付き合っていく中で、彼とは、結婚して、一緒に住むことになったら、こうしよう・・・という話もよくした。
「結婚したら、私、仕事続けたほうがいい?それとも辞めたほうがいい?」
「どっちでもいい。でも、もし専業主婦になるなら、家事をきちんとやってほしい。共働きなら、手伝うけど」
「俺の収入だけでやっていけるかな。ええと、(頭の中で計算する)、うん、やっていけると思う。
どっちでもいいよ」
「今の仕事、忙しくて大変でストレスもたまるけど、すごくやりがいがあるの。やりたかった仕事だから。
それに、今、新設校を立ち上げて、まだ2年も経っていないから、軌道に乗るまで、辞められない。
ある程度、軌道に乗るまで、責任を持ってやりたいから、今は辞めることはできない」
と言ったものの、この不器用な私に仕事と家庭の両立はできるのか?
ハードな仕事でくたくたで、その上、家事も完璧にできるのか不安になった。
今まで一人で食事も掃除もテキトーにやってたのが
やっぱり他に同居人がいると、そうもいかない。
料理だって、できるけど、上手なほうではない。
彼に対しては不満や不安、迷いはないのだが
私自身、今までずっと一人でやってきて
一人で気楽で満足な生活をしてきて
自分は結婚には向かないタイプだと思っていたので
結婚(同居)ってやっていけるのかなという思いがあり
今からちょっと心配になってきた。
私のその心配な気持ちとは違って
彼は結婚後の話をするときは、とてもうれしそうだ。
「寝室は2Fにする?それとも1Fの畳の部屋にする?」
「かえでが残業になりそうだったら、それを持ち帰ってやればいいよ。俺が手伝ってやるよ。というか、寂しいから、一緒にやりたいんだ」
「一緒に鍋をつついて食べている光景が目に浮かぶなあ」
「お風呂も一緒に入って、背中流してよ」
「一緒に家にいるとずっと手をにぎってべたべたしそうだなあ」
などと「本当か?そんなラブラブ続くわけがない」というようなことまで平気で言う。
夢見がちなロマンチストだ。
しかしこの人、結婚経験があるのに、現実はそうじゃないってこと、知ってるはずなのでは?
「あのねえ、これまで既婚者によく聞かされたんだけど、教会で『永遠の愛を誓います』って言ったものの現実はまるっきり違うとか、結婚は人生の墓場だとか、好きだの愛してるだのっていう気持ちは最初だけで、ずっと一緒にいるとそんな気持ちはなくなるとか。実際はそうなんでしょう?今、りょうさんそんな甘いこと言ってるけど、絶対そうならないよ。すぐに飽きるよ」
「そうか?そんなことはないと思うんだけどなあ。じゃあ、かえでは俺に飽きるの?」
「飽きるのはりょうさんのほうだよ。最初に一気に盛り上がって熱が上がってるから、だんだん冷めてくるよ。私のほうは最初から最後までずっと同じテンションで長く続くと思う」
子どものことは、出会って最初のころ、私はほしくない、と伝え、彼は「いてもいなくてもどっちでもいい」と言っていた。
今思えば、前の奥さんとの間に子どもが二人いるから、
絶対にほしいというわけではないのだろう。
「子どものいない夫婦はとても仲がいい」と言って、自分の周りにいるその夫婦のエピソードを話してくれたりもした。
かと思いきや
「いたらいたで楽しいんじゃないの」
「一人ぐらいいてもいいかもね。作ってみる?」など、ほしそうな発言をすることもあった。
冗談か本気かわからないので「え?りょうさん、実は子どもがほしいの?」とそのたびに確認するのだが、
いつも「どっちでもいい」と返事。
「かえでは?」
「昔から今までずっと子どもがほしいと思ったことはない」
「今まではそうでも、今は俺のことが好きでしょ?好きな人の子ども、ほしいでしょ?」
「う~~ん・・・・(考える)」
できてしまったらもちろん生むけど、やはり切実にほしい、とは思えない。
いつか、「子どもがほしい」と思うときがくるのだろうか。
40年生きてきて、結婚なんて、別にしなくてもいい、とずっと思っていたのに、
私にとって、きっと彼は心から真剣に好きになった人なのだろう。
この先はどう気持ちが変わるか分からないけど、
今は、この人以外は考えられない、
ずっと一緒にいたいから、その延長で結婚して一緒に住むんだと思える。