やはり、恐れていたことが起きた。

彼の実家へ挨拶へ行く前日、アトピーが急に悪化し、

とてもじゃないが、行ける状態ではなく、泣く泣く延期になった。

また、バレンタインデーのために、夜景の綺麗な高層階のレストランでの

ディナーの予約をしていたのだが、それも行けずにキャンセル。


その後、しばらく私はアトピーに苦しめられることになり、

約1か月間、彼に会えなかった。

その間毎日、彼から電話がきた。

時には「じゃあ、今日は眠いから、今から寝るね」

たった10分くらいで切ることもあったが、

1回目は、出かけてて歩いて帰るときに歩きながら電話、いったん切って、

家に帰って、寝る前に電話、と1日に2回かそれ以上のときもあった。

また、1回の電話が1時間を超えることもザラにあった。

その当時、彼は内勤ではなく現場に出ていて

現場の近くに従業員たちとしばらく泊まっていたこともあった。

その間、電話はできずメールだけの日もあったのだが、

「どうしても声が聞きたいから」と言って、

真冬の夜寒い中、外に出て電話をくれたこともあり

隣で従業員が寝ていると、小声で布団の中から電話をくれたこともあった。


後になって友達や家族に

「よく毎日電話がきて、うっとおしいと思わなかったね。まあ、それが相性がいいってことなのか」

と言われたが、

長く会えなかった分、毎日いろいろなことを話して、より彼と親密になれたように思う。

そしてそれが習慣になり、いつしか彼の電話を心待ちにしている自分がいた。


それでも、ときには私のアトピーがひどく

電話がとれないことがあった。

「今日は特にひどい状態で、痛みでなかなか動けずほとんど何もしてません。電話で楽しく話する気分じゃないので、今日はそっとさせてください。本当にごめんなさい。りょうさんは全く関係ないので心配しないで」

とメールを送ったこともあった。

彼に会いたいのに、会えないもどかしさ。苛立ち。

理由がわからないだけに、不安だった。

結婚を進めようとした矢先の、どうしてこんな大事なときに。

いつ治るんだろう。


本当に、アトピーは今までに無いほど、ひどい状態だった。

1か月は彼と全く会えなかったのだが、

後日、治るのを待っていたらきりがないということで

1か月後、ひどい状態でも、回数は少ないが会っていたのだが

このときのアトピーは、今までにないほど長い期間続いた。

普通は、長くても3~4か月で治って、

もっと軽かったと思うのだが、

6か月経った今でもまだ治っていない。

また、丁度アトピーが出始めた少し前から

夜、眠れなくなった。

3日連続全く寝られなかった、なんてことも普通にあった。

そのことも、アトピーの悪化と関係していたのだろうが、

今思うと、なぜこの大事な時期にこうなったのか、

この時期に結婚してはいけない、ということだったのか。

それはよくわからない。


「結婚したら一緒にいるんだから、これからひどい状態でも見せることがあるんだし
ひどい状態でも会ったほうがいいんじゃないか」
「ひどい状態を見て、そんなことくらいで嫌いにならない」
「つらいなら、外に出歩かなくて、ただ家で会うだけでいい」
「俺が癒してやるから、会うと治るかもしれない」
などと言って、彼は会うことをすすめてきたが、
結局私は「こんな状態を見せたくない」と拒否してきた。

それでも、変わらぬ彼の気持ちがうれしかった。
「言い忘れてたけど、好きな気持ちは変わらないからね」
とメールをくれたこともあったし、
仕事中に
「かえで、昨夜は寝られた?愛しているから心配しないで。何か、急に気になってメールしました」
と送ってくれたこともあった。
こんなにも愛されて、神様が意地悪して、アトピーになったのかとさえ思った。