【登場人物】

・大地…会社員。釣り部発起人だが、ゆるい。

・ユウタ…アウトドア好き。道具だけは本格派。

・ミホ…お菓子担当。ほぼピクニック気分。

【場面】

日本海沿いの防波堤。

クーラーボックスと折りたたみイス、その横に大量のお菓子。

大地「さぁ今日も“新潟ゆる釣り部”活動開始だ!」

ユウタ「今日は本気出す。新しい竿とリール、合わせて3万円だからな」

ミホ「じゃあ私は本気のポテチ3袋と、チョコと、せんべい持ってきた」

大地「それほぼ本体だな」

(3人、竿を投げる)

大地「……よし、仕掛け投げたし、はいお茶」

ユウタ「まだ1投目だぞ!? 集中しようぜ!」

ミホ「じゃあ“アタリがあるまでお菓子タイム”ってことで」

(カサッとポテチを開ける音)

10分後。

ユウタ「……全然こないな」

大地「魚も、日曜は休みたいんだろ」

ミホ「じゃあ、“今日あったムカつく話”選手権でもやる?」

ユウタ「なんでここで心のわだかまりを釣り上げるんだよ」

1時間後。

竿は防波堤に立てかけられ、3人はイスで円になりお菓子山。

大地「会社の上司がさ〜」

ユウタ「わかる〜。オレんとこなんてさ〜」

ミホ「ねぇそれ、“釣り部”じゃなくて“愚痴カフェ”じゃない?」

そこへ、隣のガチ釣り師がドンと大きな魚を上げる。

釣り師「おっ、今日は渋いけど、探せばいるよ〜」

ユウタ「マジすか! ほら見ろよ、大地! 俺たちも気合入れ直して――」

大地「すみません、その魚と交換で、このポテチどうです?」

釣り師「物々交換が雑!!」

ミホ「じゃあチョコも付けます」

釣り師「お菓子盛り合わせで買収するな」

ユウタ「……でもさ、本当に釣れたら、さばくの大変じゃね?」

大地「確かに。クーラーボックス、ほぼお菓子で埋まってるし」

ミホ「“釣れないこと”が、この部の平和を守ってるのかもね」

ユウタ「それを悟った瞬間、竿持ってる意味なくなるんだけど」

夕暮れ。

今日もクーラーボックスは、魚ゼロ・お菓子の空袋だけ。


大地「じゃ、今日の釣果報告。

 ポテチ3袋、煎餅2袋、チョコ1箱――完食」

ミホ「会話量:大漁」

ユウタ「魚:ノーバイト。心:ちょっと軽くなった」

大地「よし、“釣れない釣り部”本日の活動終了!」

(日本海の水平線だけが、今日も静かに“爆釣の予感だけ”を光らせている)


いかがでしたか?笑っていただけましたか?


竿を出しているはずなのに、

一向に“海”ではなく“お菓子ゾーン”しか減っていかない釣り部でした。


クーラーボックスは本来、魚を冷やすためのものなのに、

中身がポテチとチョコとジュースでパンパン。

この時点で、魚のほうから

「今日は呼ばれてないな」と察している気がします。


でも、何も釣れなかった日のほうが、

なぜかよくしゃべって、よく笑って、帰り道が軽かったりしますよね。

“釣果ゼロ”でも、“おしゃべり大漁”。

そんなゆるい休日も、悪くないなぁと思いました。