三浦半島病院会 地域医療構想みうら半島の明日を考える | 石川巧オフィシャルブログ「すべては三浦のために」Powered by Ameba

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一期一会を大切に、神奈川県議会議員石川たくみのブログです。
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三浦半島病院会「地域医療構想 みうら半島の明日を考える」に出席しました。


新型コロナの影響により、急遽web会議に切り替え、さらに第一部の内容を「COVID-19対策対策緊急シンポジウム 今後の新型コロナウイルス感染症対策のために〜
収束したばかりの院内クラスターの経験を活かす」と変更されました。

座長は三浦市立病院小澤幸弘総病院長、パネリストとしてうわまち病院、衣笠病院、横須賀市立市民病院、横須賀共済病院からそれぞれの代表が今後の新型コロナ対策について議論されました。


〈クラスターが発生した「横須賀市立うわまち病院」の事例〉
事例①…8月7日に看護師さんから発生
発熱患者に対する濃厚対応から発生したのではないか?
陽性者10名に…
事例②…8月24日に医師から発生 
陽性患者は医師1名のみ
事例③…8月26日に看護師から発生
何度もPCR陰性だった患者さんから発症してしまった…
陽性者数は21名に
事例③目が発生した時点で、
神奈川県の保健所やC-CATの立ち入り検査を実施。
検査結果 → 
感染予防対策は徹底されているが、換気対策の強化、PPE(防護服)の不足、そして物資調達についても支援してもらった。

事例④…9月6日に看護師から発生
陽性者数2名
これを受けて院内体制を整備し、9月6日から診療制限をする(小児科・周産期除く救急受入停止等)。
組織マネージメント→ 
決定力のある「感染対策本部」を設置(20チーム)→
「まずは休んでいいよ」スタッフの負担〜軽減
「紛れ込み対策」
入院患者の完全チェック、スタッフの体調不良をチェック、
10月1日からは収束の方向と考え、診療制限を緩和し、対策強化

それにもかかわらず…
事例⑤…10月26日に看護助手からまたクラスターが発生…陽性者数4名

〈クラスターを経験したうわまち病院の課題〉
●感染源・感染経路の同定が困難、患者さんの紛れ込み
●職員・入院患者の感染検索をどうするか?
●感染予防対策はどうするか?(資材(防護服等)の調達
●職員の不安や精神的疲弊への対応
●他施設との救急医療や転院時の協力関係





第二部「これからの医療のあり方〜地域医療構想を踏まえて」では、講師に城西大学伊関友伸教授、座長に三浦病院会堀薫会長が務められました。

伊関教授は、財政再建団体となって苦しんだ夕張医療センターの設立に携わった、
公立病院マネジメントのスペシャリストです。
感染症対応している病院のうち、公的病院の割合は9割を占めています。


「世界的に新型コロナウイルスが蔓延し、社会に深刻な影響を与えている…」


日本では、10月20日現在重症者数143人(ピークは5/2に321人)、死亡者数累計1675人、
人口10万人あたり累計64.8人の陽性者が発生しています(東京186.0人、神奈川74.9人、沖縄167.8人)。


〈3〜5月の患者急増期〉
●医療機関は深刻な影響を受けた
●都市部の感染症指定医療機関の感染症病床は満床となった
●救急搬送において、ウイルスに感染した疑いがある患者が受け入れられないケースも
●院内感染の発生事例も数多く発生し、救急や入院、外来の活動を停止・縮小した医療機関が相次ぐ…

〈感染症病床数の不足〉
神奈川県では、コロナ前の段階で感染症指定医療機関の病床数は第一種が2床、第二種が72床しかなかった…

〈患者受入体制の問題〉
●感染症の患者に対応できる医師の不足・不在
●スタッフの訓練不足
●感染防止対策加算の不足

●陰圧室や個室対応の不備
●外来感染症患者の動線対応や施設の不備
→ 患者を受入れたくても受けることが出来ない病院も多い

〈重点・協力医療機関制度の創設〉
2020年の国の第2次補正予算 → 
●重点医療機関(コロナ患者専用の病院や病棟を設定する病院
●協力医療機関(コロナの疑い患者専用の個室病床を設定する医療機関、
の制度が創設された。

《深刻な医療機関の経営…》
●新型コロナは、全ての医療機関の経営に深刻な影響を与えている…
●感染症患者を受けた、受入準備を行った病院は、さらに収支の悪化が著しい…

〈全国病院の医業収支赤字病院割合〉
4月
全病院 69.4%
コロナ受入なし 62.7%
コロナ患者受入 82.1%
一時閉鎖 82.9%
「2019年5月(参考)
全病院 34.8%
感染症患者受入なし 31.5%
感染症患者受入 40.9%
一時閉鎖 39.0%」


〈患者受入病院の赤字の理由〉
●医療スタッフの手間がかかる
●防護服の脱着には感染リスクがあり、手間と時間がかかる
●ECMOは通常の2倍の人員配置が必要
●防護服やN95マスク、サージカルマスク、使い捨てグローブなど医療材料が大量に必要
●職員のメンタルヘルスや休暇の確保が必要
●日本の病院は多床室が多く、個室運用が求められる
●予定手術を延期するなど手術の収入減も大きい
●患者受入に伴い、救急患者の受入の抑制を行うことも多い

〈開業医の経営悪化〉
●外来患者が大幅に減って収入激減
●開業医自身が高齢のため、重症化リスクが高い
●地域唯一の開業医が廃業すると、地域に医療がなくなる可能性が高い

《危機的な状況にある小児診療所の経営》
小児科患者数が大幅に減少…
●3、4月の外来患者数が前年比30%以上減少の診療所は68.5%、40%以上が47.5%…
●5月の外来患者数20%以上減少の診療所は90%、40%以上が41%、60%以上減少が8.4%。

〈なぜ小児科患者が減少したか?〉
●3、4月に学校、幼稚園、保育園が休みとなり、子どもが感染症にかからなかった。
●その後も親などの子どもの感染症対策(手洗い等)が継続されている

このままでは、我が国の小児科診療所ネットワークが崩壊する…→ 病児保育の存続危機
『小児科診療所への財政支援の必要性』
●患者が減って収入が減れば、その分だけ収入を補って小児科医療を継続していく必要がある
●診療報酬増額や補助金交付が必要



《新型コロナウイルスと地域医療構想》

〈感染症患者を受入れるには、一定の病床規模(400床以上)が必要〉

〈横須賀市内の病院統合再編は不要〉
●うわまち病院が久里浜に移転することで地域的バランスは取れており、統合再編は不要と考える。
●ただし、拠点病院の一局集中ではなく、複数の拠点病院の整備や「病院間の連携」が必要

〈病院の建替えの必要性〉
●病院の個室化…感染症対策で重要な指定は個室化・男女関係なく入院可・認知症患者の対応・家族の付き添い等
●高齢者の増加→ コロナだけでなく、感染症対策がより必要になってくる

◉地域レベルでの議論の重要性!

「ポストコロナの時代は、地域と医療機関に変革を迫る時代である」