熊本県議会副議長に就任されました、
溝口幸浩議員のご案内により、
「熊本県庁防災センター」を視察しました。
熊本県災害対策本部の現場指揮をした
元自衛官の有浦隆防災企画監にご説明を頂きました。
〈熊本地震ーオペレーションからの教訓〉
まずは職員の意識改革が必要。
「そもそも、防災とは…?」
災害を未然に防止し、災害が発生した場合に、
被害の拡大を防ぎ、災害の復旧を図ること。
防災の三段階→
〈予防・応急対応(自衛隊)・復旧〉
防災の本質は、「予防」にある!
予防に勝る対策なし。
熊本県の場合…
風水害への警戒ばかり→ 地震への対策怠る…
県の気象的特性は何か?
特性から対処を考える
「予防的避難」
風水害が起きる場所と時間から退避させる
(熊本は梅雨時夜の風水害が多い)。
県民に予防的避難を理解頂けるために、
出前講座で市民の意識改革を実施しています。
また、避難所にカラオケや囲碁将棋等を設置して、
避難所に来やすいよう工夫をしているそうです。
◯"広域・総合・実践"をキーワードに、
4カ年計画で総合防災訓練に
◯指揮命令系統の整理
◯本部情報の共有、集中システムを構築
◯防災センターの"調整台"を"指揮台"に変更
◯タイムスケジュール、タイムラインで管理
◯報連相の意識づけ
◯AAR(アフターアクションレビュー)の導入、クロノロジー(時系列記録)の撤退
〈防災センター改革〉
「災害に強いまち」とは?
→ ◯住民自ら準備していること
◯防災のスペシャリストがいること
◯災害発生後の行政事務ができること
1.意識改革
2.組織改革(総務、企画政策、訓練、実動、通信班)
訓練と実動は別!
3.システム改革→ 防災センター改革
◯"指揮"概念の導入
◯情報共有システムの確立
◯初任者の即戦力
〈何を共通認識として業務を行っているか?〉
UTMグラッド地図を市町村、警察、消防で共有
〈観測史上初の同一地域震度7の連鎖地震発生〉
余震約4.300回…
自衛隊は、約1,714名の人命を救助、運送・炊き出し等で活躍。
地震で50名死亡(関連死165名→車中泊避難等)
市町村によって対応に大きな差が出る
〈熊本地震を経験しての問題点〉
対策本部が体をなしていない→
会議内容は被害報告のみ→どう対応するか?
防災リーダーが不在→指揮する者がいない、知見・経験がない
◯防災スペシャリストを育成しなければならない。
防災の目と知識で環境を見ることができる
◯訓練は実践的であるべき
訓練以上の対応は期待出来ないと認識すべき
〈熊本県防災への二つの思い込み〉
◯風水害対策が優先
◯余震は1〜2ヶ月後に震度6強
ところが翌夜中に発生…
盲点
〈プッシュ型支援の教訓〉
「物資は市町村拠点まで運んでくれるのではなかったのか?!」
県の物流拠点よりも市町村拠点を整備し、そちらに配送
しかし…
国の現地対策本部は、業者任せ…
結局、自衛隊が確認して、輸送対応。
内閣府から依頼された民間業者は引き渡しを拒否…
市町村の拠点までは自衛隊のヘリ等で輸送できたが、
その先(いわゆるワンマイル)の
避難所まで運ぶ職員がいない…
拠点配分方式には不備があった
→
4.22に市町村は一斉に支援物資の受け入れ拒否
・水だけで倉庫が一杯に…
・地震で建物に被害があり保管不可
・単品大量で一挙に倉庫不足
プッシュ型の問題点…
国のプッシュ方式は有効だが、倉庫・職員不足の中、
単品大量の拠点配分は問題
ニーズは逐一変わっていく。
→〈リュックにセットでパックで〉
リュックの中に当面必要な物をセットする。
公助が整うまで3日分のセット保管
支援物資としての下着は3週間来なかったそうです。
〈罹災証明の建物被害認定調査〉
市町村にノウハウなし。
他県の応援と職員教育でなんとか軌道に。
しかし、各県でやり方が違うため基準が必要
〈その他の教訓〉
◯ペットと外国人に課題
◯1981年建築以前の古い建物に住まわれた方がなくなっている…
◯「BCP」の必要性…平時の業務をいかに圧縮、軽減できているか?
◯県職員の水・食料の備蓄の必要性 →
県民優先での遠慮から、県職員の水・食料確保が必要。