「過去が未来の種を育てる」
『宜蘭設治紀念館(元宜蘭庁長官舎)』を訪問しました。
経済成長により急激に開発されてしまった台湾において、
古民家や歴史的建造物の保全は大きな課題となっています。
「宜蘭設治紀念館」は、宜蘭政治史に欠かすことの出来ない
日本統治時代の宜蘭庁長官舎を保全、活用するために、1997年リノベーションしたものです。
西郷菊次郎が初代宜蘭庁長(いまの知事)着任してから何十代にわたって
利用されてきた官舎の一部を復元しました。
官舎は、800坪の敷地に74坪の和洋折衷の平屋建てで、幹部職員や校長の住宅と共に残っていたものを修復し、
いまは屋内で映像や展示物等の見学、隣のレストランを利用することができます。
西郷は堤防河川工事のほかにも宜蘭県の住民の社会基盤整備に力を注ぎ、
農地の拡大、道路の整備、樟脳産業の発展、農産物の増収政策を実施すると共に
教育の普及にも力を入れたため、治安が良くなり住民の生活を安定させることに成功し、
現在も西郷の徳政が後世に伝え続けられているのです。
西郷菊次郎は1861年生まれ。隆盛が奄美大島に潜居した折、愛加那との間にもうけた子どもです。8歳のときに西郷本家に引き取られ、12歳で米国留学を果たして74年7月に帰国、その後西南戦争にも参戦しています。台湾から帰国後も京都市長等歴任をされ1928年に鹿児島で最期を迎えました。