【登場人物】

・父(健二)…温泉大好き。準備は雑。

・母(真理)…段取り係。最終的に全部背負う。

・娘(ヒナ)…忘れ物チャンピオン。

・息子(ソウタ)…冷静に観察するタイプ。

【場面】

休日。温泉へ向かう車の中。

冬の新潟、車内はぬくぬく。

健二「よーし!今日はととのうぞ〜!」

真理「その前に、タオル確認。はい、各自!」

ヒナ「……(目を泳がせる)」

ソウタ「はい、忘れてる顔」

ヒナ「忘れてないし!たぶん!」

【場面】

温泉の入口。

真理「タオル出して」

健二「……あ」

真理「誰?」

健二「……俺」

真理「また!?前回はヒナで、その前は私が予備出したよね!?」

健二「温泉に呼ばれると、記憶が湯気になるんだ」

ソウタ「言い訳もととのってる」

ヒナ「じゃあ買えばいいじゃん」

真理「買うよ。毎回ね。

この家、タオルに課金しすぎ」

【転機】

帰りの車内。真理が静かに宣言する。

真理「決めた。車に“予備タオルBOX”積む」

健二「おお、神…」

ヒナ「ボックス!?家庭の文明が進化した!」

ソウタ「それ、もはや備蓄」

【ラスト】

次の週、また温泉。

真理が得意げに車のトランクを開ける。

真理「予備タオルBOX、出動!」

箱を開けると——

健二「……あれ?」

ヒナ「……え?」

中身:

・歯ブラシ(大量)

・シャンプー小分け(なぜか10個)

・入浴剤(家用)

・そしてタオルは……1枚もない。

ソウタ「タオルBOXが、タオル忘れてる」

真理「……誰が入れたのこれ」

健二「文明って、たまにバグるよね」

(結局、また買う一家だった。)

いかがでしたか?笑っていただけましたか?


温泉に行く準備は万全なはずなのに、

なぜか“一番大事なもの”だけが抜け落ちる。

それが「タオル問題」です。


ついに文明の力で生まれた

予備タオルBOX。

完璧な対策のはずが、

中身は歯ブラシ・シャンプー・入浴剤——

そして肝心のタオルは不在。


もうここまで来ると、

忘れ物じゃなくて“様式美”。

一家で温泉に行って、

最後は全員で売店を見るところまで含めて、

ワンセットなのかもしれません。


新潟の温泉は体を温めてくれますが、

忘れ物は心を温めてくれます。

「またやったね」と笑えるうちは、

きっといい家族です。