面目にやっていたし、最先端医療だった……という……いや、他の章も大体そんな現代の感覚からすればトンデモ実験の話が多いけど……
 
ヘモグロビン尿……初めての知ったけど、怖ッ。その時点で死ななかったん??
血液型という概念が無かった時代とはいえ、輸血の実験によりおびただしい数の人たちが亡くなったんだなー……とゾッとする。そして今、輸血が普通に出来るのはそういった人達のおかげであるということも……
ちょっと『ゲゲゲの謎』を思い出すな……
 
 
●全身麻酔の
昔は麻酔をせずにそのまま手術したとあって、考えるだけで怖い。手術の患者が暴れるから医者みんなで抑えた――とあってそらそうよな……良くなるためとはいえ、腹や足をそのまま切られる……想像を絶する痛さだったのだろう……やっぱり想像するだけで怖い。
抜歯や手術をしたことがある者としては、麻酔を発明(発見?)してくれた人に感謝しかない。
 
 
●麻酔薬・通仙散
世界初の麻酔手術の前、日本人の医者が全身麻酔を成功させた……というのは別の本でもよく出てくるけど、そうか……ここで説明されているけどやはり西洋の方に軍配が上がるのは仕方ないか……
しかし「失われた処方を求めて」とあって「失われた時を求めて」の……(略)うまくパロったタイトルだな。
 
 
●消毒法
今では当たり前の医療の基本消毒。
このタイトルが「次々に死んでいく謎の病棟」というのもミステリーやホラーの様で……興味をひかれる。
 
しかし、話の内容は産婦の一番の死因である“産褥熱"は周りをキチンと消毒してキレイにしておけば簡単に防げるよ……という話。
昔は、皆手はあまり洗わず素手で、ネズミが歩く部屋で手術をしていたそう、今考えるとね……
しかし、その当たり前で簡単な方法を今までわからなかったと言うのは、偉いお医者さんたちには受け入れがたく、しかも、それを突き止めたのが、他国の貧乏学生出身……となれば偉い人達は面白くない…ので、このときは批判され、広まらなかった。
医者が守るのは患者の命じゃなくて自分のプライドなのねとなる。
 
コロナが流行して、消毒が改めて見直されたりもしましたが、やはり基本が大事と言う事ですね。
 
 
●ペニシリン
本書のタイトルにもなった話。
ペニシリンって聞いたことあるけど……何??なんだっけ?と思ってたら抗生物質のことね。
 
今回の発見と一般的に広めることに色んな人々が関わっているにも関わらず、意外と……意外!とね……ちゃんとまとまった様に感じるのは……他の人達の富と名声の争いがドロドロと醜すぎたせいだろうか?
 
医療に関わる人は、純粋に人々の役にたちたい、病気を治してあげたい。――という人もいるけど、金と名声が欲しい!という人が結構多いな。
いや、だからこそ話として面白いんだとおもうんですけどね。
 
 
●心臓ペースメーカー
最初に電気ショックにより死人が動くまたは蘇生するという話があり、今では当たり前だけど……当時は一応、医療に使われていたけど胡散臭いモノとされていたとあって、江戸時代のエレキテル…平賀源内を思い出しました。
当時は万病に効く医療として使われていたわけで……
今でもゲルマニウムやら水素水とか、ブルーライトとか……素人にはわからん、説明されてもわからんかこれを使えば××に効くよ、●●を防ぐよ……わからんけど。……けど体によさそうだ!……と一時的に流行っていいように金摂取されているわけだからね。
 
世界初のペースメーカーは昔の携帯電話以上に持ち運びが大変だったらしい……しかも、かなりの痛さと電気は手動……自死した患者の気持ちもわかるような気がする。
 
 
●ピロリ菌
そういえば家の親も胃潰瘍診断出てて「お前らがストレスを与えるからだ」と子供の頃言われたこともあったんだよな。
胃潰瘍はストレスによってなる……と昔は言われてたし、私も親から話を聞くまではストレスが主な原因だと思ってました。
判明したのは何年の頃??と思ってたら、学会発表が1983年で、そこから一般的に浸透するのに……ガチで最近の話だったわ。
 
生活環境……というか、井戸水とか使ってるとなりやすいって聞きますね。詳しくは知らないけど……
これぞ医学って話よね。
 
 
 
なるほど、こういった医学の歴史を、“医学史"と言うのね。初めての知りました。
去年の内に知っとけば最後の「今年の3冊」で今年は医学史にハマりましたー。と言えたのに……ぐぬぬ。
なんていうのか、何と言うジャンルかわからんかったので、医療関係の歴史……的な感じで言葉を濁してたと思う。
 
この先生、タイトルがうまいよなと思う。「秘めた恋を脈で――」「毒殺事件を呼ぶ――」「――産婦が死んでいく謎の病棟」……とか、何?と興味を惹かれるモノが多い……私的に。
 
ちなみに最後の方に掲載されている医学史と世界史、日本史それぞれの年表が大変役に立ちました。
ありがてぇ。
 
 
 
一 診断編
1、何でも測らないと気がすまない男――体温測定
2、秘めた恋を脈で診断――脈拍測定
3、初めて測ったのは牧師――血圧測定
4、電話ごっこを見てひらめいた――聴診器
5、若旦那の趣味が昂じて――顕微鏡
6、細菌学の巨人の大失策――ツベルクリン反応
7、人類初体験の透視する見えない光――エックス線(᙭線)
8、見えない色を求めた仁医――色覚検査
9、深夜の極秘人体実験――心臓カテーテル検査
10、二重らせんのダーク・レディー――DNA
11、大道芸がヒント――胃カメラ(胃内視鏡)
12、ビートルズが支えた最新技術――CT
13、ノーベル賞をめぐる大波乱――MRI
ニ 治療編
14、毒殺事件を呼ぶ先端治療――輸血
15、農婦に教わった予防法――種痘(ワクチンの誕生)
16、狂気を呼んだ四人の争い――全身麻酔
17、失われた処方を求めて――麻酔・通仙散
18、物理学を超えた町工場のオヤジさん――注射器
19、次々に産婦が死んでいく謎の病棟――消毒法
20、風邪ひきイタチに助けられ――インフルエンザ・ワクチン
21、クシャミが生んだ大発見――ペニシリン(抗生物質)
22、亡き患者への想いを胸に――人工心肺
23、靴墨の缶で作った命の機械――心臓ペースメーカー
24、一万回のセックスを観察――セックス・カウンセリング
25、病原菌を飲んで自説を証明――胃潰瘍の治療(ピロリ菌の発見)
おわりに