『新・戦争論〜僕らのインテリジェンスの磨き方』池上彰・佐藤優対談 | 石川巧オフィシャルブログ「すべては三浦のために」Powered by Ameba

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「フランス紙銃撃テロ事件」の衝撃…
今後連鎖の可能性もあり、このような悲劇は断じて止めなければいけません。
果たして日本にテロから国民を守る力があるのか?


池上彰氏と佐藤優氏の対談
『新・戦争論~僕らのインテリジェンスの磨き方』を読みました。

21世紀、世界では「力」というものが、分散した形で存在しています。
本書では9.11米国同時多発テロのようなイスラム過激派テロやウクライナ情勢のように、
戦争・紛争が複雑化した「嫌な時代」となっていると言います。
国家が全面に出ない「局地戦」が21世紀の戦争のようです。
サバイバルの時代を生き抜くには、情報力、分析力といったインテリジェンス能力が
重要なのですが、「どうも今の日本は世界からズレている」…
自由主義を守る気概を持ち、リベラルな価値観というものを国際基準で見直さないと、
この国は気がつかないうちに戦争に巻き込まれてしまう、と警告しているのです。

この争いは無益だと和解が成立するには、
「これ以上犠牲者が出るのが嫌だとお互い思うところまで行かないと和解は成立しない」
いまだ続く紛争は、すべてまだ流血を求めている…


「今、世界では「力」というものが、
軍事、政治、金融、産業、科学技術、情報
というように分散した形で存在しています。
ところが現在の日本は、いずれも弱いように見えます。
…兵庫県議が号泣し、それがネットに流れて話題になりましたが、
世界から日本は、あの議員に近い感じで
見られているのではないでしょうか」

「こうした支離滅裂がとくに顕著だったのが、
集団的自衛権の問題です。
2014年7月1日閣議決定当時、
ホルムズ海峡の国際航路帯の封鎖が議論されましたが、
たとえ封鎖されても、日本の自衛隊は絶対出動できません。
…なぜなら、国際航路帯は公海ではなく、
オマーンの領海を通っているからです。
…もしイランがホルムズ海峡を封鎖するなら、
オマーンの領海内に機雷を敷設することになる。
国際法では、他国の領海内に機雷を敷設すれば、
その瞬間に戦線布告として扱われ、戦争状態になります。
ところが「戦闘状態の地域には自衛隊は行かない」というのが、
今回の集団的自衛権に関する閣議決定の縛りです」

「誰でもわかるように、21世紀の戦争においては、
「個別的自衛権」と「集団的自衛権」を
区別して対応するのは、そもそも無理なのです。
集団的自衛権と個別的自衛権の神学論争はやめて、
単に「自衛権」という形で国家安全保障基本法を組み立てればよい。
そのとき、「侵略戦争は絶対にやらない」として、憲法9条を、
パリ不戦条約のようなものに徐々にずらしていく」
「どうも今の日本は世界からズレている。
ズレた日本国に暮らすわれわれ日本人は、
あらゆる力を使って生き延びなければなりません。
とりわけ、情報力、分析力といったインテリジェンス能力が
個人にとっても重要になってきます」

「正統性が不明瞭な諮問会議のようなしくみは
民主主義を迂回する方法である。…
いまの日本は、ある意味で民主主義が進みすぎて
息が詰まりそうになっているように思います。
民主主義は、独裁と矛盾しません。
100人の議員が99人に減っても問題はありません。98人でも問題ない。
その操作をずっと続ければ、最後には一人でも問題ないとなる。
ドイツ法哲学者、カール・シュミットが言っている通りです。
…今の日本は、民主主義の危機ではなく、自由主義の危機なのです。
民主主義が自由主義の領域を侵犯しようとしている」

「私が数年前から「新帝国主義」と言うようになった理由は、
一つにはフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』のような、
自由民主主義が到達点に達し、歴史が終焉し、退屈な時代になった
という考えは間違っているということ。
それから、グルジア情勢が悪化したときに「新冷戦」と
言われたけれども、それも間違いだということ。それを言うためです。
…グルジア情勢をめぐるグルジア、ロシア、アメリカの対立には、
イデオロギーの対立はどこにもない。
典型的な領土争いであって、
旧来型の帝国主義の対立です。なぜ「新」がつくのか。
一つは、帝国主義の特徴は、全面戦争をすることでしたが、
そうせずに局地戦にとどめている。おそらく制約要因は核兵器です。
もう一つは、植民地を獲得しようとしないこと。
第二次大戦後の経験で、植民地にかかるコストが認識されたからです。
植民地をもたず、全面戦争しないけれども、
帝国主義だから、「新帝国主義」だということです」
「新帝国主義の特徴は、要するに資本の過剰がその背景にある。
お金が儲かるような投資対象が国内にないから、
金融を中心として外に投資して儲けようとする」

「これからの世界を生き抜くために、個人としては、
「嫌な時代」を嫌な時代だと認識できる耐性を身につける必要がある。
そのために、通時性においては、歴史を知り、
共時性においては、国際情勢を知ること」

「実践的な課題としては、軍事エリートと政治エリートのトップから
馬鹿を排除すること。馬鹿な兵隊、馬鹿な政治家がいても、
彼らが自滅して終わりになるのはいい。
しかし、トップにいた場合は、
部隊もしくは国家が全滅することになりますから…」



この本発刊に当たっての佐藤氏の言葉は印象的です。
「私は今はリベラルな価値観というものをもう少し国際基準で見直さないと、
この国は気がつかないうちに戦争に巻き込まれると思う。
勇ましいことを言う人が愛国者ということではないんです。
勇ましいことを言う人がいざ大変なことになったとき、一番早く逃げるんですよ。
これ、私が外務省で見てたときの実感」
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