【登場人物】

・サヤ…現代の旅行者。スマホ命。

・駅員さん…昭和の香りがする駅員。人情がホームより広い。

・おばちゃん…昭和の“世話焼き力”最大。

・謎のアナウンス…やたら温かい。

【場面】

現代の新潟駅・新幹線ホーム。

サヤはスマホで時刻表を見ながら、コーヒー片手に待っている。

サヤ「あと3分…間に合った。完璧」

(その瞬間、ホームに霧みたいな湯気が立つ)

サヤ「え、なに?ミストサービス?」

「ゴォォ…」と古い汽笛の音。

サヤ「新幹線で汽笛…?」

霧が晴れる。

看板が木製、駅員さんの帽子がデカい。

売店には「駅弁」「牛乳」「サイダー」の文字。

サヤ「……昭和?」

駅員さんが近づく。

駅員「お嬢さん、どこ行くんさ?」

サヤ「え、東京…のはずなんですけど」

駅員「東京行きなら、急行は次だよ。

ほれ、これ持ってな」

(硬券の切符を手渡される)

サヤ「紙…!?え、Suicaは…」

駅員「すいか?果物なら売店で売ってるよ」

サヤ、スマホで助けを求める。

圏外。

サヤ「終わった…」

そこへおばちゃん。

おばちゃん「あんた、顔が青いねぇ。

ほら、これ飲みな」

(ビンの牛乳を手渡される)

サヤ「いや、知らない人の牛乳…」

おばちゃん「大丈夫だって。

この駅、みんな親戚みたいなもんだっけ」

サヤ「親戚の範囲が広すぎる!」

【転機】

サヤはなんとか現代に戻ろうとする。

サヤ「すみません、元の新潟駅に戻りたいんです!」

駅員「戻る?…お嬢さん、何急いでるんさ」

ホームにアナウンスが響く。

やたら優しい声。

アナウンス「ただいま到着の列車は、

“焦り”行きとなっております。

お急ぎの方は、いったん深呼吸してからご乗車ください」

サヤ「そんな行き先ある!?」

【ラスト】

サヤが牛乳を飲み、駅弁をかじり、

気づけば笑っている。

サヤ「…なんか、落ち着く」

(再び霧。気づけば現代のホーム)

サヤ「戻ってる…!」

スマホを見ると、通知が1件。

「圏外でした」ではなく——

スマホ『本日のおすすめ:駅弁と牛乳で整う』

サヤ「スマホまで昭和に感化されてる!」

現代の売店を見ると、

駅弁コーナーがやけに輝いて見える。

(新潟駅は、時々、人の心だけ昭和にタイムスリップさせる。)


いかがでしたか?笑っていただけましたか?

新幹線に乗るつもりが、

なぜか心だけ昭和に到着してしまう——

そんな不思議が起きるのが、新潟駅です。

スマホは圏外、改札は人情、

切符は紙、差し出されるのは牛乳。

時間は巻き戻っているのに、

不思議と不安より先に「まあ、いっか」が来る。

便利じゃないけど、あたたかい。

急げないけど、落ち着く。

昭和の新潟は、

人の距離が近すぎて、逃げ場がないぶん、

ちゃんと受け止めてくれます。

たぶん新潟駅は、

たまに時刻表じゃなく、

心のスピードを見ているんだと思います。

速すぎる人だけ、

そっと昭和に降ろしているのかもしれません。